おうちBAR開店

本格的なパーティー料理から手抜きお手軽料理まで、私のキッチンから発信します。毎日の出来事を含めて楽しくご紹介。

東北紀行/振り返って

2013年02月03日 | 旅(国内)

(出羽屋さんでいただいた福豆・山形らしく秘伝豆)


東北とひと口に言っても
6県あり風土もさまざま。
今回の旅によって県単位では全制覇したことになります。
(これで訪れた県は41県。通り過ぎただけの県は含みません。)
ただ、私が垣間見ることが出来たのはほんの一部。
だから分かったようなことは書けませんが
率直に思ったことだけを書かせていただきます。


極寒の中、訪ねた山形・秋田・福島の内陸部。
想像以上の雪に心から驚きました。
豊橋で車が動けないぐらいの積雪は
2回ほどしか経験したことのない私。
その何十倍も凄い雪と一年の三分の一を共にし
じっと耐え忍ぶ人々の知恵、工夫、人情に触れられ
本当に有意義な時間が過ごせました。

今のように除雪車や融雪剤が無い時代は
まさに「冬ごもり」する日々が続いたのでしょう。
「冬ごもり」の為に「冬支度」をし
閉ざされた時間をいかに豊かに過ごすか
先人達は長い時間をかけて食文化を育んだのだと思います。
塩に漬ける、干す、凍らせる、発酵させる。
偶然の産物もあったのでしょうが
それらを巧みに自分たちの技へと昇華させ
春から秋に収穫される野山の幸を保存し
海から届けられる貴重なたんぱく源を加工し
ありがたくいただき、雪解けの春を待ち望む…
制約があるからこそ生まれた滋味深さに
心から感銘しました。



海と山に囲まれ温暖なこの地では
冬でも朝採れの新鮮野菜が食べられ
眼前の海から揚がった活きたお魚を
そのまま持ち帰って捌いて食べられる。
この有り難さを当たり前だと思っていた私は
まだまだ料理を語るには青いな、と思った次第です。
料理のバックグラウンドを知らずして
郷土料理を語るべからず。改めて感じました。
料理探求人としては
やはり現地に行って素材と人との関わりを知り
そこに住まう人々から生の言葉を伺い
有り難くその土地で賞味する…
それでようやく食について
語ることができるのだと思います。
こういう旅、これからも続けていきたいです。


また、この旅でもう一つ思ったこと。
人々のコミュニティーの強固さ、です。
陸の孤島となってしまう雪国では
親族・近隣の互助無くしては生きていけません。
雪かき、雪下ろしは近所ぐるみで実施します。
そこに参加するのは老若男女、家族総出。
難しい時期らしい茶髪のお兄ちゃんも
お父さんとおじいちゃんと三世代揃って
日曜の朝から雪かきをしていました。
反抗してる場合じゃないですもんね。
まず外に出られないし
住まいも倒壊の危機に晒されてしまうんですから。


もう一つ感銘を受けたのが
見ず知らずの私のような旅人に対しても
分け隔てなく親切にしてくださること。
道を伺えば過ぎるほど丁寧に教えて下さるし
いぶりがっこが見たいと言えば尽力して下さる。
そしてその見返りは全く求めない。
農耕民族である日本人はそもそも
川から流れる水を平等に利用し合って
皆で掘った井戸をルールの元に共有し合ってきた。
お醤油や味噌は近所で貸し借りし
冠婚葬祭は向こう三軒両隣が協力し合う。
そういうことが当たり前だったのに
今では面倒くさいことは見て見ぬ振り、
言いにくいことはメールで済ませようとする。
私もその風潮を否定できるほど立派な人間ではないですが
もっと人と人との関わりを大切にしたいと思いました。


自分一人で生きていると思ったら大間違い、
当たり前のことを今更ながらに認識した気がします。


不肖〇〇才ながら
様々な人生勉強をさせていただきました。



思いが強くて長文になってしまいましたが
ちゃんと書き留めておきたくて…


またきっと訪れたいと思います。
ありがとうございました!