くりぃーむソ~ダ

気まぐれな日記だよ。

大魔人(62)

2021-08-10 19:33:35 | 「大魔人」
 舌打ちをした男は、取りだした機械を上着のポケットにしまったが、顔を上げると、駆け戻って来た仲間の男達が、ぐるりを取り囲んでいた。

「……なにやってるんだ、おまえら」

 と、言った男の顔は、なぜか、先ほど逃げていったはずの、多田にそっくりだった。

「さっさと、持っていった物を返せ」と、男達の一人が言うと、周りを取り囲んだ男達が、徐々に距離を詰め始めた。
「――待てよ。おい、おまえら。なにを言ってるのか、さっぱりわからねぇ」と、多田の顔をした男は、たまらず逃げ出した。

「待て!」と、男達は口々に声を上げながら、逃げ出した多田を追いかけていった。

「来るな。おまえら、来るな――」
 と、息を切らせて逃げる男が、街を縦断する豊平川までやって来た時だった。橋を渡る直前で、鼻歌のような声が聞こえてきた。ブツブツともシムシムとも聞こえる声は、川面を吹き過ぎる寒風に乗って、男の耳にも、悠々と届いていた。
「――な」と、多田の顔をした男が、急に足をもつれさせ、スチール製の硬い欄干にしがみついて、体を支えた。
「動けねぇ  」と、多田の顔をした男は、急に足を引きずりながら、欄干を抱きかかえるようにして、橋を進んで行った。

 ――ブツブツツブツ。シムムシムシムシム。

 と、なにかの経典を読むような、くぐもった声が近づいてきた。
 多田の顔をした男を追ってきた男達が、はたと立ち止まって、振り返った。
 男達は、くぐもった声が静かに近づいてくると、ササッ――と左右に素早く避けて、道をあけた。
 胸の前で両手を組み、聞き取れない声で祈りながら姿を見せたのは、金色のあごひげを生やした、十字教の審問官、ヨハンだった。
 ヨハンは、耳慣れない言葉をもごもごと唱えながら、多田の顔をした男に近づいて行った。

「来るな、こっちに来るな」と、ヨハンの姿を目にした男が、声を震わせて言った。

「ストーンはどこだ」と、ヨハンは、多田の顔をした男に言った。「聖なる秘宝はどこだ」
 ヨハンは、必死で逃げようとする男を見下ろしながら、くぐもった声に力をこめて、祈りの言葉を繰り返し唱え始めた。
「――くそっ。そんな物、知るか」
 と、言った男の顔は、首を絞められたように赤らみ、苦しそうな重い息を繰り返していた。
「おまえらなんかに。おまえらなんかに、やられてたまるか  」
 多田の顔をした男は、なにを思ったのか、動かない足を引きずりながら、見せつけるように橋の欄干を乗り越えると、凍りつきそうな冬の川へ、まっ逆さまに転落していった。

「ちっ――」

 と、ヨハンは舌打ちをすると、男が落ちていった川を確かめることもなく、つまらなさそうに踵を返した。
「――」と、振り返ったヨハンは、思わず足を止めた。
 先ほどまで後ろにいた男達の姿が、どこにも見あたらなかった。
 代わって、フリースを着た見知らぬ男が、ただ一人、ヨハンの前に立っていた。
「何者だ?」と、ヨハンは男に言いながら、胸の前で手を組もうと身構えた。
「ストーンっていうのが、文字どおり宝石なら、あなたはやはり、宝石を集めるのが趣味のようですね」と、アマガエルは言った。「安心してください。はじめてなので手加減できませんでしたが、ここにいたあなたの仲間達は、地球上のどこかに飛んで行って、離ればなれになっただけですから」
 ヨハンが、胸の前で手を組み、早口でなにかを唱え始めた。
「人の命を奪ってまで手に入れたい物とは、なんなんですか」と、言ったアマガエルは、ヨハンの正面からかき消え、真後ろに姿を現した。
「……」と、アマガエルは、ヨハンに向かって腕を伸ばしたまま、凍りついたように動きを止めていた。
「妙なやつだな」と、ヨハンは、身動きのできないアマガエルを振り返ると、注意深く見回した。「――道具? を使ってるわけではなさそうだな」
「まさか」と、ヨハンは言った。「聖人でもあるまいに、天然の能力者なんて、いるわけがない」
 ヨハンは、片手を伸ばしてアマガエルの喉に向けると、見えないリンゴを握り潰すように空気をつかみながら、もごもごと、くぐもった低い声で、なにかを唱え始めた。
 身動きのできないアマガエルは、まばたきすらできず、空気をつかむヨハンの手が小さく握られるのに従い、喉を絞められたように、顔を赤黒くさせていった。

 ――ピューイ。

 と、ヨハンがはっとして、辺りを見回した。
 甲高い口笛が、どこからか、不意に聞こえたような気がしたからだった。
 早朝の街は、まだ寝静まったままで、人影はどこにも見あたらなかった。
 誰もいないのを確かめたヨハンは、アマガエルに向き直った。



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よもよも

2021-08-10 06:10:21 | Weblog
はてさて。

暑さも急に吹っ飛んでった。。

のはいいんだけどさ、

朝起きたらまぶたがぷっくり。

なんか食べ物にあたったか??

んなわきゃないんで、

触ってみりゃ痒みがあるから、

どうも蚊に食われたらしいXXX

窓開けっぱで寝ちゃったからしかたがないんだろうけど

ここんことろ暑すぎて虫もあんま見かけなかったし、

野花も勢いがなくって、なんか自然もパッとしなかったけど

ここに来て、今日辺りは急に寒くなり過ぎだけどさ、

虫に食われてなんかほっとした感じがする。。

かゆいけど、なんかそれも懐かしいわ。

蚊に刺されてスイカを食べてって、夏の定番だもんね。

でも今日は、やたらと寒いわXXX
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