コートジボワール日誌

在コートジボワール大使・岡村善文・のブログです。
西アフリカの社会や文化を、外交官の生活の中から実況中継します。

新しい朝

2008-09-17 | Weblog
黎明に目覚める。薄暗がりに、これまでと違う天井を眺め、新しい朝を迎えたことを知る。

過去に、何度こうした経験をしてきただろう。新しい土地、新しい住処、新しい仕事、新しい職場、新しい人々。赴任して第一日目の朝。それまでの生活や職務を、全て頭の中から消去した、白紙の朝。
外交官であれば、数年ごとに訪れる、凛とした朝。時差もあって妙に冴えた頭が、今度の赴任にあたっての任務を反芻する。特命全権大使という厳めしい職名は、単に虚仮威しではない。常に何ものかの補佐であったこれまでの職務とは異なり、お前自身が代表であるという任命である。

日本国大使とは、日本とその国民を代表する職務だ。自分の一挙手一投足が、日本国の一挙手一投足となりうる。自分の判断は、そのまま日本国の判断となりうる。責任は重大だ。心しなければならない。

一国の外交は、その国の国民性そのものが反映されると考えてきた。国民には誰しも、自分の国にこう振る舞ってほしい、という期待がある。日常生活での、是非の判断、正邪の分別、礼儀や立ち居振舞い、周りの人々との接し方は、そのまま自国の外交のあるべき姿に重ねられる。とりわけ、人間として持つ誇りを、自分の国についても誇れるようでありたいと、皆考えている。日本人の矜持は、日本国の矜持であるべきなのだ。それが外交の最大の任務である。

空が白んできた。今日から、コートジボワールという国を相手に、大使を務める日々がはじまる。初日の朝の気構えを忘れてはならない。大使にはどのような仕事が待ちうけているのか、心躍る挑戦である。

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1 コメント

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Unknown (Ken)
2008-10-31 17:33:43
史上初(?)の日本の特命全権大使によるブログの開設おめでとうございます。日本からは遠い国ですが、ブログを読んでいるとほぼリアルタイムで情報が伝わってきます。日本とコートジボワールの友好の歴史を築くために、これから全力でがんばってください。そしてその成果を(失敗も含めて)世界に発信してください。期待しています!
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