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遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

東シナ海で中国を撃退する戦略

2016-10-20 23:58:58 | 東シナ海尖閣諸島
 尖閣近海で、軍艦による領海侵入を行い、攻勢をステップアップしてきた中国。日本はどう対処すれば良いのか。
 山田吉彦・東海大学教授は、尖閣諸島に海洋環境の国際的な研究機関を設置し、日本の領土であることを世界に知らしめ、更に、海保内に海上自衛隊の艦船とともに自衛隊員を出向させ、質量ともに中国に対抗できる力を持たせる逆転の発想を唱えておられます。
 

尖閣諸島を日本の海洋研究の拠点にせよ! 山田吉彦氏に聞く「東シナ海で中国を撃退する戦略」 | JBpress(日本ビジネスプレス) 2016.10.20(木) 井本 省吾

 中国の尖閣諸島への攻勢が強まっている。毎日のように大量の漁船や海警船を侵入させている。だが、日本政府は「断固、抗議する」と言いながら、具体的な対抗措置をとらない
。海上保安庁による受け身の警備に依存しているのが実情だ。
 大手メディアはこうした「今そこにある危機」を大きく取り上げないが、「
このままでは中国は本気で尖閣に上陸するのではないか。竹島を韓国に取られたのと同じことにならないか。日本政府は阻止できるのか。見通しが甘くないか
」。
 国民の間にはそんな不安が広がっている。
 それでも、国民は安倍政権に期待し、その支持率は50%を超えている。こう指摘するのは、国境問題研究の第一人者である
山田吉彦・東海大学教授。「今不可欠なのは、尖閣諸島に海洋環境の国際的な研究機関を設置し、日本の領土であることを世界に知らしめること
だ」という。
同時に、尖閣上陸をめざす中国軍に対抗するには「海保内に海上自衛隊の艦船とともに自衛隊員を出向
させ、質量ともに中国に対抗できる力を持たせることだ」と逆転の発想を説く。山田氏に「尖閣諸島で中国を撃退する戦略」を聞いた。

■竹島と同じになりかねない
井本 日本政府は中国の尖閣領域侵入について口では抗議するが、阻止するため具体的に行動しない。
 「
日本は手出ししない」と中国は見て、ずるずると入り込み、気が付いたときは尖閣諸島に上陸してしまうのではないか。結果として竹島と似てくる。
これが今、日本人の多くの不安感ではないですか。

山田 先日、
アルジャジーラ(中東カタールの衛星テレビ局)の記者の取材を受けました。その際、「尖閣諸島問題についてどう思うか」とこちらから質問すると、記者は「日本政府は尖閣諸島を要らないと思っているのではないのか。口だけで行動に移さない。日本人は領土を守ろうという意識が希薄だ
」。
海外の目からはそう見える
。おっしゃる通り竹島と一緒なんです。抗議はするが、韓国が何をしようが、一切手出ししない。「竹島は実質的に韓国領になっている。日本はそれでいいんだろう?」と世界は見ている。
 中国は島を占領しなくても、尖閣諸島を共同管理に持ち込むだけで大きなプラスなんです。日中漁業協定のように、お互いに管理していこうと決めてしまえば、日本は実質的に尖閣諸島を失うことになる。

井本 では、どうするか。

山田
日本はもう動かないといけない。早急に尖閣諸島を有効に利用する具体的な施策が必要だ。日本人が居住することも考えられる。これが私の意見です。

2012年に尖閣諸島を国有化したのが失敗でした。当初は石原慎太郎知事(当時)の発案で東京都が購入する計画でした。それで中国は何も文句を言えない。日本の土地売買制度に則って東京という地方自治体が土地を買ったにすぎない。
 国有化も実は内政上の話で外国に干渉されるいわれはないのですが、「中国の領土を奪って日本が国有化した」と海外に喧伝して問題化しやすい。実際、国有化を機に反日活動が燃え上がった。

■東京都の購入は良いアイデアだった
井本 東京都の購入だったとしても、中国は何かと難クセをつけ、反日活動を広げた可能性が大きかったのではないですか。

山田 いや、東京都は、
尖閣諸島を基盤に世界的な海洋研究所を作り、国際的な枠組みで海洋の研究、環境保護を行うと言えば、中国も文句を言いづらい。「中国の研究者もどうぞ参加してください」と言えば、世界は圧倒的に日本を支持する。だから、大変いいアイデア
だった。
 困った中国はこの阻止に動いて、与党だった民主党にも圧力をかけたため、野田佳彦首相(当時)は政府が買い上げることを決定、
東京都の購入案は民主党政権につぶされました


