遊爺雑記帳

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仏のブブカ禁止法を真似て、ウイグル人弾圧強化に使う中国には危険な未来が懸念される

2015-01-20 23:00:54 | 中国 全般
 「シャルリー・エブド」社襲撃事件の余波は、宗教対立を招きかねない動きが観られますが、イスラム教徒のウイグルを抱える中国はどのような反応をしているのか、宮家氏が興味深い角度から書いておられました。
 

フランスより中国の方がずっと危ない理由 中国株式会社の研究(261)~欧州イスラム過激派テロ事件に便乗する中国の底意:JBpress(日本ビジネスプレス)
~欧州イスラム過激派テロ事件に便乗する中国の底意 2015.01.20(火) 宮家 邦彦

 1月7日正午前、パリ11区にある風刺週刊誌「シャルリー・エブド」本社をイスラム過激派兄弟2人組が襲撃し、警官、編集長、風刺漫画担当者を含む12人を射殺した。翌日、翌々日には別のテロ犯が警官と人質5人を殺害した。
 欧米と中東を揺るがす大事件だったが、中国側の反応もなかなか興味深い。というわけで、2015年初となる今回は欧州でのイスラム過激派テロに対する中国の動きを取り上げる。

ブルカ禁止法を導入した中国
 今回「さすが」と思ったのは中国側の素早い行動だ。
 
「新疆ウイグル自治区のウルムチ市内でイスラム女性の伝統的衣装である『ブルカ』の着用を禁止する法案が可決された」と報じられたのはパリでのテロ事件発生からわずか3日後。

 同決定は1月10日付の新疆ウイグル自治区第十二期人民代表大会常務委員会第13回会議を通過し、関係者の意見を踏まえ適宜修正の上で正式に公布されるという。
 この新疆ウイグル自治区のイスラム教徒を狙い撃ちするような規則をウイグル人はどう感じているだろうか。筆者には、
フランスの「ブルカ禁止法」に倣って対イスラム教徒弾圧を強める「便乗措置」としか思えない。
 中国には2001年の9.11直後にもウイグル人に対する弾圧を強化した前科がある。しかも今回は、一体何が禁止されたのか、誰にも分からない。その理由から説明しよう。

<中略>

 
さて、中国政府はブルカ、ニカブ、チャドル、ヒジャーブのうち一体何を禁止したのだろうか。実はよく分からない。
 昨年12月にウルムチで撮った写真を見直してみたが、そこにはブルカはもちろん、ニカブすら写っていなかった。
 散見されたのはチャドルないしヒジャーブだが、それも普通のスカーフを頭に巻いたものがほとんど。ブルカのような顔全体が隠れる衣装など着ているウイグル人女性には遭遇しなかった。

フランスの「ブルカ」禁止法
 フランス「ブルカ」禁止法の起源は1905年に遡る。フランス革命の精神に基づき、当時の議会は、カトリック聖職者が支配していた学校を世俗化するため、学生と教師が宗教的シンボルを身につけることを法律で禁止したのだ。
 さらに、2004年にはこの法律を根拠に、フランス公立学校でのブルカ着用を禁ずる判決を裁判所が下している。
 その後、2010年には新たに、「公共の場で人の顔を隠すことを禁ずる法律」が制定された。これが現在いわゆる「ブルカ禁止法」と呼ばれるものだが、内容は中国の新規定と基本的に変わらない。
 いずれも「公共の場で顔を隠す行為」一般を禁止するだけで、特定の宗教を差別しているわけではないからだ。ただし、既にご説明した通り、フランスと中国ではこの禁止法に至る背景が大きく異なっている。
 
フランスの「禁止法」は「人間の理性」が「宗教的権威」に勝利した結果を維持するためのものであるのに対し、中国の「禁止法」は漢族による少数民族弾圧を維持するための手段
でしかない。

 中国が欧州にも同様の規定があることを理由に「ブルカ禁止法」を正当化するなら、中国はまず、欧州と同様、「言論・表現の自由」を頑なに擁護すべきだろう。当然ながら、中国共産党にそんなことは不可能である。

反中風刺画に過剰反応する中国
 フランスでのテロ事件について中国政府は沈黙している。
 
最近の中国メディアも、「すべてのテロ行為を厳しく取り締まるべし」とする一方、「この(パリ襲撃事件の)悲劇は報道の自由に限度を設けるべきであることを示した」、「メディアは無責任な発言を慎むべきだ」などと報じ、表現の自由がある程度制限されても仕方がないと言わんばかりの主張
を繰り返している。
 要するに事件の本質を理解していないのだ。
 それどころか、
中国国有メディアは欧州の「言論・表現の自由」の象徴とも言うべきフランス風刺画の一部を差別的だとして批判
している。
 1月17日付の環球時報は、雑誌フリュイド・グラシアルが掲載した風刺漫画に噛みついている。
 風刺画のタイトルは「黄禍はすでに到達、遮断は遅すぎたか?」、ベレー帽をかぶった典型的フランス紳士が人力車を引いている。その人力車には中国人成金と金髪美女が乗っている。中華レストランの前ではフランス人のホームレスが飢えている。中国人がパリを傍若無人に闊歩・占領する姿をコミカルに描いたものだ。
 この風刺画に対し中国人の識者は、「黄色人種脅威論なる言葉で中国人を辱めるは非常に失礼だ」、「最近起きている風刺画をめぐるテロ事件を通じて、すべての人が自分たちのユーモアを理解するわけではないことがフランス人にも分かっただろう」などと批判している。
 確かに「黄禍」とは穏やかではないが、この漫画を見ていると、黄禍論よりも、1970~80年代の日本の農協団体旅行を思い出す。

