トランプ大統領がアジア歴訪の中で、安倍首相が提唱していた「自由で開かれたインド太平洋戦略」を唱え、インドやオーストラリアも賛意を示しました。
米国が日本主導の外交戦略に追随したのは初めてのことだろうと指摘するのは、産経のコラム「湯浅博の世界読解」。
シンガポールの東南アジア研究所が4月に実施したASEANの政府当局者や知識人への調査で、「東アジアでもっとも影響力のある国は」との問いで、米国は4%に落ち込み、中国を選んだ回答者が74%に達していたのだそうです。日本は?
安倍首相は、マニラで、日米にオーストラリアとインドを加えた4カ国戦略対話を実現させ、「中国の台頭と米国の無気力」に対処するための対中包囲網づくりだとの評価を得たのでそうです。他にも、米国の離脱で分解しかけた「TPP」を、ベトナムとの共同議長国の役割を果たし、米国抜きの「CPTPP」での大筋合意を成立させました。
トランプ大統領の内向き政策路線で生じる東アジアの「戦略的な空白」に、中国がつけこんで覇権を拡大させる中での安倍首相によるリーダーシップでの中国包囲網造りは、中国の膨張主義を恐れる国々の期待に応える日本の役割が果たせていると言えるものですね。
昨日触れた、日本の「一帯一路」への実質参加。「日米豪印」主導の対中包囲網を構築すると同時に、虎穴にも入る両面作戦を採る安倍政権。良く言えば、東アジアでの外交舞台での主導権へのチャレンジと言えますが、米国と中国との間での「コウモリ外交」とも言えます。
米国の退潮の空白につけこむ中国の覇権拡大を、米印豪との連携による主導で、中国の膨張主義を恐れる各国の期待に沿うことが出来ることを期待します。
日本が「一帯一路」に参画 それでいいの? - 遊爺雑記帳
この花の名前は、椿
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米国が日本主導の外交戦略に追随したのは初めてのことだろうと指摘するのは、産経のコラム「湯浅博の世界読解」。
シンガポールの東南アジア研究所が4月に実施したASEANの政府当局者や知識人への調査で、「東アジアでもっとも影響力のある国は」との問いで、米国は4%に落ち込み、中国を選んだ回答者が74%に達していたのだそうです。日本は?
安倍首相は、マニラで、日米にオーストラリアとインドを加えた4カ国戦略対話を実現させ、「中国の台頭と米国の無気力」に対処するための対中包囲網づくりだとの評価を得たのでそうです。他にも、米国の離脱で分解しかけた「TPP」を、ベトナムとの共同議長国の役割を果たし、米国抜きの「CPTPP」での大筋合意を成立させました。
トランプ大統領の内向き政策路線で生じる東アジアの「戦略的な空白」に、中国がつけこんで覇権を拡大させる中での安倍首相によるリーダーシップでの中国包囲網造りは、中国の膨張主義を恐れる国々の期待に応える日本の役割が果たせていると言えるものですね。
米中動かす「インド太平洋」 (11/29 産経 【湯浅博の世界読解】)
アジア太平洋に限っては、米国主導の秩序「パクス・アメリカーナ」が遠ざかり、「時代は中国が支配する」との想像が容易になりつつある。では、トランプ米大統領は今回のアジア外交で、この中国に傾きつつあるパワーバランスを引き戻すことができたのだろうか。
東南アジアの指導者たちは、国際法を無視して南シナ海の島嶼(とうしょ)を不法占拠する中国の膨張主義を恐れる。シンガポールの東南アジア研究所が4月に実施した東南アジア諸国連合(ASEAN)の政府当局者や知識人300人以上への調査では、そうした実態を浮き彫りにした。
「トランプ政権をどう考えているか」との質問に、回答者の70%が「米国の積極的な関与が安心を生み、安定する」と答えている。だが、「東アジアでもっとも影響力のある国は」との問いになると、とたんに米国は4%に落ち込み、中国を選んだ回答者が74%に達していた。
注目すべきは、回答者の80%が米国の無関心が、この地域の「戦略的な空白」を生み、中国が埋めることになると考えていることだ。米国が「アメリカ・ファースト」と北米の島国に閉じこもれば、アジアでは不本意でも中国のバンドワゴン(時流)に乗らざるをえなくなる。
彼らは、オバマ前政権の何もしない「戦略的忍耐」と、トランプ政権の「取引」外交がそう違わないと考える。トランプ政権は、中国による南シナ海の不法行為を抑制するより、北朝鮮の核問題で中国の協力を仰ぐことの方が米国の利益と考えるからだ。
東南アジアの指導者は、習近平国家主席が米中首脳会談後の会見で、「太平洋には中国と米国が受け入れるには十分な広さがある」との宣言には身構えたに違いない。
だからトランプ大統領が、続くベトナムのアジア太平洋経済協力会議(APEC)関連の演説で、「インド太平洋というビジョンを共有できるのは誇りである」と、アジアへの関与を示したのはまだしも救いであった。
このインド太平洋という概念は、もともと安倍晋三首相のアイデアの借用であったことは周知の通りだ。おそらく、米国が日本主導の外交戦略に追随したのは初めてのことだろう。それだけ、米国の威信と外交力の劣化が進んでいる。