井本 結果として野田さんは中国にだまされた形ですね。

<中略>


山田
中国は尖閣領域に侵入する大規模な漁船団と警備船を撮影し、テレビの国営放送を使って世界に放映しています。そこに日本の漁船なんていません
 離れた海域で燃料費もかさみ、その上、
中国の警備船による法執行を避けるため海保が規制
しているからです。
 事情を知らない
世界の視聴者は「あれは中国の海ではないか、それを『弾圧』しようとする日本の巡視船は何だ?」ということになってくる
。日本人は尖閣諸島を使ってもいないし、管理もしていない。むしろ中国の方が尖閣領域を毎日のように活用してるじゃないか、と考えかねない。

■研究者が出入りする島へ
井本 東京都が管轄していたら、そんなことはなかった。

山田
「世界中の海洋研究者がいる東京都の島」となれば、中国は手出しできません
。海保による厳重な警備体制をとり、中国軍が強引に尖閣諸島に上陸しようとすれば、自衛隊はそれを守るために出て行くことができるし、米軍も動かざるを得ない。

日米安保条約第5条は「日本の施政下にある島を守る」
と決めています。日本人が住まずに陸上の管理体制が明確でない島ではそう言いにくい。だから危険なんです。
 中国軍が「研究者が出入りする日本の海洋拠点となった」尖閣諸島に上陸した場合、それは、日本への軍事侵攻となります。場合によっては、南西諸島海域を封鎖して中国船が東シナ海を通れないようにすることだってできる。

<中略>


 日本にケンカ売ると怖い。日本の一般庶民は大上段の不買運動はしないが、黙って中国品を買わなくなる。じわり、ずしりと効いてくる。
 ただでさえ
製造業の過剰投資、過剰生産で中国経済は減速し、バブル崩壊の懸念が広がっており、習近平政権は浮いてきています。

■尖閣諸島は東シナ海の要
井本 経済にアキレス腱を抱えている中国は思っているほど、日本に打撃を与えられないわけですね。では、それほど恐れる必要はない?

山田
 いや、気を許してはいけません。
 中国は軍と自衛隊の衝突がない状態にするため漁民を使います。漁船を侵入させて日本の巡視船にぶつけ、「我々の漁民をどうするんだ」と言って海警船を送り込む。
紛争を起こさせれば中国の勝ちなんです。
 中国は日本が尖閣諸島を管理できず、日本の海洋開発もできないようにする。
尖閣諸島は東シナ海の扇の要です。そこを失えば、東シナ海を日本が失う
ということになります。

井本 米軍が出て来ないように、徐々にやるという作戦ですか。

山田 じわりじわりとやる。今年の夏前までは中国の公船は3隻の侵入だったのが、今は4隻になっている。月に3回が4回になりつつある。

井本 この
危機状態を打破するために、日本はどこかで決断
しなければならないですね。

山田 まさに
今がその時期でしょう。もう東京都の管理とか国有化という議論の段階ではない。尖閣諸島の管理について正々堂々とやる
ことです。
 歴史的には日本の領土であることがはっきりしている。1895年に日本が領有を決定し、最大で99世帯248人が住んでいた。その事実をもとに、島の管理体制を明確にする必要があります。
 国連海洋法条約では、「人が居住せず、経済的生活を送れない島は『岩』だ」としている。人が住める体制を構築することは、島の管理体制にとって有効となる。

■島に住みたい研究者はたくさんいる
井本 自衛隊員の常駐も必要でしょうか。

山田 特別に自衛隊員である必要はありません。日本国、日本国民が島を利用する体制を作ることが必要です。

井本 でも、自衛隊員でさえ行けない危ないような場所には、怖がって民間人も住まないのではないですか。

山田 いや、居住してでも研究したいという研究者はたくさんいると思いますよ。我々研究者は好奇心が先に立ちますから。
 マラリアやデング熱のある島で研究する人も大勢いる。日本人だけでなく外国人研究者も入れて、国際的な研究所にし、中国が攻撃できないようにする環境を作ることが肝心です。

