フェンディナの瞳の中の何かは封じたようだが、それでもまだ、脳にティルウムスが残っている。
ティルウムスは本棚のようなものを召喚する。
彼の化獣としての力、集団の力を発揮しようとしたのだ。
だが、
「お主の分は、これだ」
鉢巻きの上からまるで孫悟空の金冠のような封印術を施される。
たちまち、ティルウムスもフェンディナの脳内に引っ込む。
『き、貴様ぁ……』
「フェンディナ殿の敗因は今大会最強と思われるポテンシャルを持ちつつもそれをほとんどゼロのシンクロ状態のまま出場した事。いかに、強大なパワーを持っていようと、それをうまく発揮できていなければ勝てる道理はない」
「う、うぅ……」
「負けを認めなされ。さすれば、すぐに解いてしんぜよう」
海空は敗北宣言を促す。
気の弱いフェンディナは、
「こ、降参です。負けましたぁ」
「喝っ!これで動けるはずです」
「あ、ありがとう」
「それはこちらのセリフです。貴女が降参してくださらなければ、拙僧は貴女の中の脅威に威殺されるところでした。ほれ、あれだけの封印術がすでにボロボロですよ。早めに降参していただいて、むしろ助かった」
「そ、そうなんですか?」
「誇って良い。貴女はこの大会の参加者の誰よりも強い。ただ、運がちょっとなかっただけだ」
「は、はい……」
闘いも終わり、海空はフェンディナの封印をすぐに解いた。
勝てば、フェンディナを封印している意味はないからだ。
フェンディナにとってはちょっと残念な結果だとも言える。
それは決勝となるトーナメントに参加できないので、吟侍とお近づきになれる機会がその分減るからだ。
だが、トーナメントに参加できるようになったからと言って、気の弱い彼女が吟侍と戦えたかどうかは怪しかったので、負けて正解だったかもしれない。
四名の内、誰かが優勝しないと偽クアンスティータに殺されるという状態ではあるが、勝ち残るには気弱なフェンディナにとっては少々、荷が重い。
だから、他の三名の邪魔にならないように、どこかで負けないといけない。
それならば、吟侍と戦ってギクシャクするよりもその前に負けた方が良い。
それが彼女の判断だった。
その試合を見ていた吟侍は、
「惜しいな。あの子(フェンディナ)の力がおいらにあれば、優勝は訳なかったんだけどな。性格が災いしたか」
という感想を述べた。
いかに戦闘能力が飛び抜けて高かろうと戦う気持ちが弱ければ、偽クアンスティータには勝てない。
それは吟侍も同意見だったからだ。
吟侍は正直、海空がフェンディナを倒してくれて助かったと思った。
吟侍だった場合はフェンディナを抑えるだけの封印術は持っていないし、下手に攻撃すれば、瞳の中の何かを覚醒させてしまう。
そういう危うい相手だった。
そう分析した。
予想外のフェンディナの脱落により、誰が勝ちあがるか見えなくなったエカテリーナ枠の予備戦第2試合は吟侍達ではなかった。
吟侍の方は覚悟を決めていたが、ソナタの方が決心がつかないらしく、第5試合にして欲しいと申し出ていた。
フェンディナと海空の試合を第1試合にするのが認められるのだから、第5試合にして欲しいというのも当然、認められる。
よって、次も別の試合が組まれる事になった。
ティルウムスは本棚のようなものを召喚する。
彼の化獣としての力、集団の力を発揮しようとしたのだ。
だが、
「お主の分は、これだ」
鉢巻きの上からまるで孫悟空の金冠のような封印術を施される。
たちまち、ティルウムスもフェンディナの脳内に引っ込む。
『き、貴様ぁ……』
「フェンディナ殿の敗因は今大会最強と思われるポテンシャルを持ちつつもそれをほとんどゼロのシンクロ状態のまま出場した事。いかに、強大なパワーを持っていようと、それをうまく発揮できていなければ勝てる道理はない」
「う、うぅ……」
「負けを認めなされ。さすれば、すぐに解いてしんぜよう」
海空は敗北宣言を促す。
気の弱いフェンディナは、
「こ、降参です。負けましたぁ」
「喝っ!これで動けるはずです」
「あ、ありがとう」
「それはこちらのセリフです。貴女が降参してくださらなければ、拙僧は貴女の中の脅威に威殺されるところでした。ほれ、あれだけの封印術がすでにボロボロですよ。早めに降参していただいて、むしろ助かった」
「そ、そうなんですか?」
「誇って良い。貴女はこの大会の参加者の誰よりも強い。ただ、運がちょっとなかっただけだ」
「は、はい……」
闘いも終わり、海空はフェンディナの封印をすぐに解いた。
勝てば、フェンディナを封印している意味はないからだ。
フェンディナにとってはちょっと残念な結果だとも言える。
それは決勝となるトーナメントに参加できないので、吟侍とお近づきになれる機会がその分減るからだ。
だが、トーナメントに参加できるようになったからと言って、気の弱い彼女が吟侍と戦えたかどうかは怪しかったので、負けて正解だったかもしれない。
四名の内、誰かが優勝しないと偽クアンスティータに殺されるという状態ではあるが、勝ち残るには気弱なフェンディナにとっては少々、荷が重い。
だから、他の三名の邪魔にならないように、どこかで負けないといけない。
それならば、吟侍と戦ってギクシャクするよりもその前に負けた方が良い。
それが彼女の判断だった。
その試合を見ていた吟侍は、
「惜しいな。あの子(フェンディナ)の力がおいらにあれば、優勝は訳なかったんだけどな。性格が災いしたか」
という感想を述べた。
いかに戦闘能力が飛び抜けて高かろうと戦う気持ちが弱ければ、偽クアンスティータには勝てない。
それは吟侍も同意見だったからだ。
吟侍は正直、海空がフェンディナを倒してくれて助かったと思った。
吟侍だった場合はフェンディナを抑えるだけの封印術は持っていないし、下手に攻撃すれば、瞳の中の何かを覚醒させてしまう。
そういう危うい相手だった。
そう分析した。
予想外のフェンディナの脱落により、誰が勝ちあがるか見えなくなったエカテリーナ枠の予備戦第2試合は吟侍達ではなかった。
吟侍の方は覚悟を決めていたが、ソナタの方が決心がつかないらしく、第5試合にして欲しいと申し出ていた。
フェンディナと海空の試合を第1試合にするのが認められるのだから、第5試合にして欲しいというのも当然、認められる。
よって、次も別の試合が組まれる事になった。
これからも宜しくお願いします。