その意味で、安倍首相がマニラで、日米にオーストラリアとインドを加えた4カ国戦略対話を実現させた意義は大きい。キングス・カレッジ・ロンドンのハーシュ・パント教授は、この枠組みについて「中国の台頭と米国の無気力」に対処するための対中包囲網づくりだとみている(米紙ウォールストリート・ジャーナル)。
しかも、米中が関与しないところで、日本は環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)参加11カ国で新協定案の合意に近づけている。誰もが米国のTPP離脱で、中国が多国間協定の空白を埋めると考えていた。だが、TPPは形を変えて生き残った。
安倍首相がトランプ氏を動かし、他方で「日米豪印」や「TPP11」をまとめる独自外交は、中国ですら日本を無視できなくなっていた。ベトナムAPECの際には日中首脳会談に習主席を引きずり出し、マニラでは李克強首相との会談を実現させた。
日本のインド太平洋外交が米中を動かしたのである。日本は日米同盟が基礎であるとしても、多国間の新しい安全保障枠組みでリスクヘッジを考えるべきだろう。(東京特派員)
アジア太平洋に限っては、米国主導の秩序「パクス・アメリカーナ」が遠ざかり、「時代は中国が支配する」との想像が容易になりつつある。では、トランプ米大統領は今回のアジア外交で、この中国に傾きつつあるパワーバランスを引き戻すことができたのだろうか。
東南アジアの指導者たちは、国際法を無視して南シナ海の島嶼(とうしょ)を不法占拠する中国の膨張主義を恐れる。シンガポールの東南アジア研究所が4月に実施した東南アジア諸国連合(ASEAN)の政府当局者や知識人300人以上への調査では、そうした実態を浮き彫りにした。
「トランプ政権をどう考えているか」との質問に、回答者の70%が「米国の積極的な関与が安心を生み、安定する」と答えている。だが、「東アジアでもっとも影響力のある国は」との問いになると、とたんに米国は4%に落ち込み、中国を選んだ回答者が74%に達していた。
注目すべきは、回答者の80%が米国の無関心が、この地域の「戦略的な空白」を生み、中国が埋めることになると考えていることだ。米国が「アメリカ・ファースト」と北米の島国に閉じこもれば、アジアでは不本意でも中国のバンドワゴン(時流)に乗らざるをえなくなる。
彼らは、オバマ前政権の何もしない「戦略的忍耐」と、トランプ政権の「取引」外交がそう違わないと考える。トランプ政権は、中国による南シナ海の不法行為を抑制するより、北朝鮮の核問題で中国の協力を仰ぐことの方が米国の利益と考えるからだ。
東南アジアの指導者は、習近平国家主席が米中首脳会談後の会見で、「太平洋には中国と米国が受け入れるには十分な広さがある」との宣言には身構えたに違いない。
だからトランプ大統領が、続くベトナムのアジア太平洋経済協力会議(APEC)関連の演説で、「インド太平洋というビジョンを共有できるのは誇りである」と、アジアへの関与を示したのはまだしも救いであった。
このインド太平洋という概念は、もともと安倍晋三首相のアイデアの借用であったことは周知の通りだ。おそらく、米国が日本主導の外交戦略に追随したのは初めてのことだろう。それだけ、米国の威信と外交力の劣化が進んでいる。
その意味で、安倍首相がマニラで、日米にオーストラリアとインドを加えた4カ国戦略対話を実現させた意義は大きい。キングス・カレッジ・ロンドンのハーシュ・パント教授は、この枠組みについて「中国の台頭と米国の無気力」に対処するための対中包囲網づくりだとみている(米紙ウォールストリート・ジャーナル)。
しかも、米中が関与しないところで、日本は環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)参加11カ国で新協定案の合意に近づけている。誰もが米国のTPP離脱で、中国が多国間協定の空白を埋めると考えていた。だが、TPPは形を変えて生き残った。
安倍首相がトランプ氏を動かし、他方で「日米豪印」や「TPP11」をまとめる独自外交は、中国ですら日本を無視できなくなっていた。ベトナムAPECの際には日中首脳会談に習主席を引きずり出し、マニラでは李克強首相との会談を実現させた。
日本のインド太平洋外交が米中を動かしたのである。日本は日米同盟が基礎であるとしても、多国間の新しい安全保障枠組みでリスクヘッジを考えるべきだろう。(東京特派員)
昨日触れた、日本の「一帯一路」への実質参加。「日米豪印」主導の対中包囲網を構築すると同時に、虎穴にも入る両面作戦を採る安倍政権。良く言えば、東アジアでの外交舞台での主導権へのチャレンジと言えますが、米国と中国との間での「コウモリ外交」とも言えます。
米国の退潮の空白につけこむ中国の覇権拡大を、米印豪との連携による主導で、中国の膨張主義を恐れる各国の期待に沿うことが出来ることを期待します。
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