開くわけない

あ、
あ、

武蔵小金井だ。

イエイ、イエイ、
ピース、ピース。

なんで、
吉祥寺まで我慢できたのに
眠りに入ってしまったのだろう。

もう少し我慢してたら
よかったのに。
最終電車前は
これだから、イヤだ・・・

あ、
あ、

武蔵小金井だ。

ヒトは、咄嗟のとき
変なこと、したがる。

ドアが閉まろうとした瞬間、
あと、10cmの瞬間。

人差し指と
中指、

そのドアと
ドアの間、

咄嗟に
忍ばせてみた。

その指2本で
第一間接、

グニグニ、
曲げてみた。

そんな抵抗で
簡単にJRは
開けてくれない。

挟まったまま、
電車は動き出した。

あぁ、
国分寺まで
挟まったままかよ。
、、、
そんなわけもなく
すっと、
指を、抜いて
おとなしく席へ戻り

はぁ、
寝過ごしたあとって
なんで、あんな
気持ちがいいもんなんだろう、
っていう幸福感と
はぁ、
寝過ごしたあとって
なんで、こんな
空しいもんなんだろう、
っていう嫌悪感と

いろいろな
気持ちを抱えながら

一度歩みだした人生と
この時間の下り電車は

同じことがいえる。

後戻り、できない。

うまい！

いってる場合じゃない。

おかげで、
今日は、
マイ中フィンガーと
マイ人差しフィンガーは

猛烈に、痛い・・・

イエイ、イエイ、

ピースするたび、

指が、ズキズキ、痛む・・・