
自民党が、政府の新たな「防衛計画の大綱」策定に向けた提言をまとめ安倍総理に提出することとなり、これを受け、防衛省は今月中に大綱見直しの中間報告を取りまとめる予定となっていました。
自民党の提言は、防衛政策の基本的概念として、従来の「動的防衛力」に代わり「強靱な機動的防衛力」を提示し、島嶼防衛強化を打ち出したほか、日本を標的とする弾道ミサイル発射基地など策源地(敵基地)攻撃能力の保有について「検討を開始し、速やかに結論を得る」といったものだそうです。
日本の自衛権で注目されるのは、「集団的自衛権」や「敵基地先制攻撃」です。「集団的自衛権」についてはここでは触れません。自民党の提言では、「敵基地攻撃能力」を持つことを、速やかに検討し結論を得るとしているのだそうですが、防衛省は自民党の提言を受け、大綱見直しの中間報告をとりまとめることとしていました。そして、その中間報告に、実現すれば陸海空3自衛隊が初保有することとなる弾道ミサイルの開発研究費の予算化を明記することにしたのだそうです。
「敵基地攻撃能力保持を」 自民、防衛大綱見直しへ提言 - MSN産経ニュース
防衛のために、敵基地先制攻撃をすることが日本で出来るのかの議論がありますが、自民党の提言では先制攻撃云々には触れず、敵基地攻撃能力保有についてのみ触れられているようです。
それを受けた防衛省は、尖閣奪取に接近する中国の不法上陸を遅らせるためや、不法占拠された場合でもその奪還作戦展開を支援するために、短距離弾道ミサイルの導入の検討を進めると言うのですね。実現すれば陸海空3自衛隊が保有する初の弾道ミサイルとなるのだそうです。すばらしい。
ところが、記事の内容で気になったことが、ふたつあります。ひとつは、弾道ミサイルは、不法上陸を目指して接近する艦艇を撃沈するのではなく、近隣海域に弾道ミサイルを着弾させ不法上陸を遅らせるとの記述です。
諸兄がご承知の様に、中国の対米作戦で、「接近阻止・領域拒否(A2/AD)」を掲げ、対艦弾道ミサイル(ASBM)として、潜水艦から発射する、JL-2(巨浪2号)や、誘導方式で命中させるDF-21(東風-21)を配備し、米軍の艦船の第二列島線以西での活動を封じようとしています。
防衛省が新しく開発する弾道ミサイルは、侵入する艦船に命中させるのではなく、不法上陸を遅らせるのが目的だと。
専守防衛が定められていますから、攻撃をされてからでないと反撃できないからなのでしょうか、技術的に性能が低いからなのでしょうか。資金不足で高性能のものが配備出来ないからなのでしょうか。専守防衛で命中させたくない威嚇射撃だとしたら、それはそれで命中させない精度が要る様に思いますが...。
二つ目は、配備する位置と射程距離を、沖縄本島から尖閣に届く距離で、韓国には届かない設計にしている点。
韓国は、北の挑発に対し、配備するミサイルの距離を米国の了解のもとに伸ばしています。
朝日新聞デジタル:韓国、弾道ミサイル実戦配備へ 北朝鮮全域を射程に - 国際
北朝鮮は、日本をカバーするミサイル配備を完了しています。日本も当然北朝鮮まで届くミサイルの配備をして対北朝鮮の抑止力を高めねばなりませんが、韓国に遠慮して、配備しないということです。
この韓国への配慮が、これまで韓国をつけあがらせて卑日の行動をとらせているのです。韓国が、北への備えとしてミサイルの距離を延ばすのなら、日本も北への抑止力として北まで届くミサイルを配備する権利はあります。また、日本がはいびすることで、日米韓の対北抑止力が増えることになり、韓国にとってもメリットがある話のはずです。
そうした突込みどころはありますが、自衛隊初の弾道ミサイル配備が実現すれば、日本の近隣諸国への抑止力が大幅に向上します。さしあたって喫緊の尖閣への抑止力を優先して実現させるべきですから、まずは尖閣限定版でもいいので、早期実現を優先すべきでしょう。
