ゆいもあ亭【非】日常

映画や小説などのフィクション(非・日常)に関するブログ

狂人外科医バナカットは、死体蘇生人ハーバート・ウエストだった!

2007-01-08 | 映画
TATARI(タタリ)」を見直した。

終盤、複合体の怨霊が大暴れ開始するまでは、思った以上にオリジナル「地獄へつゞく部屋」を意識した作りになっていた。

複合体の怨霊に、いわば然るべき由来を与えるために狂人外科医バナカットが凶暴性のある精神病者ばかりを集めて非人道的実験を繰り返した挙句に、患者達の暴動に合い、患者達ともども火災で命を落としたという精神病院が「呪われた丘の家」であるという設定となっているが、そういうところ以外は、ホスト夫婦の虚虚実実の殺し合いと駈け引きで出来上がっているのだ。

キャストがふるっている。

先ずは、その①。アミューズメントパークを六つも経営する大富豪スティーブン・プライス(!)に扮するのはジェフリー・ラッシュだが、特典映像でマローン監督がいうには、カメラテストをするまでは彼がオリジナルの大富豪役であるビンセント・プライスに似ていると気付かなかったとか。嘘だよな。ちょび髭から何から、よく似ている。……ていうか、気付いてからは意識したっていうんだろうな。

その②。狂人外科医バナカットにジェフリー・コムス。そりゃあ、呪われもするわいな。え? ご存じない? ジェフリー・コムスといえば「ハーバート・ウエスト」ではないか! 「ZOMBIO/死霊のしたたり」ことRE-ANIMATORで死体蘇生人ハーバート・ウエストを演じたのが彼なのだ!(←goo映画のタイトル「ZONBIO」、間違いですよ。「ZOMBIE(ゾンビ)」と生化学BIOCHEMISTRYなどの「BIO」を複合した造語なんだから!)

まあ、思ったよりも原典を踏まえていたが、終盤はやりたい放題だな。しかもその終盤の「命を持つ影」という複合怨霊体描写が「SWEET HOME」なんだな。これは黒沢清も訴えたいところでしょうが、「SWEET HOME」自体が「たたり」や「地獄へつゞく部屋」や「ヘルハウス」や「家」のパスティーシュなんだろうから、文句もいえないかもね。

まあ、集まった「被害者」もバナカット精神病院の、当時の関係者の子孫という設定で、今回生き残った二人は、一人は養子、一人は招待された本人じゃなかったと、まあ、なんとも予定調和で、それはそれで心地よかったかも知れない。