ゆいもあ亭【非】日常

映画や小説などのフィクション(非・日常)に関するブログ

閑話休題2 イギリス伝統侵略SF

2006-11-07 | 読書
ジョン・ウインダム「海竜めざめる」(John Wyndham “The Kraken Wakes” a.k.a“The Things from the Deep”“Out of the Deeps”)

この傑作に初めて出会ったのは小学校4年生のころだったか。

子ども向けの翻訳シリーズで、小学校の図書室にあった、岩崎書店のSF世界の名作「深海の宇宙怪物」(斎藤伯好訳 長 新太絵)であった。(このシリーズでは他に「宇宙人デカ」ことハル・クレメントの「二十億の針」、「海底パトロール」ことA・C・クラークの「海底牧場」、そして、あとは通常の翻訳を見かけたことがないリチャード・ホールデンの「光る雪の恐怖」、ロバート・セドリック・シェリフの「ついらくした月」などを楽しんだものだ)。

この作品、大洋に落下してきた無数の謎の赤い光球が、実は侵略兵器(生物?)で、真っ白い椀を伏せたようなゼリー状の巨大な怪物の姿で湾岸から陸上に現われ、その一部が泡が膨らむようにはぜると、ひも状の触手として飛び散り、触れるものを人間でも、他の生物でもなんでも引きずり、本体に飲み込み、海底に消えるのである。

子どものころ、うん、怖かったなぁ。

そう、あの「宇宙戦争」の三脚戦闘機(トリポッド)の攻撃の理不尽さに、ちょうど、似ているのだ。

そうして、本作と「宇宙戦争」の共通点をもうひとつ。主人公が名無しの「わたし」であること。

そして、ひょんなことから敵の弱点がわかること。(それには日本人が関与している!)

硬質なこの作品、星新一訳のハヤカワSF文庫版を探して、是非読んでいただきたい!

映画化しても、面白いと思うのだが。なお、ジョン・ウインダムの「呪われた村」を原作とする映画は「光る目」。