くりぃーむソ~ダ

気まぐれな日記だよ。

大魔人(70)

2021-08-18 19:03:14 | 「大魔人」
 ブロロロロンロロン……

 と、どこからか、聞き覚えのある排気音が近づいてきた。
 風を切って近づいてくる音は、ぐんぐんと勢いを増し、身の危険を感じたアマガエルは、公園の生け垣を背に身をよけた。
 キーッッッ――。ブロロロロンロロン……
 黒いボデーの車は、目を押さえているアマガエルの前で急停止すると、黙って後部座席のドアが開いた。
「――」と、アマガエルは、人の気配がしないことに気がつき、目をしばたたかせながら、車の中を覗きこんだ。
 はっ? という表情を浮かべたアマガエルは、息をのんだ。
 誰も乗っていない寺のジャガーが、自分を迎えに来たように止まっていた。
 真人の魔法か、と疑ったアマガエルは、車には乗らずに歩き出そうとした。
 しかし、数歩進んだところで、車が再び動き出し、アマガエルの関心を引くように、タイヤを鳴らして停止した。
 アマガエルが複雑な顔をしていると、運転席の窓が開き、古めいたラジオから、雑音とともに声が聞こえてきた。
“ノッテイケヨ、タッチャン。ノッテケ、タッチャン……”
 子供の頃、よく耳にした曲を背景に、ラジオを通じて、車が話していた。

「――帰ろうか」

 と、アマガエルはぽつりと言うと、足下をふらつかせながら、座り慣れた後部座席に乗りこんだ。
「自動運転の機能なんて、いつ取りつけたんでしたっけ?」
 アマガエルを乗せたジャガーは、弾むようにドアを閉めると、短いクラクションを軽く鳴らして、風のように走り去っていった。

 ――――    

 アマガエルが公園を去った後、初冬の寒さで勢いのなくなった芝生の一角が、もぞもぞと、湧き上がるように動き始めた。

「ぷはっ」

 と、芝生の殻を破るようにして現れたのは、真人だった。
 真人は、周りに人がいないのを確かめると、待ち合わせの場所に向かって、歩き出した。
     
「遅かったじゃないか」と、真人の姿を見つけた多田が、駆け寄ってきた。「どうしたんだ、やっぱりだめだったのか」
「ああ」と、真人は言った。「急ごしらえの“石”じゃ、無尽蔵に意念を撃ちこめやしなかったぜ」
「で、あいつは? やったのか――」と、多田は言った。
「いいや。手強いやつだったからな」と、真人は、多田に抱えられながら言った。「だがな、相当なダメージを負ったはずだぜ」
「――見た目じゃ、こっちも同じくらい、やられてるけどな」と、多田は、歩きながら言った。「まぁ、あんたらしいか」
「迎えは?」と、多田に抱えられた真人が、思い出したように言った。
「ちゃんと来ているよ」と、多田は言った。「運転手つきの高級車なんて、考えもしていなかったから、警戒して、確かめるのが遅くなったがね」
「へぇ」と、真人は笑って言った。「そりゃあ、これからの仕事が、やりやすそうじゃないか」
 と、二人の姿を認めた車の運転手が、素早く運転席を下りて、後部座席のドアを開けた。
「で、これからどうするんだ」と、多田は、真人を後部座席に座らせると、自分は助手席に乗りこんだ。
「仲間を探すんだ」と、真人は言った。
「仲間? なんの仲間だ」と、多田は考えるように言った。
「島に殴りこみに行く仲間だよ」と、真人は言った。「これだけじゃ、数が少なすぎる。もっと仲間を集めなきゃ、やつらにはかなわない」
 真人達を乗せた車は、日の短くなった空を、南に向かって走り去っていった。

 ――――    

 ビリビリと、コンクリートの壁が、震えていた。
 川に架かる橋のそばに建つ、マンションの壁だった。
 宝石店の支店長であった多田が、川から転落した現場の近くだった。
 そして、審問官のヨハンが、アマガエルによって消された場所だった。

 ビリビリビリ――……

 と、コンクリートの壁がひび割れ、なにかが外に出ようとしていた。
 ビリバリビリ――と、炎であぶったように、赤い火花を散らす割れ目が、外に向かって膨らみ出てきた。
 街路樹に止まっていたカラス達が、眼下の異状に気がつき、甲高い鳴き声を競うように上げた。

 メリッ――……

 と、コンクリートの中から姿を現したのは、審問官のヨハンだった。
 おびえたカラスが、散り散りになって飛び交った。
「――」と、しっかりとした様子で立ち上がったヨハンは、周囲の様子を確かめると、なにごともなかったかのように、どこかへ歩き去って行った。



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よもよも

2021-08-18 05:55:26 | Weblog
はてさて。

朝から雨。

先週あたり九州の被害報道で見てるから、

それほど強い雨じゃないけど、

正直ぞっとする・・・。

ネット予報を見ると午後3時には止むみたいだけど

強い降りになりませんようにって、

なんか祈るような気にもなっちゃうね。。

自然災害にウィルスに、

金欠に肥満も、

でもなんか、根拠はないけど明るくしてれば

雨みたいに晴れちゃうような気がする。。

そうならないかもしれないけど、

そうならなくちゃね。。
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