テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

― オリオンのはてまでも ―

2019-07-25 23:22:38 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 あさからァ、しょッくゥ、なのでスゥ~…」
「がるる!ぐるるるぅ~…」(←訳:虎です!寂しいよぅ~…)

 こんにちは、ネーさです。
 俳優ルトガー・ハウアーさんが亡くなったとの報せに、
 朝から心がザワザワしております。
 そこで本日の読書タイムは予定を急遽変更し、
 こちらの御本を、さあ、どうぞ~!

  


 
        ―― SF大クロニクル ――



 編者はガイ・ヘイリーさん、
 原著は2014年に、画像の日本語版は2016年2月に発行されました。
 英語原題は『Sci-Fi Chronicles』、
 『クロニクル(年代記)』と題名にありますが、
 これは、どちらかというと……事典に近いかしら?

「おもいィでスゥ!」
「ぐるる~!」(←訳:分厚い~!)

 御本巻末の『日本語版監修者あとがき』に、
 監修者の北島明弘さんはこう書いています。

   《年代順に
    SF史における重要な書籍・雑誌、
    映画・テレビ、人物をピックアップして、
    詳しく紹介してあり、
    いわば事典と年代記のいいとこどり
    といった構成になっている。》

 そして、“いいとこどり”の内容は、というと、
 英国のライターさんたちが分担して
 本文の各項目を執筆しているせいか、
 英国ならではのSFコンテンツがちらほらと。

「さんだーばーどォ!」
「がるぐっるるるるがるる!」(←訳:銀河ヒッチハイクガイド!)
「あれれェ? でもォ!」
「ぐるるがるるぐる!」(←訳:日本のものもある!)

 そうなのよね、
 驚かされることに、

 《円谷英二》
 《鉄腕アトム/アストロボーイ》
 《時をかける少女》
 《宇宙戦艦ヤマト》
 《風の谷のナウシカ》
 《AKIRA》
 《攻殻機動隊》
 《新世紀エヴァンゲリオン》

 などの日本の作家さんや作品が
 文章と図版資料できっちり解説されています。
 特に《攻殻機動隊》と士郎正宗さんに関する評価は高くて、

  《『攻殻機動隊』が現代のSFに与えた影響を
   計ることは難しい。
   影響を受けた作品が多すぎるためだ。》

 とまで言い切っちゃってるんです。

「そッ、そうなのォでスかッ??」
「がるるぐるっるがるるるる?」(←訳:日本のSFってスゴイんだ?)

 20世紀後半から現代、
 世界のSF文学&アートのメインストリームを形成してきたのは
 英米と日本だったのかしら、と
 私ネーさ、考え込んでしまいましたが、
 まあそこらへんは後回しにして、
 『攻殻機動隊』の話題に戻りますと、
 士郎正宗さん、
 『AKIRA』の大友克洋さんたちに
 影響を与えたSF作品といえば。

「それはァ、もうゥッ!」
「ぐるーるがるるー!」(←訳:ブレードランナー!)

 ああ、やっと辿り着きました。
 そうです、1982年の6月の公開当時、
 興行成績はパッとしなかったものの、
 いまではSF映画の金字塔とされる
 『Blade Runner』。

 主演としてクレジットされているのは、
 ハリソン・フォードさん。
 ですけれども、
 フォードさんを喰ってしまうほどの怪演をみせたのは
 ルトガー・ハウアーさんでした。

「いちどォみたらァ~!」
「がるるぐるるる!」(←訳:絶対に忘れない!)

 この御本には、
 『ブレードランナー』の他にも、
 監督のリドリー・スコットさん、
 スコットさんの代表作《エイリアン》シリーズなど
 『ブレードランナに』につながる事々が
 取り上げられています。
 
 それらの中で、
 ホロリとさせられるのは
 『ブレードランナー』原作者であるSF作家
 フィリップ・K・ディックさんのエピソードでしょうか。

 実際のところ、ディックさん、
 こころよく思っていなかったんです、
 映画『ブレードランナー』の脚本を。

 原作『アンドロイドは電気羊の夢を見るか』と
 ストーリーが違い過ぎる!
 こんな改変ゆるせない!

 そう公言していたのですけれど、
 製作チームが完成した特殊効果映像を見せると、
 怒りを鎮め、
 映画の公開を待ち望むようになったのだとか。

「うむうむゥ~!」
「ぐるるるる!」(←訳:そうだよね!)

 しかし、
 公開3ヵ月前の、1982年3月2日。
 ディックさんの生命の灯もまた
 燃え尽きたのでした。
 
 もしもディックさんが生きていたなら、
 どう感じたことでしょうか。
 白い鳩を抱いて黄泉へ旅立つレプリカントの言葉を。
 折り紙の小さなユニコーンの残像を。

「ことしはァ、ちょうどォ!」
「がるーるぐるるーるる!」(←訳:ブレードランナーの年!)

 1818年発表の『フランケンシュタイン』から、
 2009年の『アバター』まで――

 SFの歴史を俯瞰する事典/年代記は、
 小説好きな御方に、
 SF映画マニアさんにもおすすめですよ。
 名優ハウアーさんを偲びつつ、
 ぜひ、一読してみてくださいね。

 

 
 
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする