=118 ~木の因数分解~(家具工房つなぎブログ)

南房総でサクラの家具を作っています。ショールーム&カフェに遊びにおいでください。

昭和の引出箱ビフォーアフター 一例25,000円~

2014年09月05日 | 【製品】家具工房つなぎのプロダクト
アンティークと呼ぶにはまだ少々はばかれる昭和の家具たち。

昭和の家具といっても、ここで言っているのは主に戦後、
60年年代以降ぐらいでしょうか、ベニヤが流通し家具の背板や引出の底にベニヤが使われている家具を言っています。
今から言うと40年、50年くらいまえですね。

こちらの引出箱は幼稚園などで使われていたようで、
引出には、動物なんかをかたどった紙が貼られていて、趣がありました。

しかし、問題は背板と引出の底板に使われているベニヤ。
これがもうボロボロだったんです。
もともとベニヤは接着剤で作られていますから、接着剤の寿命=ベニヤの寿命、
現在でも接着剤は20年ほどとなっていますから、必然的にベニヤは交換時期だったわけです。

ということで、主な依頼内容は、「背板と引出底板の交換」でした。


この昭和家具のいいところは、よくもわるくもベニヤが使われているところかもしれません
状態がよければ、このベニヤがはまっていた溝に新たなベニヤを差し込んであげることができるからです。
しかし、実際はこちらの引出箱も上と下で1センチくらい幅が異なっていてちょっとびっくり!
それぞれに合わせながら作業を進めることになりました。

(これがもっとアンティークと呼べるような100年以上もの家具になると、
基本的に総無垢ですから、いろいろと解体したりだとか手間が発生する可能性もあるからです。)


こちらが直った引出



7つあるので、引出箱としては重宝すると思います。


ビフォー

見えてないけど、背板等ボロボロ


アフター



<今回のご依頼内容 ご参考>
・背板と引出7杯の底板交換
・ライトクリーニング(表面のシールをはがし、大きな傷を整え、オイル塗布)
・25,000円+材料費3,000円

皆さんのお宅にもまだ使える昭和家具があるかもしれませんね。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

アンティーク家具の修理費 一考

2014年09月05日 | 【製品】家具工房つなぎのプロダクト
写真は最近入院してきた椅子です。


こんな感じで、最近増えてきましたアンティーク家具の補修ですが、
「あるものを大事にしたい」「古いモノには得難い価値がある」といった思いをお持ちの方が訪ねてこられるので、
「数千円で直るの?」「新品のほうが安いじゃん」といったことはなく、
ある程度のご予算を考えてお越し頂いているので、大変ありがたく思います。

修理となると、歪みがあったり、部分の補修が必要であったり、場合によっては一度解体、再組立て
サンダーで削るとしても際の作業がやりづらかったりと、
修理ならではの工程が発生し、場合によっては新品を作るほうが作業しやすかったりすることもあるため、
修理費はそれほど安くないのが現状です。

では、そうしたアンティーク家具の決して安くない修理費ですが、
お客様側としては、どのように考えたらいいでしょうか、
例えばですが、このような価値、価格に分解してみたら少しはすっきりするのではないでしょうかというお話です。


1.廃棄料金

まず、最近はゴミの廃棄にもお金がかかるということは大きいですね。
もし家具を修理せずに廃棄すると、それだけでお金がかかるということです。


2.機能価値

これは引出箱であれば引出箱としての用途です。ここは別にアンティークであっても一般の安い家具でも同じですが、
少なくとも新しい家具を買おうとすると、最低でも発生する金額です。

3.アンティークの味わい価値

これは時間を経てきたモノだけが出せる価値です。日焼けした塗装、傷やへこみの味わい、
新品には決して出せない、ある意味お金を払っても作れない価値です。
最近はユーズドテイストというかアンティーク加工もある程度はできると思いますが、ホンモノにはかなわないと思います。
この味わいが好きな人にとっては大きな意味があります。


4.唯一無二のストーリー価値

ここはその方と家具の関係、思いの部分です。単純に申し上げますと、
お父さんが使っていた立派な机だとか、お母様が使っておられたミシン脚とか、子供が使っていたベビーチェアを孫にもといったことになると思います。
この価値は、すでに単純なモノという範疇を超えていて、唯一無二のモノであること、そこに重なるストーリーという意味で、
その本人にしかわからない部分です。


以上、
1と2は、市場で決まった価格がありますが、
3と4、とりわけ4については、その本人の思いが大きいところです。

つまり、

アンティーク家具の修理費の捉え方
( A )= 廃棄料金 + 機能価値 + 味わい価値 + 思い

となると思います。(単純に考えるとですが・・・)


そして、

( A ) < 修理料金 ならば、修理はしないでしょうし、

( A ) > 修理料金 であるならば依頼してみる価値はあるということになりますね。



思いを価格に直すのはそれはそれでまた難しい作業なのですが、ご参考までに(^_^;)



⇒ 最近納めた昭和の引出箱ビフォーアフター事例 はこちら
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

明日 9/6 土曜日 お休みです。

2014年09月05日 | ⇒CAFEべこ舎
CAFEべこ舎 9月6日土曜日 研修参加のためお休みします。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする