遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

中国発の世界株安が止まらない

2015-08-24 23:58:58 | 中国 全般
 中国発の世界株安が止まりませんね。
 前回も書かせていただいたのですが、上海総合株価指数の推移は、昨年の6月は2,048で、今年の6月12日の高値は、5,178(終値=5,166)となり、2.5倍を超えていました。これが、7月9日には、3,374(最安値、終値=37,09)にまで一気に下がってしまったのでした。中国政府のなりふり構わぬ介入で、一旦歯止めがかかっていたのですが、先週、世界の株価が下がり始めました。
 中国経済の不振の深刻さが、世界で改めて認識された事に加えて、政局争いが激化する社会不安要素も加わり、チャイナリスクが増大していることが原因で、歯止めがかからなくなったのではないかと危惧されます。
 

中国、たたみ重なる二律背反、悪循環が始まった可能性 | JBpress(日本ビジネスプレス) 2015.8.22 武者 陵司

 為替、経済、株式等で困難が続出、打ち出す緊急避難策が、さらに事態を悪化させるという二律背反が中国のシステムを覆い始めている

 これまでの中国に対する絶大な信頼の根源は、当局の圧倒的な統制力、リスク制御能力にあった。経済の合理性や本源的価値がどうであっても、景気の悪化、市場の崩落、投資損失や資産の不良化などの心配は当局のオールマイティーに対する信頼によりカバーされてきた。無謬性を旨とする共産党当局とその影響下にあるメディア、多くのコメンテイターによって、中国に危機など起きるわけがない、との強いコンセンサスが形成されていた。しかし
今顕在化した、たたみ重なる二律背反は、当局の制御能力の限界を知らしめ始めている


■元安誘導が引き起こした矛盾
 
決定的な二律背反は為替であろう。8月11日から13日までの元安誘導は景気悪化に直面している中国経済に対しては、整合的なものであった。中国人民銀行はこれをIMFの勧告に基づいた市場実勢への通貨管理の弾力化であり改革の一環であると説明
した。
 しかし、市場参加者の大勢は、そ
れは口実であり、経済的要請から元切り下げを余儀なくされた
とみている。

 中国の輸出は1~7月累計で前年比▲0.3%、7月単月では前年比▲8.3%と落ち込み、これまでとは打って変わって、輸出が成長の足かせとなっている。
 今では中国主要都市の賃金はアジア新興国で最高となり、価格競争力の減衰が顕著になってきた。元高が競争力を弱めているのである。また、今進行中の金融緩和を実効性のあるものにするためには、人民元安を容認せざるを得ないという因果関係がある。金融緩和により下落圧力を受ける人民元の価値を維持するためには元買いドル売り介入が必要だが、それは金融緩和を尻抜けにさせてしまう。やはり
弱い経済実態には通貨安は必然なのである。となると、たった4%弱の切り下げは極めて不十分でありさらなる切り下げは不可避
との観測が高まる。
 しかし、
元安は大きなデメリットも引き起す。元高神話が砕かれたことで、中国企業の国際資金調達は今後著しく困難化し、中国からの資本逃避にも弾みがかかる
ことも予想される。それは巨額の対外資本流入を所与としてきた中国金融をさらにひっ迫させ、一段の元安期待を醸成せずにはおくまい。
 中国のここ数年の急躍進は貿易黒字と言うより巨額の対外資本調達によって可能となったが、その前提である元高が続かないとなると、資金流入どころか資金流出が加速する。
巨額の貿易黒字が続いているのに中国の外貨準備高が2014年以降減少しはじめ、同時に増加し続けてきた対外純資産高も2013年末の1.99兆ドルをピークに2015年3月末には1.4兆ドルと激減した。中国の外貨管理に大いなる変調が起こっていると考えざるを得ない。当局の元安誘導は、その混乱を加速
する可能性が高い。

■危機対応策が事態を悪化させる
 
経済政策面でも需要創造政策において二律背反が起きている。成長急鈍化の根本原因は不動産、設備、インフラなどの過剰投資であるのだから、消費への需要シフトが唯一の対応策なはずである。しかし消費拡大のための賃金上げ、労働分配率の引き上げは収益が悪化している企業のキャッシュフローを直撃するので困難
である。したがって、失速回避のため屋上屋のインフラに対する過剰投資を積み上げている。

 
金融面でも二律背反が顕著である。株式の暴落対策、海外資本逃避の抑制、経営が困難化する国営企業・地方政府へのファイナンス強化のために、裁量的金融の強化が不可欠となっている。それは市場の自由化による適正な資本配分の促進に逆行する。そもそも中国経済に対する根本的処方は、政治的民主化による分配構造の改革、国有企業改革であるはずだが、それは統制を壊し経済困難を一段と強めるとして棚上げされる


 このようにして
中国経済と市場はいよいよ手詰まりとなり、株式や通貨のフリーフォールに帰結する悪循環というシナリオも排除できなくなってきた。この先しばらくは弥縫策(びほうさく)による小康状態が繰り返されるだろうが、それは事態を底入れさせるものにはならない。
<後略>




 記事では、日本株式の需給環境は良い。日本株式の長期上昇シナリオは、揺るがないと考えられる。としながら、短期日本株式展望に関しては、大荒れのリスクシナリオも念頭に入れておくべきかもしれない(言うまでもなくそこは底値買いの投資機会を提供してくれるものとなろうが)とも指摘しています。

 週明けの今日も、世界同時株安は進行中ですね。
 
時事ドットコム:東京株急落、800円超安=1万9000円割れ、中国懸念高まる ← 18,000円割れは凌いだ!
 米国株、急落して始まる ダウ平均1000ドル安、中国懸念で売り加速 :日本経済新聞

 暫くは、中国の経済状況と、政局争いに目が離せませんね。

 人民元引き下げについての、米英中の代表紙の評価は以下。
 為替の自由化への一歩との主張の真意は不明ですが、本気ならば今のレベルで中断すべきではないし、輸出振興策としても、今のレベルでは効果が出るレベルではないことは、諸兄がご承知の通りです。
 だとすれば、当初言われていた。10%以上の切り下げ、輸出回復ならもっと大幅な切り下げが必要ですね。
 
【環球異見】中国の人民元切り下げ 米紙、「通貨危機招く恐れ」と警鐘 - 産経ニュース


 # 冒頭の画像は、ニューヨーク証券取引所で株価の動きを見つめるトレーダー






  この花の名前は、イカリソウ


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