 結論を急ごう。
中国政府の本音はこうだ。今回の事件は「欧州の9.11」とも言われているが、中国は2001年の際と同様、事件をウイグル人に対する弾圧強化の口実に利用した。 欧州人が命の次に大切にしてきた「世俗主義」に基づく「言論・表現の自由」には見向きもせず、対テロ戦のための連帯だけに便乗
した。このような姑息なやり方をウイグル人とイスラム過激派の連中はいかに受け止めるだろうか。

 筆者は極めて悲観的だ。
 
北京はイスラムを力で抑え込めると信じている欧州の悲劇に乗じ国内のイスラム教徒弾圧を強化
するような今の中国のやり方ではウイグル人との共存など不可能だ。今こそ北京は彼らとの妥協・和解を模索する時期ではないか。
 さもないと、
現在欧州で起きていることが、そう遠くない将来、新疆ウイグル自治区だけでなく、中国各地で発生する可能性があるかもしれない。

 パリでのテロ事件発生からわずか3日後に、「新疆ウイグル自治区のウルムチ市内でイスラム女性の伝統的衣装である『ブルカ』の着用を禁止する法案が可決された」と発表されたのだそうです。
 テロ事件があったから法案を作成・発表したわけではなく、もともと準備が進められていて、発表時期が重なったものだと考えられますが、ウイグル弾圧に苦心している習近平政権には格好のタイミングとなったことにはちがいありません。
 
 1905年に学生と教師が宗教的シンボルを身につけることを法律で禁止したことで始まり、2010年には新たに、「公共の場で人の顔を隠すことを禁ずる法律」いわゆる「ブルカ禁止法」が制定されたフランス。フランス革命の精神に基づき、「人間の理性」が「宗教的権威」に勝利した結果を維持するためのものとされているのだそうですが、中国は少数民族のウイグルを弾圧する漢民族との民族対立に模倣導入したものです。

 フランスでのテロ事件について中国政府は沈黙しているのだそうですが、中国メディアは、「メディアは無責任な発言を慎むべきだ」などと報じ、表現の自由がある程度制限されても仕方がないとの論調を繰り返し、風刺画を批判する立場をとっているのだそうです。
 メディアがメディアの自由な表現を批判し、規制が必要と論じているのは、政府お抱えの中国メディアらしい、なんとも可哀そうな状況です。
 余談ですが、金髪の美女を伴って乗った中国人の成金の人力車を、フランス紳士が引き、中華レストランの前にはフランス人のホームレスが居る風刺画とは、面白いですね。中国の富裕層が日本の食材を輸入して食して、日本人の庶民は、中国産の食材を食している日中の現状にも通じる話です。
 軍事力による覇権拡大だけではなく、資金力でも征服を拡大する中国への警鐘を鳴らしたもので、言い得て妙。

 宮家氏は、「北京はイスラムを力で抑え込めると信じている。欧州の悲劇に乗じ国内のイスラム教徒弾圧を強化する姿勢では、現在欧州で起きていることが、そう遠くない将来、新疆ウイグル自治区だけでなく、中国各地で発生する可能性がある。」と指摘しておられます。
 それどころか、お金と軍事力で現状変更し、覇権を拡大しようとしている中国の姿勢は、フランスでも風刺画にされるほどに世界に広まっていて、中国国内だけでなく、世界各地で抵抗が発生する可能性すら考えられます。

 習近平の力で覇権拡大をする方針は、いつまで続けられるのでしょう。

 日本は習近平の覇権拡大に対抗し、日本とアジアの平和をまもらねばなりませんが、一つの戦略として、21世紀版「防共回廊構想」で、アジア側からだけでなく、中東側からの中国への抑止力も強める戦略が有効です。
 中国の海洋覇権拡大の抑止大戦略が必要 - 遊爺雑記帳

 それを意識した安倍首相の中東訪問でしたが、イスラム国による、安倍首相の演説に対する人質殺害を質にした身代金要求事件が発生しました。
 日本は米国に加担する十字軍一味として初めて敵対対象とされました。
 イスラム諸国の中で、突出・孤立するイスラム国。イスラム諸国と連携して人質救出に注力されることと、絆を具体的により強化する機会とされることを願います。



 # 冒頭の画像は、エジプトでマハラブ首相の出迎えを受ける安倍首相




  この花は、ゴーヤの花




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