都市徘徊blog

徒然まちあるき日記

駿河台女坂

2006-08-17 | 千代田区 

 西神田方面から神田駿河台へと上る駿河台女坂。Photo 2006.8.9

駿河台女坂
千代田区猿楽町2-4と2-8の間
素材/踏面・蹴上:御影石、手摺:コンクリート・鋼管
規模/高低差14.7m、幅員3.8m、82段、蹴上18cm、踏み面33cm
建設年代/大正末期

 駿河台女坂はキリッとした階段だ。何故そう思うのかと問われても明確な理由は述べられないのだが、来るたびにそういう雰囲気を感じる。少し東には同じく男坂があるのだが、そちらはスキッとしたとか、スパッとしたという印象。あまり違いがないじゃないかと、お思いになるかもしれないが、ちょっと違う。確かに大きな差ではないんですけどね。

 男坂と女坂、神社などではしばしば、直線的に一気に上る男坂と、蛇行して緩やかに上る女坂が造られている。駿河台男坂と女坂は、神社の階段ではないのだが、ここでも一気に上る方を男坂、屈曲する方は女坂と呼ばれている。

 男坂の方が、一直線に階段を上る感じが潔いので、スパッとした印象であるというのは、なんとなく理解して頂けるかと思う。一方の女坂の方は屈折して上るので、どちらかというと柔らかい印象になると、普通は考えるのだが、駿河台女坂の場合、柔和な印象というよりは、女性剣士のような雰囲気が漂っているように思うのだ。なんだか妙なことを書いてるなと思われるかもしれないが・・・。

 CONFORTという雑誌で階段について連載していたときにも、この駿河台女坂はとり上げたことがある(2004年7月号)。その際にも記したのだが、駿河台女坂と隣の男坂は共に、蹴上が18cm、踏み面が33cmであり、実は傾斜が同じなのだ。女坂には途中に二カ所踊り場があるのに対して、男坂には無いという違いはあるが、段々部分の傾斜は同じ。しかも、男坂が73段なのに対して女坂は82段と、女坂の方が9段、段数が多く、全体の高低差も1m以上余計にあるという、妙なことになっている。更に、道幅が男坂より若干狭いため、高低差は視覚的にも強調されているようだ。

 踊り場があるので与しやすいと思って挑んだら、傾斜は男坂と同じで、しかも段数は男坂より多いなんて、なんだかおとこ顔負けの強さを持つ女性剣士みたいじゃないかと思う。

 キリッとした印象は見た目からも来ている。大谷石のような柔らかい石でできた階段は、経年変化で削れて丸くなってしまい、柔らかな印象になるが、ここの階段は比較的硬い石をきっちりと規則正しく並べて造っているので、階段のデザインがとても直線的に感じられる。階段の手摺や縁にも曖昧な部分が少なく、全体に建築的できちんとした形をしている。屈曲した部分も成り行き任せではなく、計画的に屈曲させてあり、傾斜も道幅も一定になっているあたりはとても律儀な印象を与える。

 階段の周辺にやや背の高いビルがいくつか建っていること、屈曲して視線や視野が変化することも、階段を視覚的にも体験的にも、高く感じさせることに寄与している。屈曲して伸び上がるような姿は、下から見上げる人に対して、モデルさんがやや斜めに構えているようにも感じられる。

 そんなわけで、この階段を見ていると、キリッとした階段だなぁと思うのです。結局、あまりうまく説明できてないんだけど・・・。

 でもって、そんなキリッとした駿河台女坂が私は好きです。へへ。

#階段・坂 千代田区

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