よったろーのせーさく日記3

よったろーのせーさく日記からの引き継ぎです。
ちょちょいのよったろーと申します。
改めましてよろしくお願いします。

以上です。

2016-02-29 15:56:37 | 日記
以上が【ファーブラ・フィクタ シークレット・ステージ】のB001話になりますね。

カミーロ・ペパーズの物語ですが、後、1、2話くらいで終わらせる予定です。

B001話が終わったので、次は続けてC001話と行きたいところですが、番組が貯まってますので、ここで一旦区切らせていただきます。

シークレットステージ 第B001話 グラン・ベルト編31

2016-02-29 15:56:14 | 日記
 カミーロは冷静に一体ずつスダロベに今度こそ決定打となる【完全浄化】を打ち込み、スダロベを倒した。
 勝ったとは言え、両腕のアームベルト保持者は今のカミーロと互角近くの力を持っている。
 だとすれば、これにレッグベルトを保持している者が現れるとカミーロでも勝つのは難しくなって来るという事でもある。
 だが、後には引けない。
 今勝てないのであれば、更に強くなっていけばいいだけだ。
 カミーロはそう思っていた。
 スダロベの浄化を確認したカミーロは再び、歩を進めるのだった。
 連続して刺客を差し向けているという事はコーサンは焦っている――
 そう、カミーロは感じていた。
 早くコーサンを安心させてあげたい。
 だが、安心させるという事は共に永遠に眠りにつくという事でもある。
 愛の形は人それぞれではあるが、カミーロとコーサンの愛の形はこういう形でしか成就出来ないのだろうか?
 悲しくも思える運命の時は近づいている。
 カミーロは愛する女性と戦うために更に前に進むのだった。

 続く。

シークレットステージ 第B001話 グラン・ベルト編30

2016-02-29 15:54:05 | 日記
 何者もコーサンとの決着の邪魔はさせないという決意がカミーロをよりいっそう強くしていた。
 戦いを重ねる程、戦いの中から何らかのスキルアップをどんどんしていっていた。
 戦えば戦う程、カミーロはより強くなっていった。
 疲労よりも戦いによる高揚感――ゾーンのようなものが彼の身体を絶えず成長させていった。
 コーサンの方ももはやフィンガーベルト保持者ではカミーロの相手にはならないと判断したのか、刺客があまり現れなくなった。
 出てくる刺客はアームベルト保持者ばかりだった。
 闇の中の刺客以降も様々な時代のアームベルト保持者達が刺客としてカミーロの前に立ち塞がった。
 数も1名ではなく、複数名で来るようになっていた。
 最大、12名での連携攻撃にはさすがのカミーロも多少危なかったが、戦闘経験を積むと大分慣れてきたのかアームベルト保持者が束になってかかってきても決して引けを取らない戦闘力を身につけていた。
 そして、刺客を送るコーサンの方にも変化があった。
 ついに、片腕ではなく、両腕のアームベルト保持者が刺客として現れた。
 刺客の名前はスダロベ。
 これまでのアームベルト保持者とは格が違う存在だった。
 だが、アームベルト保持者数名と互角以上に戦えるようにまで成長していたカミーロはこの強敵に対しても決して引けを取らない戦闘力を有していた。
 スダロベの特徴は3秒毎に身体が完全に崩れるという事だ。
 身体が完全に崩れた後、次の3秒でまた元に戻る。
 攻撃を当てに行ってもタイミングがあわず、身体がグズグズに崩れてしまう。
 その上でまた、再生を繰り返すので、固定化された相手に対する戦い方とは攻撃の間合いが全く違ってくる。
 カミーロ自身、この様な相手と戦うのは初めてなので、勝手がわからず苦戦した。
 光影で切り裂こうにも勝手に崩れるので、手応えが無い。
 【完全浄化】しようにも浄化した部分を切り離してしまうので、決定打にはならない。
 だが、スダロベにとってもカミーロは厄介な相手と言える。
 カミーロの【完全浄化】はスダロベの身体を少なからず浄化してしまう。
 なので、その部分を切り離して対抗しているが、切り離せば切り離す程、スダロベの身体は小さくなる。
 戦い始めた頃にはカミーロの三倍はあった体格も今では二倍を切っている。
 カミーロに迂闊には攻撃出来ないので、間合いを計って攻撃をしているがこちらも決定打にはならない。
 スダロベには時間が一日しか与えられていない以上、状況を打破しないといけないのはスダロベの方だった。
 カミーロとの決着をつけるべく、スダロベは分裂した。
 二つに肉体を分けて、挟み込む形でカミーロに襲いかかった。
 だが、冷静さを欠いた攻撃がカミーロに通用する訳も無かった。

シークレットステージ 第B001話 グラン・ベルト編29

2016-02-29 15:53:37 | 日記
 蛍光塗料を塗られた男は攻撃してこようとせず、一定の間合いを保ち、壁になる事に徹していた。
 攻撃してこないならば、用はないとばかりに、カミーロはその囮を踏み台にして、影に潜む二名の内の一名に致命の一撃を与えた。
 敵は一瞬、ひるんだ。
 なぜ、囮役を攻撃してこないのかと驚いた。
 その一瞬の隙をついて、今度は囮役に必殺の一撃を当てた。
 残すは、姿の見えない一名のみ。
 戦術を間違えた時点で、カミーロにとって有利に事は運んでいたのだ。
 カミーロは意識を集中するのを一瞬、解いた。
 敵はカミーロが敵を全て倒して油断したと思った。
 そして、攻撃を仕掛けてくる。
 が、それもカミーロによる罠だった。
 緊張を解いたと思わせて、すぐに再び意識を集中し、飛び込んで来る敵の空気の流れを読んでとどめの一撃を与えた。
 三名を倒した後、闇が晴れて来た。
 難敵ではあったが、今のカミーロはコーサンとの決着のためにかつてない程、意識を集中している。
 実力を大きく上回る実力が出ている状態だった。
 今のカミーロは普段の数倍は強いと言えた。

シークレットステージ 第B001話 グラン・ベルト編28

2016-02-29 15:51:32 | 日記
 間一髪──
 攻撃が当たるその一瞬前にかろうじて交わし、なおかつ、蛍光塗料をその気配に塗る。
 気配の一つは目視できるようになった。
 その蛍光塗料は特別性だ。
 水で洗ったくらいではまず取れない。
 塗られた相手には、カミーロに挑んで来るか撤退するかを選択してもらう事になる。
 目視できる敵はしばらく動きが止まり、やがて、再び動き出す。
 どうやら、挑んで来るつもりらしい。
 自らを囮として、他の二つの気配の盾にでもなるつもりなのだろう。
 どのみち、敵には、一日しか時間が与えられていない。
 結果を出さなければ、一日で、幻は消えてしまうのだから。
 敵もそれが解っているからこそ、勝負を選択したのだろう。
 目視できる敵は左右に飛びながら近づいて来る。
 フェイントをかけているつもりなのだろう。
 カミーロもそれは解っている。
 わかっているからこそ、更に集中した。
 このフェイントは囮。
 かならず、死角から残る二つの気配が襲い掛かってくる。
 光の届かないこの状態では光の屈折による幻はカミーロには作れない。
 姿をぼやかすというよりは、敵の動きを読んで真っ向勝負。
 それがカミーロの選択だった。
 目視できる敵から、敵が黒い服などを来ているのが解った。
 暗い上にさらに黒いかっこうをされていてはますます見えない。
 だが、見えないなら見えないで、目を頼りにしなければすむ事だ。
 蛍光塗料を塗ったのはカミーロにとっての囮だ。
 蛍光塗料はあくまでも敵の姿を一旦、確認したかっただけ。
 その蛍光塗料をあてに目で追うつもりは全くない。
 敵は、カミーロが蛍光塗料を塗られた相手に集中していると考えて、塗られていない二名が攻撃のかなめとして連携してくるはず。
 だが、カミーロは囮役に興味はない。
 あくまでもその後ろに隠れている二つの影に意識を集中させていた。
 油断して攻撃して来たところを逆に叩く。
 それがカミーロの考えだった。
 カミーロの読みは見事的中した。