まだ検討の調査費予算申請をしようかというレベルですが、2016年度と言わず、繰り上げて実施していただきたいものです。中国は待っていてくれませんから。
# 冒頭の画像は、中国の対艦弾道ミサイル(ASBM)のDF-21D(東風-21)

今津港の夕陽
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自民党の提言は、防衛政策の基本的概念として、従来の「動的防衛力」に代わり「強靱な機動的防衛力」を提示し、島嶼防衛強化を打ち出したほか、日本を標的とする弾道ミサイル発射基地など策源地(敵基地)攻撃能力の保有について「検討を開始し、速やかに結論を得る」といったものだそうです。
日本の自衛権で注目されるのは、「集団的自衛権」や「敵基地先制攻撃」です。「集団的自衛権」についてはここでは触れません。自民党の提言では、「敵基地攻撃能力」を持つことを、速やかに検討し結論を得るとしているのだそうですが、防衛省は自民党の提言を受け、大綱見直しの中間報告をとりまとめることとしていました。そして、その中間報告に、実現すれば陸海空3自衛隊が初保有することとなる弾道ミサイルの開発研究費の予算化を明記することにしたのだそうです。
「敵基地攻撃能力保持を」 自民、防衛大綱見直しへ提言 - MSN産経ニュース
短距離弾道ミサイル開発 防衛省検討 大綱案明記へ (6/26 産経)
防衛省が短距離弾道ミサイルの開発の検討に入ったことが25日、分かった。射程は400~500キロを想定し、沖縄本島に配備することで中国による尖閣諸島(沖縄県石垣市)など東シナ海の離島侵攻への抑止力強化を目指す。7月にまとめる防衛力整備の基本方針「防衛計画の大綱」改定案中間報告に明記、平成26年度予算案概算要求に調査研究費を計上したい考え。
実現すれば陸海空3自衛隊が保有する初の弾道ミサイルとなる。運用は陸上自衛隊が行う方向だ。
16年の防衛大綱改定の際も、防衛省は長射程ミサイルの技術研究開始を検討した。だが、公明党が敵基地攻撃能力保有と専守防衛逸脱の恐れがあるとして反対したため見送った。
今回は射程を限定することで敵基地攻撃能力に直結しないと明確化。配備場所も沖縄本島と明示し、九州に配備すれば射程内に入る韓国の反発にも配慮する。
防衛省は16年以降、長射程ミサイルについて陸自の多連装ロケットシステムの能力向上を水面下で検討した。発射台を換え、米軍のミサイルATACMSを発射可能にする案だが、ATACMSの射程は300キロで、沖縄本島から400キロ以上の尖閣には届かない。
このため弾道ミサイル開発の検討に入ったが、低い高度を水平飛行する巡航ミサイルの長射程化ではなく、放物線を描き高速落下する弾道ミサイルを採用するのは「即応性」に優れているため。弾道ミサイルは射程500キロ以内では飛行時間は5分程度で、巡航ミサイルは低速のため同距離だと数十分かかるという。
運用方法は、特殊部隊を乗せた中国艦艇が尖閣に接近すれば近隣海域に弾道ミサイルを着弾させ不法上陸を遅らせる。不法占拠された場合でも、増援艦艇の展開を防ぎ、陸自部隊の迅速な奪還作戦を支援する。
防衛省が短距離弾道ミサイルの開発の検討に入ったことが25日、分かった。射程は400~500キロを想定し、沖縄本島に配備することで中国による尖閣諸島(沖縄県石垣市)など東シナ海の離島侵攻への抑止力強化を目指す。7月にまとめる防衛力整備の基本方針「防衛計画の大綱」改定案中間報告に明記、平成26年度予算案概算要求に調査研究費を計上したい考え。
実現すれば陸海空3自衛隊が保有する初の弾道ミサイルとなる。運用は陸上自衛隊が行う方向だ。
16年の防衛大綱改定の際も、防衛省は長射程ミサイルの技術研究開始を検討した。だが、公明党が敵基地攻撃能力保有と専守防衛逸脱の恐れがあるとして反対したため見送った。
今回は射程を限定することで敵基地攻撃能力に直結しないと明確化。配備場所も沖縄本島と明示し、九州に配備すれば射程内に入る韓国の反発にも配慮する。
