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遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

ひとつの中国と、自立する台湾

2005-07-09 23:53:45 | EEZ 全般
 「中国が台湾制圧」の続きなのですが、台湾の立場で考えるとどうなのでしょう...。
 中国の勃興と台湾
 自立したい台湾、追いすがる中国
 台湾政治の逆流
 台湾政治の逆流(2)
 
 最近の台湾情勢を見ると、その中国的な政治のダイナミズムがますます輝いていると感じられる。反中国派(独立派)から親中国派(統一派)まで、李登輝(台湾団結連盟)、陳水扁(民進党)、連戦(国民党)、宋楚瑜(親民党)と色分けされた指導者たちが、互いに同盟したり裏切ったりしながら政治の綱引きを展開している。
 加えて、国民党や民進党では、馬英九や謝長廷といった次期指導者の候補らが、現職と微妙に違う政策を示唆したりして、政局に厚みが加わっている。そこに影響を及ぼすべく、江沢民から胡錦涛に変わって柔軟なイメージを醸し出す中国が、軍事の脅しと経済の甘言を発している。

 台湾では、中国との統一に反対する傾向が強い民進党(民主進歩党)の陳水扁が2000年と2004年3月の2回の大統領選挙(総統選挙)で勝ち、統一を支持する傾向が強かった国民党と親民党は連敗していますので、国民の多くは統一は望んでいない様です。
 統一にも種類があって、国民党が昔に掲げていたのは、共産党に国民党が打ち勝っての統一です。中国は、吸収併合しての統一を言っています。共産党独裁の不自由で人権も疎かにされそうな中国に吸収されての統一は、世界に誇るIT産業を持つ台湾の多くの人たちには魅力はないでしょう。(経済進出の魅力は大きいですが)
ただし、2004年12月の議会選挙では、民進党が議会の過半数を制することに失敗していて、中国のあらゆる圧力に対する配慮も現れています。
 民進党の陳水扁は、親民党党首の宋楚瑜と「扁宋十点」(陳水扁・宋楚瑜の10カ条)と呼ばれる合意を交わし議会運営を安定化させるとともに、「台湾独立」に見切りをつけ、世界的な覇権を拡大しつつある中国との交渉をできるだけ有利に進めることが台湾の生きる道であると考える戦略に転換したようです。
 台独にこだわる民進党政権が、台湾企業の大陸への投資を規制してきた為、財界からも「台独の方針を捨てるべきだ」という主張や請願が相次いで出され、規制緩和の要請が出されているのだそうです。
 
▼急速に落ちる民進党への支持

 台湾の株価は、中国が台湾に危険を及ぼすかどうかということに敏感であるといわれるが、中国が反分裂国家法を制定した際、株価は予想に反してあまり下落しなかった。このことからは「台湾独立より中国との接近の方が、危険が少ない。儲かる」という見方が、一部の大金持ちの財界人だけのものではなく、株を売買している多数の台湾の小金持ち(中産階級)にも共有されていることが感じられる。
 ただ、民進党の支持者の中には、台湾独立を掲げる党だから支持してきたという人も多い。そうした人々にとっては、陳水扁が、宋楚瑜や連戦に引っ張られて台独を捨てようとしていることが、大きな失望感となっている。
 そのことは、世論調査における民進党への支持率の急速な下落として表れている。4月28日前後に行われた世論調査では、民進党の支持率は、それ以前の36・5%から、28・6%へと落ち、5月4日前後の調査ではさらに23・6%に急落している。この間、国民党への支持率は26-29%で比較的安定しており、民進党は国民党に抜かれてしまった。

 それなら、中国が言うひとつの中国に、台湾の多くの人が賛成ということなのでしょうか...?
 米国の態度もはっきりしません。
 
 これまで台湾の後ろ盾となってきたアメリカが、昨年「アジアのことはアジアに任せる」という態度を強め、台湾に対しても独立傾向を批判するとともに、中国との統一を隠然と勧告し始めた。そして、こうした新しい事態の中、独立傾向を強めるための最後のチャンスだった昨年12月の議会選挙で、民進党が議会の過半数を制することに失敗した結果、台湾の政局は流動的な時期に突入した。
(アメリカが中国に対してどんな政策を採っているのか、中国はアメリカの敵なのか味方なのか、というのは議論が尽きないテーマである。アメリカは軍事的には、沖縄から中央アジアまでの中国包囲網を敷いているように見えるが、その一方でアメリカは、中国をG7やWTOなどの「国際社会」に引き入れる関与政策も展開し、北朝鮮をめぐる危機の解決を中国に任せ、朝鮮半島に対する中国の影響力拡大を容認している)
(この矛盾した中国政策は、米政府の中枢における対立の結果としての妥協の産物なのか、もしくは外部に本当の政策を知らせないために故意に複雑にしているのか、真意は不明だが、最近のアメリカは、今年末にマレーシアで開かれる予定の「アジアサミット」【ASEAN+日中韓+豪印などが集まる「アジア共同体」の設立につながる動きになりそうな会議】に参加しないなど「アジアのことはアジアに任せる」傾向を強めている。その流れで見ると、中国敵視はアメリカの中心的な政策ではないと感じられる)

