遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

次期アメリカ太平洋軍司令官 南シナ海における「中国海洋戦力による優勢」を危惧

2018-04-26 23:58:58 | 日本を護ろう
  南シナ海の中国による「九段線」を根拠とする領海の主張や、人口島を領土とする主張は、仲裁裁判所が否認の裁定を下したにも関わらず中国は無視して領海・領土の主張を続け、軍事拠点化を着実に進めています。
 深海の南シナ海を勇躍する原潜に搭載した対艦ミサイルや、人口島&本土からの対空母攻撃での、AD/A2戦術が大幅に強化され、南シナ海とりわけ南沙諸島の軍事情勢は急変してしまった為、米空母打撃群の脅威は神話化してしまっている状況。
 次期アメリカ太平洋軍司令官のフィリップ・デービッドソン海軍大将は、「これまでのような状況が続けば、南シナ海での米軍側の劣勢は否めない状態である」と連邦議会の司令官指命審査質疑に対して回答したのだそうです。
 
米海軍提督の危惧「海洋戦力は次第に中国が優勢に」 急変してしまった南シナ海の軍事情勢 | JBpress(日本ビジネスプレス) 2018.4.26(木) 北村 淳

 中国の“科学者”の団体が、「南シナ海での科学的調査研究活動をよりスムーズに行うために、これまで『九段線』によって曖昧に示されていた南シナ海における中国の領域を、実線によってより明確に表示するべきである」という提言を行い始めた
 おそらく、中国共産党政府や中国人民解放軍などが九段線を実線に書き直した地図などを公表した場合の国際的反発を避けるために「科学的理由」を持ち出したものと考えられる。いずれにしても、
中国が南シナ海の8割以上の広大なエリアでの軍事的優勢を手にしつつあることへの自信の表明ということができるだろう。

■海軍力を誇示し合う中国と米国
 3月末には、中国海軍が南シナ海に航空母艦を含む43隻もの艦艇を繰り出して、「南シナ海での軍事的優勢は中国側にある」との示威パレードを行った。
 これに対抗して、トランプ政権はセオドア・ルーズベルト空母艦隊を南シナ海に派遣し、中国大艦隊の示威パレードに対抗する措置をとった。

 これまでトランプ政権はFONOP(公海航行自由原則維持のための作戦)を断続的に続けることにより、フィリピンや日本などの同盟国に対して「アメリカは南シナ海情勢から手を退いたわけではない」というアリバイ表明を続けるに留まっていた。だが、
FONOPは通常1隻の駆逐艦が中国が自国領と主張している南沙諸島や西沙諸島の島嶼沿岸12海里内海域を通航するだけであるため、軍事的な示威活動とはなっていなかった
 それに反して数十機の戦闘攻撃機を搭載した原子力空母を中心とする
空母打撃群を南シナ海に展開させることは、「アメリカ海軍は南シナ海から引き下がったわけではない」という軍事的姿勢を示す行動と見なせる。

■威力が衰えつつある米海軍の空母戦力
 しかしながら米海軍関係者からは、
「米海軍空母部隊が深刻な脅威になっているのか?」という疑問が浮上している。

 かつては米海軍空母打撃群が出動してきたならば、中国海洋戦力は「なりを潜め」ざるを得なかった。だが、その状況は大きく変化した。とりわけ、中国本土から突き出た海洋戦力前進拠点としての海南島からさらに1000キロメートル以上も隔たった
南沙諸島に7つもの人工島を建設して、それらを軍事拠点化してしまったという状況の南シナ海では、「米空母神話」は崩れつつある

 南シナ海とりわけ南沙諸島の軍事情勢は急変してしまった。まもなく中国軍は、人工島のうちの3つに建設された航空基地に、米空母打撃群数個部隊に匹敵する航空戦力を配備することが可能になる。そして人工島には強力な地対艦ミサイルや地対空ミサイルが設置されて、南沙諸島周辺海域に近寄ろうとする米海軍艦艇や航空機を威圧する。また、中国本土から発射して米空母を撃沈する対艦弾道ミサイルの開発改良も順調と言われている。それらの攻撃力に先行して、すでに人工島には多数の各種レーダー装置が設置されつつあり、
中国側の南沙諸島周辺海域の監視態勢は万全になりつつある

 監視レーダー装置だけではない、南シナ海上の敵側艦艇や敵航空機のレーダーをはじめとする電子装置を妨害するための電子妨害システムも、人工島基地群に持ち込まれたようである。機密性の高い電子戦情報のため公表されているわけではないが、
南シナ海に展開している米空母艦載機などは、すでに中国側の電子妨害を被っているようである。そのため、米軍側も電子戦機を繰り出して反電子妨害戦を開始しなければならない状況に立ち至っている、と言われているありさまだ。

