1948年から

文句たらたらどうでも日記

読み返す小説

2020-07-31 21:01:41 | 読書

近所の花壇で

若いころ読んだ本をもう一度読んでみたくなることがよくあります。
例えば最近こんな小説を再読しました。
ゴールズワージー『林檎の樹』法村里絵訳 新潮文庫の名作新訳コレクション
訳者違いで三回目、20代に友人に教えられて初めて読んだときは、
そのころの自分と重なる部分があって、ひどく心を揺さぶられ、
忘れられない小説のひとつになりました。
とっておきたい本だからと本棚に眠らせてましたが、いつごろだったか
また読み返し、それからしばらくしてたまった本の整理をしたとき、
もういい、という気持になって処分しました。

何年か前にJ.オースティン『高慢と偏見』を読んだとき、
『林檎の樹』を思い出し、三回目の再読をしましたが、
知りすぎたストーリーに共感は得られず、
最後の若い娘ミーガンの死の場面、自死か事故死か、
とても美しく思えたのは意外でした。
農場でお手伝い働きをしているケルト人の若い娘と
ロンドンからやって来た貴族階級の学生、
そんなどうしようもない格差は、18歳の娘には酷な枷でした。
格差に苦しみあきらめ、自虐に陥る話は現実的ですが、
70代になって読み返し、もうこういう話からは卒業しよう、
と思いました。