ゆいもあ亭【非】日常

映画や小説などのフィクション(非・日常)に関するブログ

彗星の夜でも、サイコジェニーではない!

2006-05-21 | 映画
サイコジェニーはジャコビニ=ツインナー彗星のもたらす流星雨に紛れて人間を洗脳するというエピソードだったのだが……そんなことはどうでもいいか……。


彗星の夜、全世界の人々が満天を彩る天体ショーに浮かれて……翌朝、世界はすっかり違ったものになっていた。

これは、まるで、ジョン・ウインダムの「トリフィドの日」のシチュエーションだ。

ナイト・オブ・ザ・コメット」1984年作品。

最近「ゾンビもの」映画を追いかけるようにして見ているのだが、その元祖、ロメロの「ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド」はリチャード・マシスンの「地球最後の男」及びその映画化作品(そのリメイクはチャールトン・へストンの「オメガマン」。最近廉価版も発売された。それに、三度目の映画化が進んでいるとか)に触発されているといわれている。その最初の映画化ヴィンセント・プライス主演の1964年版が、「人類SOS」(「トリフィドの日」映画版)とダブル・フューチャーでDVDになっているということを考えると……まさに因縁といえるだろうな。

「トリフィドの日」を思わせ、そして「28日後…」(事態を予測した研究者とか軍隊とか、そのあたりの雰囲気)を思わせ、「ドーン・オブ・ザ・デッド」を思わせ、しかし、それでいて世界の終末にもちっともめげず、同じタイプの男を好きになることを巡ってケンカするこの「主役姉妹」のしたたかさは、いっそ、いまは好ましいと思えてしまう。他のB級ホラーやSFとともにレンタルビデオの黎明期にリリースされたのだが、その当時は「おバカ映画」と散々な評価だったと思う。それがもはやわたし的には楽天娘バンザイ! という感じである。

妹チア・リーダーのケリ・マロリーの、姉に対してちょっとぐれた様子が結構いいな、と、初見当時もそう思ったが、また、今回も同じ感想を得た。あの「注射」シーンも胸に迫った。そして、この姉キャサリン・メアリー・スチュワートのことは、どうも見たことがあるぞと思ったら、当時のバカSFに結構でている女優さんではないか! 日本ではいまだDVD未発売の中ヒット作品「スター・ファイター」(THE LAST STARFIGHTER '85 ♪♪)、さらにはジョージ・R・R・マーティンの「ナイトフライヤー」(NIGHTFLYERS)が原作の「デーモン・ギャラクシー/魔女伝説」(原題は原作のママ。'87)にも彼女は出ていたではないか。なるほど、見たことがあると思ったはずだよね。

とにもかくにも、「世界の終末は、楽天おバカ任せろ!」「おバカでも、知性の欠片さえあれば、文明は尊び、守り育み得る」という、立派なメッセージは、受け取りましたよ、トム・エバーハート監督!
 
(追記1:本作の「ゾンビ」は「ゾンビ」ではない。「致命的病気の最終段階」、すなわち彗星の影響を受けた者は狂気と凶暴のあとに死にいたり、灰と化すようだ。)

(追記2:伊藤潤二のマンガ「地獄星レミナ」にも、気分的には通底するものがあるという気がする。レミナ当人はさておき、終盤で酷く楽観的な登場人物が現われる。)

(追記3:英国BBCのミニ・シリーズ「デイ・オブ・ザ・トリフィド」も最近DVDになったようだ。元祖「トリフィド」と「地球最後の男」があらためて映像作品になるのは、「ゾンビ」の温故知新という機運があるのかもしれないね! )

*オンライン・レンタル・ショップを利用して鑑賞しました。某所のレビューのリミッター(字数制限)解除版です。


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