■次期アメリカ太平洋軍司令官の危惧
 このような
南シナ海における「中国海洋戦力による優勢」に関して、南シナ海や東シナ海を含むアジア太平洋戦域を統括する次期アメリカ太平洋軍司令官(現在はハリー・ハリス海軍大将)に指名されているフィリップ・デービッドソン海軍大将は、「これまでのような状況が続けば、南シナ海での米軍側の劣勢は否めない状態である」と連邦議会の司令官指命審査質疑に対して回答している。

 デービッドソン提督は議会に対して、
「アメリカ太平洋軍は現状のままではアジア太平洋戦域での責任を果たすことはできない」「同戦域での責任を果たすためには、潜水艦戦力、スタンドオフ・ミサイル戦力(敵ミサイルの射程圏外から敵を攻撃する空対空ミサイル、空対艦ミサイル、艦対艦ミサイル、地対艦ミサイルなど)、中距離巡航ミサイル戦力、海上輸送戦力、航空輸送戦力、巡航ミサイル防衛能力、空中給油能力、通信能力、航法制御能力、ISR(情報・監視・偵察)能力、指揮統制能力、サイバー戦能力などを著しく強化し、ロジスティックス分野の非効率を解消する必要がある」といった趣旨の証言をしている。
 要するに、
現代の海洋戦に必要なほとんどすべての分野で、中国海洋戦力が優勢を手にしつつあることを次期アメリカ太平洋軍司令官は危惧しているのだ。

 デービッドソン海軍大将をはじめとする米軍側の危惧についての詳細は、稿を改めて紹介することとしたいが、
日本では森友・加計問題や官僚の不祥事などで不毛の外交安全保障が続いている間に、そして北朝鮮問題に気を取られている間に、日本の安全保障そして国民経済にとっては生命線ともいえるエネルギー資源搬送シーレーンが通過している南シナ海の軍事的優越者がアメリカから中国へと移行しつつあるのだ。

 中国の人口島建設が進むなか、米太平洋軍からオバマ大統領(当時)に、早期の牽制で抑止する進言が重ねられましたが、オバマ大統領は動かず、習近平を話し合いで説得するとしていましたが、習近平は、「G2」論での太平洋二分割を譲らず、「FONOP(公海航行自由原則維持のための作戦)」をオバマ大統領が承認した時には、ほぼ人口島は出来上がってしまっていたことは、諸兄がご承知の通りです。

 トランブ大統領は、海軍の戦闘艦を現有の274隻から350隻に増強する方針を打ち出していますが、中国は、人工島のうちの3つに建設された航空基地に、米空母打撃群数個部隊に匹敵する航空戦力を配備可能とし、人工島には強力な地対艦ミサイルや地対空ミサイルが設置され、加えて、中国本土から発射して米空母を撃沈する対艦弾道ミサイルや、原潜から発射される対艦ミサイルで、中国優位な形勢が構築されてしまいつつあるのですね。

 オーストラリアへの駐在大使の予定だった、ハリー・ハリス太平洋軍司令官。対中抑止も含まれていたと推察されますが、対北朝鮮対応も考慮され、韓国駐在大使に変更されました。マイク・ポンペオ新国務長官の推薦なのだそうですね。
 トランプ政権、駐韓国大使にハリス太平洋軍司令官を指名へ - WSJ

 自分の目標は「金正恩氏を正気に戻すことであり、屈服させることではない」、「国務省が重要な役割を果たすと私は考えている」と語っておられるそうです。

 北朝鮮はもとより、そちらに目を奪われる陰で、着実に覇権拡大を進めている中国。
 冷静に見極めている、新旧太平洋軍司令官が揺れる米国大統領を支える提言を続けていただけることを願います。

 それにつけても情けないのは、日本のオールド偏向メディアと、その下請けの野党。
 国会で議論していただく為に選出され、血税が注がれているのですが、政策議論は放棄して政局のパフォーマンスばかり。
 中国や北朝鮮の「世論戦」で、買収されたディレクターや議員が多いのかと、疑いたくなるほどの平和ボケには、泣けてきます。このままでは、金正恩が公言した日本列島沈没は、ミサイルを発射するまでもなく実現しそうです。



 # 冒頭の画像は、日本の最西端を訪問していただいた、ハリス太平洋軍司令官




  ホトトギスとクマバチ


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