インドネシアの高速鉄道受注の敗北では、菅官房長官が「日本の提案が選ばれなかったのは極めて残念。『中国案歓迎』は遺憾」とコメントを公表しました。
残念までは良いのですが、中国案が歓迎されたことへの遺憾の表明はいかがなものでしょう?
お客様への売り込みで競合がある時に、何処の売り込み先を選択するかはお客様が自分の判断で決めるのは当然です。新興国向けの日本製品(車や携帯電話等)輸出が韓国や欧州勢に軒並み敗れた時期がありました。高度成長を果たした初心を忘れて、製品の過剰品質にあぐらをかき、品質のおしきせで、顧客のニーズへの対応と言う基本を忘れていたからでした。
今回の受注失敗について、原因を他に転嫁するのではなく、自らにないのか、しっかり反省し、他に備えないと、世界中で繰り広げるインフラ受注合戦でも、同様の敗北を重ねることになります。
日本の名だたる電器企業が、韓国勢に席捲された例を繰り返すことになってはいけません。日本の地質調査結果が中国に流れたとの報道がありますが、事実とすればそうした情報管理も含めた対策も必要なのです。(工期の競争で、中国がニーズ通りに出来るのは、既存の軌道を活用するからとの報道もあります。だとすれば、新規ルートの設計の日本の調査は関係ない?)
インドネシア高速鉄道計画、「中国案歓迎」は遺憾=菅官房長官 | Reuters
<インドネシア高速鉄道>中国案、用地取得など波乱含み (毎日新聞) - Yahoo!ニュース
インドネシア側のニーズは何だったのか。
価格(財政が苦しい政府の負担)、工期、品質の優先順位への日中の対応では、どちらがニーズに適合していたのか?工期のニーズも高かったとの情報もありましたね。
日本が中国に敗れたインドネシア高速鉄道建設、「中国案が唯一の選択。技術だけが選考基準ではない」―インドネシア国営企業相 (Record China) - Yahoo!ニュース
他にも、日本の受注体制が縦割りで、ワンストップになっておらず責任の所在が不明瞭という報道もありました。
(オリンピック関連の諸問題と同じ?)
中国が何が何でも受注したい背景は、AIIB設立の目的と同様で、国内のインフラ建設整備が行き渡り、生産能力や在庫が余り、海外需要を取り込んでいかないと、経済が失速してしまう危機感があるのですね。
アベノミクス・第三の矢も同じ課題を背負っていて、インフラ整備の海外受注やTPPに力を入れているのですが。
失敗を次の成功の糧にする。これは、本来の日本の製造業の財産だったはずです。過去の実績に驕ることなく、興隆する新興国とも、先進国とも競争に打ち勝てるには、基本に立ち戻って、顧客のニーズとシーズの融合を図ることが望まれます。
# 冒頭の画像は、インドネシアのジョコ大統領とリニ大臣
インドネシア高速鉄道報道と日本メディアの後出しジャンケン - インドネシアの経済・社会・株・情報 | いんどねしあ新聞 より
この花の名前は、モナルダ
↓よろしかったら、お願いします。
残念までは良いのですが、中国案が歓迎されたことへの遺憾の表明はいかがなものでしょう?
お客様への売り込みで競合がある時に、何処の売り込み先を選択するかはお客様が自分の判断で決めるのは当然です。新興国向けの日本製品(車や携帯電話等)輸出が韓国や欧州勢に軒並み敗れた時期がありました。高度成長を果たした初心を忘れて、製品の過剰品質にあぐらをかき、品質のおしきせで、顧客のニーズへの対応と言う基本を忘れていたからでした。
今回の受注失敗について、原因を他に転嫁するのではなく、自らにないのか、しっかり反省し、他に備えないと、世界中で繰り広げるインフラ受注合戦でも、同様の敗北を重ねることになります。
日本の名だたる電器企業が、韓国勢に席捲された例を繰り返すことになってはいけません。日本の地質調査結果が中国に流れたとの報道がありますが、事実とすればそうした情報管理も含めた対策も必要なのです。(工期の競争で、中国がニーズ通りに出来るのは、既存の軌道を活用するからとの報道もあります。だとすれば、新規ルートの設計の日本の調査は関係ない?)
インドネシア高速鉄道計画、「中国案歓迎」は遺憾=菅官房長官 | Reuters
<インドネシア高速鉄道>中国案、用地取得など波乱含み (毎日新聞) - Yahoo!ニュース
インフラ輸出は戦略の練り直しが必要だ (10/3 日経 社説)
インドネシア政府は日本と中国が受注を競ってきた高速鉄道計画を中国に発注する方針を決めた。建設にあたり、インドネシアに財政負担が生じない中国の提案が決め手になったという。
インフラ輸出には、新興国の発電所や港湾の整備を通じて相手国との関係を強化する経済外交と、膨大な需要を好機ととらえるビジネスの2つの側面がある。
受注活動に関与する国には内外への説明責任が、参加する企業には事業採算の確保が求められる。この両立が欠かせない。世界で過熱する競争に日本はどう臨むのか。戦略の練り直しが必要だ。
中国の習近平政権は、欧州からアジアに至る陸路・海路の両面で中国の影響力が強い経済圏をつくる「一帯一路」構想を掲げる。高速鉄道受注へ示した破格の条件には、インフラ輸出の重点分野である高速鉄道で実績を築きたいとの思いがあったのだろう。
新興国が財政負担を抑えてインフラを整備したいと考えるのは自然だ。インドネシアの選択を尊重しなければならない。
インフラ輸出は新興国の自律的な経済成長を後押しするものであるべきだ。日本の新幹線技術や高効率発電設備への評価は高い。だが、事業予算が膨らむ最新鋭設備を新興国が本当に必要としているのか。計画の立案段階から相手国とよく協議する必要がある。
インフラは建設から運転・保守までライフサイクル全体で考えるべきものだ。長い事業の間には政変や経済危機など予期せぬリスクが控える。協力には導入国のコストを抑え、様々なリスクを最小化する効率化の視点が大切だ。
日本は鉄道の建設資金を円借款でまかなう計画だった。1997年のアジア通貨危機では、インドネシアでも円借款を供与した案件で返済を繰り延べする事態になった。円借款が公的資金を元手とする以上、中国のように建設資金を丸抱えできないのは確かだ。
ただし、今回受注を逃したことの検証は必要だ。インドネシアは累積の円借款供与額が世界で最も大きい。実績と供与のルールに縛られ、要望に柔軟に応えることができなかったのではないか。
中国は鉄道建設に加え、鉄道車両工場の建設や技術移転などをパッケージで提案したとされる。競争を勝ち抜くには、ひとつの分野にとどまらない総合的な提案力を磨かなくてはならない。
インドネシア政府は日本と中国が受注を競ってきた高速鉄道計画を中国に発注する方針を決めた。建設にあたり、インドネシアに財政負担が生じない中国の提案が決め手になったという。
インフラ輸出には、新興国の発電所や港湾の整備を通じて相手国との関係を強化する経済外交と、膨大な需要を好機ととらえるビジネスの2つの側面がある。
受注活動に関与する国には内外への説明責任が、参加する企業には事業採算の確保が求められる。この両立が欠かせない。世界で過熱する競争に日本はどう臨むのか。戦略の練り直しが必要だ。
中国の習近平政権は、欧州からアジアに至る陸路・海路の両面で中国の影響力が強い経済圏をつくる「一帯一路」構想を掲げる。高速鉄道受注へ示した破格の条件には、インフラ輸出の重点分野である高速鉄道で実績を築きたいとの思いがあったのだろう。
新興国が財政負担を抑えてインフラを整備したいと考えるのは自然だ。インドネシアの選択を尊重しなければならない。
インフラ輸出は新興国の自律的な経済成長を後押しするものであるべきだ。日本の新幹線技術や高効率発電設備への評価は高い。だが、事業予算が膨らむ最新鋭設備を新興国が本当に必要としているのか。計画の立案段階から相手国とよく協議する必要がある。
インフラは建設から運転・保守までライフサイクル全体で考えるべきものだ。長い事業の間には政変や経済危機など予期せぬリスクが控える。協力には導入国のコストを抑え、様々なリスクを最小化する効率化の視点が大切だ。
日本は鉄道の建設資金を円借款でまかなう計画だった。1997年のアジア通貨危機では、インドネシアでも円借款を供与した案件で返済を繰り延べする事態になった。円借款が公的資金を元手とする以上、中国のように建設資金を丸抱えできないのは確かだ。
ただし、今回受注を逃したことの検証は必要だ。インドネシアは累積の円借款供与額が世界で最も大きい。実績と供与のルールに縛られ、要望に柔軟に応えることができなかったのではないか。
中国は鉄道建設に加え、鉄道車両工場の建設や技術移転などをパッケージで提案したとされる。競争を勝ち抜くには、ひとつの分野にとどまらない総合的な提案力を磨かなくてはならない。
インドネシア側のニーズは何だったのか。
価格(財政が苦しい政府の負担)、工期、品質の優先順位への日中の対応では、どちらがニーズに適合していたのか?工期のニーズも高かったとの情報もありましたね。
日本が中国に敗れたインドネシア高速鉄道建設、「中国案が唯一の選択。技術だけが選考基準ではない」―インドネシア国営企業相 (Record China) - Yahoo!ニュース
他にも、日本の受注体制が縦割りで、ワンストップになっておらず責任の所在が不明瞭という報道もありました。
(オリンピック関連の諸問題と同じ?)
中国が何が何でも受注したい背景は、AIIB設立の目的と同様で、国内のインフラ建設整備が行き渡り、生産能力や在庫が余り、海外需要を取り込んでいかないと、経済が失速してしまう危機感があるのですね。
アベノミクス・第三の矢も同じ課題を背負っていて、インフラ整備の海外受注やTPPに力を入れているのですが。
失敗を次の成功の糧にする。これは、本来の日本の製造業の財産だったはずです。過去の実績に驕ることなく、興隆する新興国とも、先進国とも競争に打ち勝てるには、基本に立ち戻って、顧客のニーズとシーズの融合を図ることが望まれます。
# 冒頭の画像は、インドネシアのジョコ大統領とリニ大臣
インドネシア高速鉄道報道と日本メディアの後出しジャンケン - インドネシアの経済・社会・株・情報 | いんどねしあ新聞 より
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