くりぃーむソ~ダ

気まぐれな日記だよ。

大魔人(69)

2021-08-17 19:26:25 | 「大魔人」
「くそっ――」

 と、どちらからともなく、二人は唇を噛んだ。
 すべり台から立ち上がった真人に向かって、アマガエルは、走り出した。走りながら、足元の石を拾い上げ、真人に向かって、指ではじき飛ばした。
 真人は、素早く銃を構えたが、アマガエルが次々と飛ばす石つぶてに邪魔され、狙いを定められなかった。
「ふざけやがって」と、狙いをつけられないまま、真人は銃を立て続けに放った。
 真人に駆け寄ったアマガエルは、手を伸ばして、右腕の銃を構えた真人に、触れようとした。しかし、すんでの所で足を止めると、転がるように身を伏せた。
 アマガエルの真上から、先ほど撃ち放たれた光の矢が、ビリビリと、空気を焦がすような音を鳴らして、降り落ちてきた。銃の放たれた方向とは、まるで違う場所のはずだった。
「――」と、アマガエルは立ち上がり、後ろに下がって逃げた。
「レーザーじゃないぜ。俺の意念を衝撃波に変えて、好きな方向に思うまま撃ち出してるんだ」――いつまで逃げ切れるかな。と、アマガエルに狙いを定めた真人が、銃を撃ち放った。

 ドン――。

 と、尻もちをついたのは、真人だった。思わず目をつぶったアマガエルが見ると、真人の右腕の銃が、肘の辺りから破裂して、中の機械がぐしゃぐしゃに壊れていた。
「なんてこった、こんな時に」と、真人はくやしそうに言って、舌打ちをした。「やっぱり、間に合わせの“石”じゃ、持たなかったぜ」
 物陰に隠れようとしていたアマガエルは、さっと向きを変え、そばにあったスチール製の街灯に、駆け寄った。
 アマガエルは、だるま落としのようにスチール製の街灯を打ち叩くと、手の平の大きさに抜け落ちた街灯の胴体が、真人に飛び当たった。
 瞬間的に撃ちこまれるスチールの重い塊を、右腕の銃が破裂した衝撃で、足元がおぼつかなくなっている真人は、避けることも防ぐこともできず、小さな体で受けていた。
 次々と、真人に撃ちこまれる街灯は、みるみるうちに、短くなっていった。なんとか逃げようともがいていた真人の動きが、止まりつつあった。
 もう少しで、倒せる――と、アマガエルが、短くなった街灯から、別の街灯に移動しようとした時だった。
 ふらふらになった真人をかばうように、恵果が、姿を現した。

「ケイコ? ちゃん――」と、アマガエルは、痛む目を細めて言った。

 聞こえているのか、恵果は街灯を撃ちこもうとするアマガエルの前に立つと、邪魔をするようにまとわりついた。
「どけていてくれ、ケイコちゃん」と、アマガエルは、痛む目をかばいながら、真人に街灯の胴体を撃ちこもうと、邪魔をする恵果を手で払おうとした。
「――なんだって? 俺はまだピンピンしてるぞ」と、真人はヨロヨロと立ち上がると、壊れた右腕の銃を、肩から外した。「おかしな事言うんじゃねぇよ。ここには、おまえと俺しかいないんだぜ」
 と、真人の左指にはめた指輪が、わずかに輝いた。
「どこ見てんだよ。よそ見してる場合じゃねぇだろ」と、アマガエルの正面にいたはずの真人が、アマガエルの後ろに現れた。
「  くっ」と、唇を噛むアマガエルに、素早く中空に指を走らせた真人が、四面体に固化した空気を、立て続けに撃ちこんだ。
 アマガエルは、両手の平で空気のブロックを受けると、次々に瞬間移動させていった。
 だが、恵果が真人との間に立つと、言葉にならない叫びを上げて、アマガエルが抵抗するのをやめさせようとした。
「クックックッ……」と、真人が笑った。「けゐこの幽霊でも見てるような顔してるぜ」――しかも、邪魔扱いしてやがる。「けゐこが言いたいのは、失明する前に能力を使うのをやめろってことだぜ。力のコントロールができない、天然モンの引っかかりやすい落とし穴だな」

「俺なら、腹話術を使うけどね。呼吸の仕方を覚えれば、目の負担なんてなくなっちまうさ――」

 と、真人が言い終わるより早く、アマガエルが瞬間移動で真人の目の前に現れ、間髪を入れず、胸に手を当てた。

 ポフン。

 と、気の抜けた破裂音がすると、真人の姿が、瞬時に消え去った。
「――」と、手応えのなかったアマガエルが顔を上げると、白く霞がかった恵果が、怒ったような顔から、にっこりと優しそうな笑顔を浮かべ、風に吹かれるまま、霧が晴れるように姿を消してしまった。
「ふん。まんまと逃げられましたか」と、アマガエルは、痛む目を押さえながら言った。

「どこかで悪さをしようものなら、そんな噂を少しでも耳にしようものなら、世界中のどこにいたって駆けつけて、地球の中心まで、飛ばしてやりますからね」

 誰も答える者がいない中、アマガエルは、しかしかすかに笑みを浮かべると、ヨロヨロと公園を後にした。




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よもよも

2021-08-17 06:18:24 | Weblog
はてさて。

蔓延防止で期間が9月12日まで延長だって・・・。

これまでは感染者が増えてもグズグズとしてたのに、

ここに来て批判が増えたせいか、

ずいぶんと早いんじゃない??

がっかりっていうのと仕方がないよなっていうのと、

なんかもやもやすんだけど、

考えりゃ、どうしていいかわからんのよね。。

マスクしてるし、スーパーやら外出して施設に入る時はアルコール消毒してるし、

夜遅くまで飲食してないし、人混みは行かないし、

個人ではそうしてるつもりなのに、

どうして感染者数が増えるの?

期間ばっかり延長するけど、なにをすればいいの??

ルールを守らない人がいるからって、そんな単純じゃないみたいだし、

それがはっきりしないから、もやもやが止まらないんだよねXXX
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