ゆいもあ亭【非】日常

映画や小説などのフィクション(非・日常)に関するブログ

火星の同類ども(1)

2006-11-10 | 映画
インディペンデンス・デイ」(1996年)

監督・脚本のローランド・エメリッヒ、間違いなく現代版の「宇宙戦争」を作ろうとしたのだな。

突然の圧倒的な侵略。

「ウイルス」をきっかけの反攻――。

ウイル・スミスの捕獲した異星人(実はバイオ・メカニカル・スーツをまとっている)が、どことなく原作火星人っぽいじゃないか。そのうえ、微妙な皮膚感はパル版「宇宙戦争」の火星人を思わせる。

「未知との遭遇」をコケにするシーンが楽しいな。

光のパターンでコミュニケートしようと、光パターン・シグナル装置という感じのものを装備したヘリがあっさり破戒されるところを、鼻で笑いながら、スピルバーグもきっと見ただろうから、手を叩いて喜んだんじゃなかろうかと想像した。

馬鹿にされたとも思うまい。どちらかというと、喜びそうに思う。(旧作「ザ・フォッグ」の冒頭のポルターガイスト風のシーンで、試写を見た「未知との遭遇」後で「特別篇」以前のころのスピルバーグが、「これはボクの映画のシーンだ」と叫んだとかいうが……)。

呑兵衛パイロットが十年前に「彼ら」に浚われて、そのトラウマで酒浸りだという設定も微妙だし。

ジェフ・ゴールドブラムの役も、なんとも。彼は怪しい科学者・技術者役が多いけれども、この役柄はなんだかすっきりしない。「フライ」の狂気の天才とも、「ジェラッシク・パーク」の良心派とも違う。ただの生き方が下手な人間。そんなヤツが偶然のように世界を救う活躍をするなんて!

それに「エリア51」! 大統領さえ知らなかったこの秘密基地が実在し、反撃の中心地になるさまが皮肉以外の何ものでもない。

爽快なSF戦争アクションの、特撮大作の、ふりをしながら、本質はとてもおかしな作品なのではないだろうか。