シークレットステージ 第B001話 グラン・ベルト編27

2016-02-29 15:51:05 | 日記
 しかも、恐らくは三名ともアームベルト保持者。
 単純に考えてもまともにぶつかればちょっとまずい事になる。
 個別に撃破していくのが良いだろうとカミーロは判断したが、どうやら、この時代は太陽の光がほとんど届かなかった闇の時代のようだ。
 敵は闇夜に目が慣れているが、カミーロは慣れていない。
 また、光の力を使うカミーロであれば、自身から発光することも可能だが、それだとかっこうの的になってしまう。
 何とか相手に蛍光物質を塗って、それで見極めようとカミーロは考えた。
 再び合掌のポーズをとり、手のひらに蛍光物質を作り出す。
 これだと、合掌の隙間からあふれ出る光で敵が寄って来てしまうが、攻撃の寸前で交わし、相手に蛍光塗料を塗りたくれれば勝機はある。
 カミーロは意識を集中させる。
 完全な闇という訳ではない。
 近づけば何とか見えるくらいには明るさがある。
 だが、ものすごいスピードでこられたら、確認する前に攻撃を受けてしまう。
 ならばと、目を閉じ、気配探知に意識を集中させる。
 辺りはシーンと静まり返っている。
 気配は今のところ感じられない。
 敵も警戒し、息をひそめているのがわかる。
 カミーロは空気の流れを読む事に集中した。
 いかに敵の気配が消えようとそこに微妙な空気の流れは存在する。
 静止している物に当たる空気と動くものに当たる空気ではほとんどわからないほどだが、微妙に違う。
 敵も攻撃するためには間合いを詰めなくてはならないのだ。
 かならず、敵は動く。
 その時がカミーロにとってのチャンス。
 心眼を研ぎ澄ませる。
 どのくらい時が経っただろうか。
 一瞬ともまる一日とも思える時間がカミーロには感じ取れるようになっている。
 今は仲間が居ない。
 誰も助けてくれない。
 頼れるのは自分だけ。
 自分の力だけが全て。
 ならば、自分の全てをかけて戦おう。
 カミーロは三つの気配の内の一つの動きを察知した。
 気づかれたと判断した気配はまっすぐカミーロの方に突っ込んで来る。

シークレットステージ 第B001話 グラン・ベルト編26

2016-02-29 15:49:00 | 日記
 だが、攻撃のためには、スパンキャは浮上してくるはずだ。
 その少ないチャンスに攻撃を当てなくてはならない。
 カミーロは飛行機から飛び降りた。
 いや、飛び降りた様に見せかけた。
 光の屈折を利用して、カミーロが海上に落ちた事を演出して見せたのだ。
 誘いに乗って、スパンキャが浮上する。
 そのチャンスをものにして、カミーロは簡易飛行機を刃に変えて突っ込んだ。
 見事急所に当て、スパンキャを倒す事に成功した。
 大事に飛行すればチャンスはいくつかあったかもしれないが、最も油断するのは最初の囮に引っ掛かった時だと判断した彼は最初のチャンスに全てをかけて、簡易飛行機に全てを賭けて勢いよく突っ込んだのだ。
 簡易飛行機には【完全浄化】の効果を与えていたので、スパンキャの急所に当たったのはそれで致命の一撃となった。
 勝つには勝ったが一歩間違えればカミーロの方が倒されていたかも知れない戦いだった。
 刺客を倒した事によって、コーサンの待っている方向が確定した。
 この先、西に進めば、コーサンが待ちかまえているだろう。
 どのくらい進めばコーサンにたどり着くかは解らない。
 コーサンにたどり着くまでにはいくつか壁が立ち塞がるかも知れない。
 だが、それらの先には彼女が待っている事は確かだろう。
 カミーロは再び歩みを進めた。
 しばらくすると辺りは闇に包まれた。
 周りの景色がよく見えない。
 闇色の霞、闇霞(やみがすみ)といったところか。
 カミーロは慎重に歩を進める。
 かすかな気配が三つ。
 土地の記憶をたどるとどうやら今までと違う年代の強者のようだ。
 時代から考えてみると今まで出て来た強者の年代よりも数百年は昔の年代だ。
 そう──同じ土地でも歴史が違えば、関わってくる強者も違う。
 例えば、同じアームベルト保持者でも時代によっては実力が激しく上下する。
 強い時代もあれば弱い時代もあるのだ。
 気配から力量を推測すると今までの時代よりも多少レベルが落ちるようだ。
 だが、相手は三名いる。