 胡錦涛がまいた「中国は一つだと言う人なら誰でも歓迎」という「まき餌」に食いつき、相次いで中国を訪問したのが「一つの中国」「中華民国」を支持し続けてきた国民党と親民党だそうです。
 この二大野党のひとつ、親民党の党首宋楚瑜は陳水扁の民進党と組み、陳水扁を独立から統一へ変遷しやすくしているのだそうです。
 「経済を中心に台中間を緊密にしていくべきだ」と主張し続けてきた連戦は、4月末に訪中し、4月30日に北京で胡錦涛と会談した。国民党と共産党のトップが60年ぶりに会うという、歴史的な出来事を実現させた。
 
 台湾の民意の中心は「現状維持重視」であるが、どうやって現状を守るのが良いかという点で揺れ動いている。これまでは「中国に強引に統一されるとひどいことになる。独立を唱え続けることこそが現状維持である」という台独派が強かったが、連戦の訪中とともに「中国はそれほど強引ではない。中国市場こそが台湾の生きる道だ。生け簀は意外と心地よい。独立など唱えず、中国と交渉しつつ現状を維持する方が良い」という統一派が強くなった。

 陳水扁は、連戦が露払いで訪中してくれた後の評価をみながら独立派の様子を見ていましたが、上述の民進党に対する支持率が急速に落ちたのは、「陳水扁が選挙公約である台湾独立の目標を捨て、連戦や宋楚瑜の訪中に乗って中国にすり寄る態度を見せたことが、党の支持者を失望させている」と、陳水扁を非難する台独派主導の動きが広がった為、再び態度を変え、「中国側は、最初は良い条件で誘ってくるが、誘いに乗って中国に進出した人が安住した後になって断れない要求を出し、自分たちの言いなりにさせてしまう。中国はこの方法で、多くの台湾商人に圧力をかけている。甘言に乗ると、台湾の農民も、農奴にされてしまうだろう」と述べたりしたのだそうです。

 台湾の政治指導者も、財界リーダーも、国民も揺れ動いています。米国も...?
 連邦国家の構想もあるそうですが、台湾のそれは対等な連邦であり、中国は対等を認められないのは言うまでもありません。
 
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米国の態度は戦後一貫しています! (tsubamerailstar)
2005-07-10 22:15:53
>米国の態度もはっきりしません。



米国にとっての台湾とは、対中牽制カード=反共防波堤の駒でありそれは朝鮮戦争以降一貫して不変です。

「台湾海峡の現状の一方的変更には反対」つまり、北京側からの一方的な武力侵攻にも反対するが、台北側からの挑発行為もいさめる・・・・本音としては永遠に両岸が睨みあっていてくれれば、「台湾関係法」に基づいて武器も売れるし、対中牽制にもなり一挙両得、といったとこなのでしょう。ただし、その両岸の投手戦の均衡が崩れつつあるのが現況で、それをどう読むか、でしょうね。







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Re: 米国の態度 (遊爺)
2005-07-11 01:17:05
tsubamerailstaさん、毎度コメントをありがとうございます。



 米国・タカ派(ライス長官他)の伝統的姿勢は、仰る通りです。どちらかというと台湾保護にウェイトが高いと思います。

 パウエル長官等の中道派は、中立で国際バランスや、中国への配慮が感じられます。ひとつの中国との中国の主張に、台湾、中国の話し合いの場を後押ししているとも見えます。タカ派もイラクの状況から一時の勢いは陰を潜めています。

 台湾海峡を防衛ラインとし、台湾に武器を売りたいのは、タカ派も中道派も似ていますが、武器輸出はタカ派の方が、より熱心かと...。



 台湾の多くの人たちの意志が、中国の脅しや米国の政策に左右されずに表現され、実現されることが望まれます。 が、きれい事が通じない現時の中で、台湾の政治家も財界人も揺れています。

 米国も、タカ派、中道派ではなく、台湾や世界平和を配慮した態度を示して欲しいものです。

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