井本 なるほど。だったら、早くそうすればいいではないですか。

山田 私もそう思います。ただ、12月にロシアのウラジーミル・プーチン大統領を安倍晋三首相の地元である山口県に招いて日ロ交渉を進めます。
 尖閣への日本人居住に動き出すとしたら、この交渉で北方領土問題が大きく前進して安倍政権の政権基盤が強まり、選挙をしても勝てるという見通しがたった時でしょうね。

井本 それまでに尖閣諸島が中国に占拠される恐れはないですか。

山田 そう簡単ではありません。
今、中国軍の不満が高まっています。北京の国防省前で退役軍人のデモが発生
しました。昨秋、習近平国家主席が表明した兵力30万人削減などを柱とする軍改革方針に対する不満です。
 そこには江沢民元国家主席グループの利権を切り、習近平政権のグループに利権を再分配するという利権争いがあると言われています。
習近平の政権基盤は揺らいでいます

 それにハーグでの仲裁裁判以降、南シナ海の動きを含め国際社会の中国監視の目が厳しくなり、あまり大っぴらな動きはできなくなっています。
 そこで、
じわりじわりと動く。それが今の中国で、来るとしたら、漁船、漁民
です。また巡視船に漁船をぶつけてきたら、日本はどう扱うか。

■先手を打って世界に宣言を
井本 その際、安倍政権は逮捕し、裁くところまでやるでしょうか。

山田 そうしなければ保守層の支持率が下がるでしょう。今、安倍首相の支持率が50%を超えている。安倍政権の支持者には、中国への毅然とした態度を期待している人が多い。これが弱腰になったら、急速に下がります。
 それを防ぐには、
覚悟を決めて徹底的に尖閣諸島の管理体制を構築することが大切でしょう。「海洋環境を研究する目的などでこういう使い方をします」と先手を打って世界に宣言することが肝心
です。
 中国漁民を逮捕した際、中国が抗議して来たら「では、国際法廷に出ましょう」と言えばいいんです。

<中略>


井本 中国は海上の軍事力も大幅に拡大しています。日本の海保や自衛隊で防衛できるのか、という不安も出ています。

山田
不法な行為をした中国船を逮捕する能力を向上させなければいけません。8月に出現した中国警備船の多くは、海保の主力である20ミリ機関砲より威力のある30ミリ機関法を備えていました。
 既に竣工している1万2000トン級の「海警2901」では76ミリ機関砲を搭載しています。これでは到底太刀打ちできません。

井本 海上自衛隊が出るしかありませんね。

山田 しかし、自衛隊が出動するには厳しい要件が必要です。まず漁民や中国海警局の警備船に対しては、自衛隊が出動することができません。今の法律では中国の漁民が来た時に自衛隊は動けない。
 また、武装グループが侵入した場合、海上警備行動が発令されることになり、防衛大臣の指揮下に海保が入ることになる。でも、海上保安庁法25条があって、海保は軍事行動ができないので、自衛隊と一体の行動には限界があります。

 では、どうするか。
海保の指揮下に海上自衛隊の一部が入ることが可能なように法整備すればいい。自衛隊から切り離す形で、76ミリ機関砲に対抗できる武器を持つ自衛艦とともに自衛隊員が警備機関の海保の指揮下に入る。そう発想を転換
すれば、中国に対抗できるようになります。

■定年前の自衛官を海保に転籍
井本 この発想転換は短期間でできますか。

山田 例えば、自衛隊の一部の隊員に海上保安学校で半年~1年間の教育を受けさせ、海保職員としての資格をとらせ、いわば予備海上保安管にしてしまう。
 イザという時、資格保持者の自衛隊員を海保に移せば、すぐに対応できる。自衛隊では定年が早く、60歳定年の海保に行けば数年勤続期間が伸びる。
 だから
50歳ぐらいで海保に出向、転籍する。自衛艦も一緒に移して法的に軍艦ではなく警備艦にしてしまい、艦船の操船ができる人間も移すのです。
<中略>


井本 海保と海事の抜本的連携――。その改革を誰がやるのか。

山田 やはり安倍さんしかいないでしょう。ロシアとの北方領土交渉がうまく進めば、ロシアの存在は対中問題でも抑止効果を発揮する。安倍さんが対中関係強化のために動きやすくなり、その行動は北朝鮮への抑止力をも高めるでしょう。

 「日本が動く」という情報が早急に出るよう、もう安倍さんは覚悟を決めてもらいたい。それしか、この国の安全保障を高める方策はありません。


 「東シナ海で中国を撃退する戦略 - 遊爺雑記帳」へ続く。


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