シークレットステージ 第B001話 グラン・ベルト編25

2016-02-29 15:48:34 | 日記
 それは、自分の気持ちを確認する行動でもあった。
 コーサンを倒すが、彼女を愛している。
 その事は自分で再確認しておきたかった。
 三方向の内、カミーロは西に絞った。
 彼女は真っ直ぐ、カミーロから離れた。
 離れて距離を取り、また、戻ってくるために。
 そう考えたのだ。
 その読みはまたしても当たっていた。
 しばらくすると、彼女のアプローチがあった。
 間違いなく、この先に彼女は待ちかまえているだろう。
 居ない方向からは彼女のアプローチはないのだから。
 再びアームベルトの保持者が立ち塞がる。
 このアームベルト保持者を誘いに使うのだから、恐らくはそれ以上のものを見つけたという事だろう。
 とにかく、まずは、このアームベルト保持者を排除する事に集中することにした。
 カミーロはまた記憶をたどった。
 現在までは干上がっていたが、ここはかつて大海原だった場所だ。
 コーサンの力で海が再現されている。
 立ち塞がるのはこの海域を支配していた強者だ。
 名前はスパンキャ。
 能力としては、海水使いといった所か。
 海の水そのものが武器であれば、この場所は厄介でもある。
 辺り一面、塩の水であるこの場所はスパンキャにとっては水を得た魚のようなものだ。
 海の中での戦闘はカミーロにとって自殺行為でもある。
 だとすればカミーロは上空に逃げるのみ。
 スパンキャの海水を使った攻撃がカミーロを追う。
 飛行能力の無いカミーロは神形職人としての能力を使い、簡単な飛行機を作り、その揚力で何とか浮いていられている状態だ。
 飛行機が海に落ちる前に決着をつけなくてはならない。
 残念ながら、一日中浮いている事はエンジンのついていない飛行機ではあり得ない。
 落ちる前にスパンキャをしとめる必要がある。
 カミーロは光影で切り裂こうとするが、スパンキャは海底深くまで潜ってしまっていて、光がそこまで届かない。

シークレットステージ 第B001話 グラン・ベルト編24

2016-02-29 15:46:36 | 日記
 ゾイズマの記憶から、この辺りにはゾイズマ以上の強者はいないという事が解っている。
 ゾイズマがこの辺りを仕切っていたのだから。
 だとすれば、コーサンのコマとなるような存在がいないという事になる。
 なら、コーサンは逃げていった方向からさらに西もしくは北か南の方向に強者を見つけに行ったと推測出来る。
 コーサンから見てカミーロは東に居たので東には行っていない。
 彼女には瞬間移動等の能力が無いことは彼がよく知っている。
 逃げた方向から三方向に見れば良い。
 だが、西か北か南、その方向のどこかまでは解らない。
 仮に北だった場合、南に向かえば離れて行ってしまうことにもなる。
 コーサンがこの地に見切りをつけたのはわかるが、何処へ向かったかまではわからなかった。
 コーサンは準備が出来たら、カミーロを誘い出すために何らかのアクションを起こすだろう。
 コーサンはただ逃げているだけではない。
 カミーロとの間合いを計っているのだ。
 彼を殺すために。
 相手を殺すという事で言えば、カミーロとコーサンは両思いであると言って良い。
 かつては愛し合う関係だったが、今は殺し合う関係。
 それが今の二人の関係だ。
 コーサンの方はどうだか、知らないが、カミーロは今でもコーサンを愛している。
 愛しているからこそ、このままのコーサンでいさせる訳には行かない。
 誰も居ない地に来たとは言え、中味が殺人鬼のままではいさせられなかった。
「私は今でも愛しているよ、コーサン……」
 カミーロは独り言を言う。

シークレットステージ 第B001話 グラン・ベルト編23

2016-02-29 15:46:09 | 日記
 ならば、一日以内でカミーロに接触出来る距離を保つだろう。
 コーサンの行動を推測すれば、恐らく、ゾイズマかそれ以上の存在の記憶が残る地をいくつかキープするだろう。
 これまでのような単発では、カミーロが突破すれば、すなわち、コーサンにとってのピンチとなる。
 複雑に強者を織り交ぜた方が、カミーロにとっては脅威となる。
 カミーロとて無敵ではない。
 このグラン・ベルトの伝説で彼の勝てない存在が居るはずだ。
 そうなったら、彼はどうするのか?
 逃げる?
 いや、一時撤退すると言った方がいいかも知れない。
 一度引くが再びコーサンの元に進む。
 どんな強敵を用意しても一日あれば彼女の幻影は消えてしまうのだから。
 生きてさえいればいつか彼女にたどり着く。
 これはカミーロとコーサンの根比べでもある。
 どちらが先に音を上げるか、その勝負でもある。
 カミーロには諦めるつもりは全くない。
 あるとすれば、コーサンの方が諦めてカミーロとの決着をつけにやってくるという方であろう。
 コーサンにとっては、カミーロを幻影を使って倒す事が優先されるだろう。
 彼女の方は、カミーロを強敵として認識しているようだから。
 カミーロの方も油断はしない。
 アームベルト以上の保持者はカミーロにとって強敵だと認識した。
 束になってかかって来られたら彼に勝ち目は薄くなる。
 ゾイズマ戦を経て、カミーロとコーサンはお互いをよりいっそう意識するようになった。
 カミーロはなおもコーサンを追いかける。
 コーサンとの決着は相打ちしかないのか?
 それはまだ解らない。
 彼の中で結論となる答えは用意出来ていないからだ。
 最終的にどういう決着に持っていくのが正解なのかは全くわからないが、とにかく前に進むしかない。
 例えそれが、奈落の底に落ちるような結末だとしても。

