都市徘徊blog
徒然まちあるき日記
 



 しばらくぶりに石雲院へ行った。

曹洞宗龍門山石雲院
所在地:静岡県牧之原市坂口
総門・建造年:1595(文禄4)
Photo 2008.1.6

 龍門山石雲院は室町時代の1455年に創建された古刹。三度の火災に遭い、本堂は江戸後期のものだそうだが、総門は安土桃山期に建立されたもので、県内でも古い方だ。

 以前ここを訪れたのは、静岡空港の建設計画が持ち上がり、ここが無くなるかもしれないという話を聞いたのがきっかけだった。空港の建設が進んだ今、お寺はどうなっているのだろうという興味もあって、久々に訪れたというわけ。

 幸い、空港は境内部分をよけて建設されたため、お寺の建物群は残された。土地の一部が削られたりはしたようだが、普通に参拝した限りでは大きな変化は感じられなかった。建設計画が一部変更されたりしたのだろうか。とにかくまずは一安心である。だが、なんだか雰囲気が以前とは少々異なる気がした。総門、山門、本堂など、文化財でもある主要建物はそっくり残っているのだが、どうも様子が少し違う。しばらくぶりだから記憶違いもあるのかもしれないなと思いつつ、そのまま参拝して帰ってきたのだが、帰宅後、昔の写真を引っ張り出してみたら、実はかなり様子が変わっていたのだった。

山門へ至る階段 Photo 1990.11.18
改修された階段 Photo 2008.1.6

 最も大きく変化したのは、総門から山門(楼門)に至る階段である。今回、きれいに整備された階段を見て、ハテ?こんな階段あったかしら?、と不思議だったのだが、やはり以前とは全く違っていた。個人的には以前のものの方が風情や風格があって非常によいと思うのだが、安全対策なのだろうか、味も素っ気もないきれいな階段になってしまっていた。きれいにはなったがつまらなくなった典型的な例である。周囲の緑も殺風景になってしまった。今回が冬場だったせいもあるかもしれないが、全体的に以前の方が調和が取れていて美しいと思うのは私だけではあるまい。

山門
建設年:火災で焼失後、嘉永年間(1848~1853)に再建
Photo 1990.11.18

 山門は、三間一戸の八脚門で総ケヤキ造り。入母屋造りの屋根を持つ楼門で、放射状に伸びた扇垂木が大きな屋根を支えている。

 三間一戸というのは、正面から見たときに柱と柱の間が3つあり、その内の一つに扉が付く(通路になっている)タイプ。扉部分以外の二間には壁があるのが普通なのだが、ここの山門は足下がスカスカで門扉も無い。二層部分も窓状の部分に扉や戸がない。どうしてこのようになっているのかよく判らないが、横から見ると向こう側まで見えてしまうのが印象的な門である。

石雲院本堂
建造年:1843年(天保14)再建
Photo 2008.1.6

 本堂は屋根瓦が葺き替えられた。雨漏りがすると建物が傷むので、定期的な修理は必要なもの。だから古めかしさが無くなったなどと非難するつもりはない。あと10年もすればまた良い感じになるはずだ。でも、以前は一番上の棟部分に石雲院なんて書いてなかった気がするんだけど。

 本堂は寄棟式の屋根で、間口が大きい。玄関には大ぶりな唐破風屋根が付き、全体的に堂々とした姿だ。ただ、屋根の大きさに比して頂部の棟の長さが小さいため、屋根面が平べったく広がっている。最初に訪れたときから気になっていたのだが、どうも妙なバランスだ。正直言ってあまり格好良くない気がしてしまうのだが、逆に印象に残る姿になっている。

 本堂前には小さな庭園が造られた。またいくつかの建物を結ぶ渡り廊下なども新築され、前に述べたように階段も改修された。空港工事関連で、ある程度補償などがあったのかもしれない。

 参拝者もさほど多くなく、境内は静かだった。だが、遠くから絶え間なくガーガーと音がする。空港の工事をしている作業車のエンジン音だ。お寺の裏山を上った先はすぐに空港の工事現場だ。この分だと開港後は飛行機の離発着音が轟音のように聞こえることになるのだろう。一日あたりの本数は大したことは無いのだろうが、静かな聖地の環境は激変することになるのだろうな。

#古い建物 静岡県  #寺院


コメント ( 5 ) | Trackback ( 1 )


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コメント
 
 
 
Unknown (doggylife)
2008-01-20 14:09:31
 こう言ってはナンですが、見事に文化が損なわれていっている感じですね。
 僕の実家の近所に在る小さな神社も同じようなものです。犯罪や事故に対する配慮なのか、訪れる度に境内の樹木は伐採され、何処かしらコンクリートで固められています。
 
 
 
メンテナンスフリーとバリアフリー (asabata)
2008-01-20 22:49:44
doggylife様
コメント有難うございます。
石雲院は昔は末寺を沢山抱えた中心的なお寺だったそうです。
ですから、往時は小僧さんなども沢山居て、境内の手入れも自らの手で頻繁にやっていたのではないかと思われます。
ですが、近年はそういうこともなくなり、お寺を知る人も徐々に減って、境内もやや荒れていたのかも知れません。
山門に至る斜面も崩れたりするでしょうから、補償を利用して再整備したのでしょう。その際、あまり手入れをせずとも維持できるように整備してしまったのではないかと思います。
また、バリアフリー対応のため、本堂近くまで車が乗り入れられるようにもしたようで、そのため新たにコンクリートで擁壁を築いたりしています。
利便性や安全性は増したのですが、御指摘の通り、文化という面では後退しているのかも知れません。

blog、少しだけ拝見させて頂きました。
田端の狭い階段がありましたが、あれは昔は旅館のそばだったところでしょうか。
また後でゆっくり拝見させて頂きます。
 
 
 
無題 (とおる。)
2008-01-21 00:03:27
なんだか切ないですね。

その一言。
 
 
 
やっぱり (j-garden-hirasato)
2008-01-22 05:36:12
やっぱり、
以前のような階段の方が歴史の重みと風情があってよかったですね。
改修するにしても、もう少し何とかなったように思いますが、残念です。
それにしても、昔の写真をよく保存されてますね。
感心いたしました。
 
 
 
Unknown (doggylife)
2008-01-22 21:37:38
 なるほど。様々な事情による必然なのですね。本来人々が行き来する為の設備に対し、その利便性を無視して単に鑑賞の対象という括りで勝手な事を言うのは、実際に利用している人々に対して失礼なのかも知れませんね。
 少し違ったアプローチの考え方も在りますが、それはまた別な機会に。

 田端の階段に関して、観て頂いてありがとう御座います。周囲に旅館が在ったという印象は無いのですが、オンラインの地図で示せば此処になります。

http://map.yahoo.co.jp/pl?lat=35.73365926267059&lon=139.76504392069685&sc=1&mode=map&type=scroll

 図中にも記されている、大きな階段から右に逸れた道(登り方向に対して右後ろに伸びる道)の突き当たり左側が、写真の階段です。
 
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