防衛省は16年以降、長射程ミサイルについて陸自の多連装ロケットシステムの能力向上を水面下で検討した。発射台を換え、米軍のミサイルATACMSを発射可能にする案だが、ATACMSの射程は300キロで、沖縄本島から400キロ以上の尖閣には届かない。
このため弾道ミサイル開発の検討に入ったが、低い高度を水平飛行する巡航ミサイルの長射程化ではなく、放物線を描き高速落下する弾道ミサイルを採用するのは「即応性」に優れているため。弾道ミサイルは射程500キロ以内では飛行時間は5分程度で、巡航ミサイルは低速のため同距離だと数十分かかるという。
運用方法は、特殊部隊を乗せた中国艦艇が尖閣に接近すれば近隣海域に弾道ミサイルを着弾させ不法上陸を遅らせる。不法占拠された場合でも、増援艦艇の展開を防ぎ、陸自部隊の迅速な奪還作戦を支援する。
防衛のために、敵基地先制攻撃をすることが日本で出来るのかの議論がありますが、自民党の提言では先制攻撃云々には触れず、敵基地攻撃能力保有についてのみ触れられているようです。
それを受けた防衛省は、尖閣奪取に接近する中国の不法上陸を遅らせるためや、不法占拠された場合でもその奪還作戦展開を支援するために、短距離弾道ミサイルの導入の検討を進めると言うのですね。実現すれば陸海空3自衛隊が保有する初の弾道ミサイルとなるのだそうです。すばらしい。
ところが、記事の内容で気になったことが、ふたつあります。ひとつは、弾道ミサイルは、不法上陸を目指して接近する艦艇を撃沈するのではなく、近隣海域に弾道ミサイルを着弾させ不法上陸を遅らせるとの記述です。
諸兄がご承知の様に、中国の対米作戦で、「接近阻止・領域拒否(A2/AD)」を掲げ、対艦弾道ミサイル(ASBM)として、潜水艦から発射する、JL-2(巨浪2号)や、誘導方式で命中させるDF-21(東風-21)を配備し、米軍の艦船の第二列島線以西での活動を封じようとしています。
防衛省が新しく開発する弾道ミサイルは、侵入する艦船に命中させるのではなく、不法上陸を遅らせるのが目的だと。
専守防衛が定められていますから、攻撃をされてからでないと反撃できないからなのでしょうか、技術的に性能が低いからなのでしょうか。資金不足で高性能のものが配備出来ないからなのでしょうか。専守防衛で命中させたくない威嚇射撃だとしたら、それはそれで命中させない精度が要る様に思いますが...。
二つ目は、配備する位置と射程距離を、沖縄本島から尖閣に届く距離で、韓国には届かない設計にしている点。
韓国は、北の挑発に対し、配備するミサイルの距離を米国の了解のもとに伸ばしています。
朝日新聞デジタル:韓国、弾道ミサイル実戦配備へ 北朝鮮全域を射程に - 国際
北朝鮮は、日本をカバーするミサイル配備を完了しています。日本も当然北朝鮮まで届くミサイルの配備をして対北朝鮮の抑止力を高めねばなりませんが、韓国に遠慮して、配備しないということです。
この韓国への配慮が、これまで韓国をつけあがらせて卑日の行動をとらせているのです。韓国が、北への備えとしてミサイルの距離を延ばすのなら、日本も北への抑止力として北まで届くミサイルを配備する権利はあります。また、日本がはいびすることで、日米韓の対北抑止力が増えることになり、韓国にとってもメリットがある話のはずです。
そうした突込みどころはありますが、自衛隊初の弾道ミサイル配備が実現すれば、日本の近隣諸国への抑止力が大幅に向上します。さしあたって喫緊の尖閣への抑止力を優先して実現させるべきですから、まずは尖閣限定版でもいいので、早期実現を優先すべきでしょう。
まだ検討の調査費予算申請をしようかというレベルですが、2016年度と言わず、繰り上げて実施していただきたいものです。中国は待っていてくれませんから。
# 冒頭の画像は、中国の対艦弾道ミサイル(ASBM)のDF-21D(東風-21)

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