シークレットステージ 第B001話 グラン・ベルト編22

2016-02-29 15:44:09 | 日記
 再生能力を持つ不老不死はそこに異物が少なからず混ざっているものである。
 再生している内に外部の異物を取り込む事になるからだ。
 カミーロの【完全浄化】は異物を一切取り除くというものだ。
 不死身の能力も異物と判断して取り除かれる。
 残るのはパワーだけもの凄い、再生能力の欠如した肉体だけが残される事になる。
 そうなれば後は自滅していくだけだ。
 身体の破壊を全く気にしない戦い方に慣れたゾイズマはそんなに簡単にはパワーを抑えられない。
 必ず身体に無理な行動を取り、身体が破壊されて行動不能となるのだ。
 カミーロは合掌した両手に息を吹きかける。
 そして、両手を離し、それを一瞬動きの止まった、ゾイズマの両胸に押し当てた。
 じゅわわわわぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ……
 ゾイズマは両胸からどんどん浄化されていく。
 後は計算通り、ゾイズマは自らの身体を壊していった。
「うががかぁぁぁぁぁぁっ」
 叫び声はするが、ゾイズマにカミーロを圧倒するような戦闘力はすでにない。
 後は、放っておいてもゾイズマにはカミーロの邪魔になるような行動は取れない。
 黙っていても一日経てばゾイズマは消えるが、武士の情けとして、カミーロは【完全浄化】の手のひらを頭にも押し当てトドメをさした。
 思わぬ強敵だったが、ゾイズマを撃破したカミーロはコーサンを追いかける。
 ゾイズマとの戦闘で時間を取られ、彼女を完全に見失ってしまった。
 また、一から探さないと行けない。
 今度は彼女も警戒するだろう。
 同じ手が通じるとは思えない。
 滅びていっているとは言ってもまだ、グラン・ベルトの世界は広い。
 距離を置こうと思っている相手を探すのには骨が折れる。
 向こうは一定の距離を置くだろう。
 幻影を作り出すにしても一日経てば消えてしまう。

シークレットステージ 第B001話 グラン・ベルト編21

2016-02-29 15:43:43 | 日記
 生前は、とても好戦的な性格で、強い者を見つけると衝動的に勝負を挑んでいた。
 得意な攻撃は破壊攻撃だ。
 破壊攻撃と言っても何かを破壊するという事ではない。
 自らの肉体を破壊する程の衝撃を攻撃時に作り出すパワーがあるのだ。
 壊れた身体はゆっくりと再生する。
 不老不死の力もあるのだ。
 肉体のリミッターが無いから力の限りぶん回す。
 まともにぶつかれば、カミーロの身体が持たない。
 パワー重視タイプの戦士だが、関節技や柔術などで対抗してもパワーで押し返される恐れがある。
 ここは冷静に相手のパワーを利用して相手の身体を更に破壊し、再生しきる前に対処するというのが攻略として適切な手段だろう。
 そう判断したは良いが、スピードもかなりのものなので、タイミングを合わせるのは至難の業だ。
 一呼吸する間に信じられないくらい前に進み出てくるので、避けるだけで精一杯だった。
 これだけエネルギッシュに動き回れば間接とかに無理が生じてくるのだが、再生能力のあるゾイズマはそんな事を気にする必要もないだろう。
 後から後から再生するのだろうから。
 圧倒的パワーの不死身の相手。
 だが、吟侍と行動を共にしていたカミーロは不死身の相手を倒す手段も身につけていた。
 不死身くらいの相手にいちいち驚いていては吟侍のパーティーのメンバーはやっていられなかったからだ。
 能力浸透度の低い不死身くらいならば、カミーロでも十分倒す事が出来る。
 再生速度から考えてもゾイズマの能力浸透度や能力浸透耐久度はそれほど高くない。
 カミーロは合掌のポーズを取る。
 彼の対不死身用の技を繰り出すためだ。
 【完全浄化(かんぜんじょうか)】だ。