映画で楽しむ世界史

映画、演劇、オペラを題材に世界史を学ぶ、語ることが楽しくなりました

「ライフ・イズ・ビューティフル」に潜む歴史

2010-12-26 18:38:34 | 舞台はギリシャ・イタリア

第二次大戦でイタリアの戦いぶり 「ライフ・イズ・ビューティフル

第二次世界大戦中、イタリアの小庶民、ユダヤ人の問題を描くコメディー傑作。監督・主演は「ボイス・オブ・ムーン」や「ジョニーの事情」のイタリアを代表する喜劇俳優ロベルト・ベニーニ。1998年のアカデミー賞外国作品賞をとったと記憶する。日本の映画では渥美清の「拝啓天皇陛下様」があったが、大分趣は違う。

 イタリアはドイツ、日本とともに枢軸国の一つなのに、独、日から見てなんとも頼りない。そもそもイタリアは各都市、諸領土がばらばらという歴史が圧倒的で、中央政府に対する信頼が薄く、軍事力も弱いまま。そこへ突然変異的に、ムッソリーニのファシズム政権が誕生し、ヒトラーに乗せられて同盟するが・・・。

 ①1939年9月のヒトラー最初の東部戦線、スラブ人国家征服戦には参加せず、中立姿勢を見せる。

 ②翌年6月、ドイツの勢いの良さを見極め英仏戦に参戦することとし、ギリシャや北アフリカへ出兵する。

 ③しかしアフリカ戦線(リビアなど)ではイギリス軍に敗け続け、ドイツのロンメル将軍の応援を請う始末。

④ついに1943年7月、「枢軸国の柔らかい腹部」と呼ばれたシチリアに英米連合軍の上陸をゆるし、

⑤イタリアではムッソリーニは政権の座を追われ、連合軍との休戦を図るバドリオ政権が成立する。しかし国内はドイツ兵多数が駐留しており新政権の力は弱い。

⑥しかし2ヶ月後の9月、監禁中のムッソリーニがドイツ軍に救出され、北イタリアのサロのドイツ軍占領地で「イタリア社会共和国」(サロ共和国)を発足させる。

⑦かくしてイタリアの南北分断状態が続くが、1945年4月28日、連合軍の北上やレジスタンスの一斉蜂起でイタリア国内のドイツ軍が降伏し、ムッソリーニは処刑される。

 ⑧ちなみに、ヒトラーは2日後の30日ベルリンで自殺。5月7日にはドイツが無条件降伏文書に署名する。

映画に出てきたユダヤ人収容所はどこにあったのだろうか。多分北イタリアのドイツ軍占領地内。アメリカ軍の戦車部隊がやってきて、ドイツ軍が逃げ出していった最後のシーンは多分4月28、29日。その頃4月1日から日本は沖縄戦真っ最中、6月22日まで続く。

人気ブログランキング挑戦



コメントを投稿