于武陵(うぶりょう)「勧酒」より
半紙
かずら筆
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勧酒
勧君金屈巵
満酌不須辞
花發多風雨
人生足別離
この第3・4句目を
井伏鱒二が「花に嵐のたとえもあるぞ/さよならだけが人生だ」と
訳したので、有名になった詩です。
もとの意味は、
「君よ、さあ黄金の杯を受けてくれ。
なみなみと満たしたこの酒をどうか辞退しないでくれ。
花が咲くと、決まって嵐がやってきて散らしてしまうように
人生もまた、別れの悲しみがやってくるのだから。」
というような意味です。
「さよならだけが人生だ」というのは、ちと意訳すぎる気もしますが
まあ、長く生きてくると、そういう実感はあります。
別離は避けて通れないなら、
せめて、ひとときでも、酒を飲んで楽しく過ごそうじゃないかということで
これもまた、そうだよね、と深く共感するのです。