プルサーマル計画を憂慮する有志の会

原発問題に関して投稿します。

1Fの廃炉、「冠水」or「空冷」?

2014-04-29 10:21:37 | 日記
 福島第1原発の廃炉、特に溶融デブリの取り出し方法に関する、対照的な方法を提言する国際廃炉研究開発機構理事長の山名氏と、元GE技術者だった佐藤氏のインタビュー記事がありましたので、ご紹介します。

 「作業員の被曝や汚染拡大を防ぐためにも・・・『冠水(水棺)方式』が最も良い」、そう仰るのは山名氏ですが、「設備の損傷や燃料デブリの状況は分かってい」ない、「冠水方式で対応できない炉が出てくるかもしれない」、「格納容器の横や下から取り出す方法など、大体策の検討」も必要だとしています。

一方佐藤氏は、「(天井から)原子炉で溶けた燃料にたどり着くまでの距離は(メルトスルーし、さらにコンクリートまで溶かしていますから)米国スリーマイル島原発(の事故炉の場合)より長く、(デブリの)量も多い。格納容器の鋼板は薄く溶接だらけで腐食も心配」、「原子炉建屋5階の高さまで水を蓄え続けるには強度が乏しく、この選択肢(冠水(水棺)方式)は早く捨てたほうが良い」と提言、さらに「冠水に成功したとしても、溶けた燃料を取り出す前に、多くの炉内構造物を取り除かねばならない」と問題点を指摘しています。

 (以前にも書いたのですが)1~3号機の原子炉建屋には、地震や爆発の影響で無数のヒビや穴が開いていると考えられますから、到底冠水など不可能です。(修理も現実的に不可能です)万が一「冠水」に成功したとしても、未だ溶融デブリの位置や性情も分かっておらず、不透明な濁った水の中で(しかも上記のように5階か建屋のコンクリートまでの距離がある中で)デブリを取り出すなど「神業」に近い芸当です。しかも今後の地震に耐えられるとは思えません。

 冠水(水棺)方式に対する佐藤氏の代案は、「格納容器の外面とそれを覆うコンクリートの壁の間」にある隙間を利用し、(多分空気を送り込むのだと思いますが)「ここを通り道にした『空冷方式』を提案」されています。そして、「地下に放射線を防ぐ遠隔操作室をつくり、溶けた燃料を取り出して粉砕」、それを「『乾式キャスク』に入れて現地に保管する」と提案しています。「空冷」ができれば、汚染水の根本的な対策になりますし。
 
 さらにこうした廃炉技術の「公募」についても両者の意見は対照的で、「燃料デブリを取り出す技術など廃炉に向けたアイデアを公募したところ、200件もの応募があった」と胸を張るのは山名氏ですが、一方佐藤氏は、「(公募の)やり方に問題があ」る、技術の公募のために「福島第1原発に関する必要な情報を海外向けにまとめて紹介しているわけではない」、「世界に呼びかけているいう国内向けのポーズではないかと疑われる」とし、「もっと分かり易く情報をまとめ、積極的に扉を開ければ、より多くの技術提案が出てくるはず」だと指摘しています。私も佐藤氏の意見に賛成ですし、そうして戴きたいと思います・・・


P.S. (これも以前書きましたが)IAEAですら「冠水(水棺)方式」には否定的な考えです。「コストが掛かり過ぎる」ということですが、コストも膨大ですが、時間もずっと掛かるでしょう。(地震など)リスクも非常に高いと思います。一歩間違えば、格納容器が損傷し、膨大な量の高濃度汚染水が流出する「大事故」が起きてしまいます。(事故直後何度も書きましたが)「冠水(水棺)方式」は非現実的です。止めて戴きたいと思うのです・・・

P.S.2 「関西原子力懇談会」という組織があるそうです。規約には、「原子力の開発と利用の推進に寄与することを目的とする」と書かれているそうです。会長には12年1月まで関西電力の副社長が務めており、職員の一部も関電から出向しているとのことで、実質的に電力会社の「広報部門」です。この「関西原子力懇談会」が、12年の夏から、(近畿圏や福井県などの)中学校の教員に参加を「募集」しているのが、「授業に活かせる放射線教育研修会」です。どうやら原発推進のためのPRを、教師をまず「洗脳」して、それから子供たちを「原発は安全」だと信じさせようとの思惑のようです。同「研修会」の参加者には、(形だけは主催の大阪府にある私立大学)までの交通費が支給され、宿泊費や食費も「タダ」だそうです。当然、その費用を出しているのは(本当の主催者の)同「懇談会」です。でもその本当の「負担者」は、やっぱり電気料金を支払っている利用者なのではないでしょうか?・・・

P.S.3 私には「ゴールデンウイーク」は関係ありません。蜜蜂が帰ったので、早速昨日は朝から蓮華をトラクターで鋤き込んでいました。これからは農作業に追われます。お出かけの皆様、事故などないように、くれぐれもお気をつけ下さい・・・

by「プルサーマル計画を憂慮する有志の会」 (平成26年4月29日)

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