第四章 それから……
「それからどうなったんですか?」
「いや、何というか……」
「また、途中で終わらす……」
白鳥君はまたしてもあきれ顔だった。
ジョージ神父が話を途中で区切ったからだ。
「しかしのぅ、休憩時間に話すようなものではないしのぅ。話すと凄く長くなるんじゃよ」
「じゃあ、今度はちゃんと時間を取って聞かせてくださいよ」
「聞かせると言われてものう……最終的にはワシは生き残っている訳じゃから、負けてないんじゃよ」
「でしょうね」
「最後はウィルヘルムを倒して、めでたしめでたしという訳にはいかんかのぅ?」
「いきませんね。また、不完全燃焼ですよ」
「ウィルヘルムは神話の合成を得意とした奴じゃった。じゃが、オリジナリティーに欠けるところがあってのぅ……」
「ふんふん、それで?」
「過去の文献などをひもといていってのぅ――1つ1つを元の神話に戻していった。それでしまいじゃ」
「盛り上がりそうな所を一切聞いておりませんが」
「途中、寄り道とかしてのぅ。10年くらいかかったんじゃよ、エヴェリーナ神話の解決は……」
「そこを聞かせて下さいよ」
「複雑に入り組んだ話になったから、話すのが面倒なんじゃよ」
「そうやって、また、面倒臭がる……」
「この話で重要なのは、ワシが後継者である吟侍達に向けて、色々、教える事を自ら学んでいく決意をしたという所じゃ。後はオマケのようなものなんじゃよ」
「バトルシーンが殆どないじゃないですか」
「ワシ、バトルきらいじゃもん」
「良いから聞かせてくださいよ」
「さて、休憩時間も終了じゃ。そろそろ、また、働いてもらうぞ、白鳥君」
「そうやってまた、はぐらかす……」
午後の休憩時間も終わり、ジョージ神父と白鳥君は、再び働きだすのだった。
ジョージ神父はスッキリしていたが、白鳥君はモヤモヤしたままだった。
部屋の片付けは続く。
続く。