火滅不久燃
煙(けぶり)だにしばしたなびけ鳥部山(とりべやま)立ちわかれにし形見にもみん
半紙
【題出典】『往生要集』87番歌題に同じ。
【題意】 火は盛んなれば久しくは燃えず(出典では、「滅」は「盛」)
火は消えて長くは燃えない。
【歌の通釈】
鳥部山の煙だけでもしばらくたなびいてくれよ。死別してしまったあなたの形見とも見よう。
【考】
あなたの形見と見るから、せめて鳥部山の荼毘の煙が消えないでほしいと願った歌。
(以上、『寂然法門百首全釈』山本章博著 による。)