プルサーマル計画を憂慮する有志の会

原発問題に関して投稿します。

「福島第1原発の状況はコントロールされている」?

2013-09-08 12:27:18 | 日記
 IOC総会の記者会見で安倍総理は、福島第1原発の状況はコントロールされている」、「(汚染水は)港湾内の0.3キロメートルの範囲内で完全にブロックされている」、「全く問題はない」と世界に向って発信しました。只、今回のレベル3の事故では、漏れ出たタンクから(一部の汚染水が)直接外海へと流出しており、「完全にはブロック」されておらず、流出した汚染水の広がりを止める術は最早ありません。一国の首相が世界に向って事実と異なることを発言したとなると、日本の信用を落としはしないかと危惧します。

 一方、タンクから地下水へと流出した高濃度の汚染水については、ブログ「3・11東日本大震災後の日本」で正確な分析をして下さっているので、以下、(要約しながら)引用させて戴きます。

「H-3(トリチウム)は水分子として存在するため、地下水の流速=H-3(トリチウム)の流速になります。従って、汚染水が地下水に流れ込んだ場合は、まずはH-3が最初に検出される可能性が高い」、現在検出されているトリチウムが、地下水バイパス用の揚水井戸で、「No.10が76→290Bq/Lに、No.11が57→300Bq/Lに、No.12が450→900Bq/Lにそれぞれ大きく上昇していることがわかります。また、No.7も30→470Bq/Lに上昇しています」が、「地下水の流速が1日30cm程度とするならば、昨年3/26の漏洩事故の影響という可能性」がある、ちなみに、「昨年3/26に漏えいしたのは120トン。この時海に流れたのは約80Lで、20トンを回収し、100トンが地中に流出した」とのことです。

今回の漏出7月前半ということですから、例えばトリチウムの移動速度は速くて1日30cmだそうですので、50日×0.3m=15mしか移動していないことになり、流出したタンクから海側に100メートル離れた「地下水バイパス」用の井戸で放射性物質が検出されていないのも当然です。100メートル移動するには、約333日、ほぼ1年掛かることになります。ちなみに、地下水の流速は東電の資料では(地形や場所によっても変わるのでしょうが)1日10cmの場合もありうるとのことで、(この場合)移動時間は3倍掛かることになります。いずれにしても、放置すれば、海へと流出することになります。

また流出した高濃度の汚染水について、「今回の(タンクからの)漏えいで一番問題にされている核種はトリチウムでは」なく、「全β(線)の中に半分ほど含まれるSr(ストロンチウム)-90です。H4エリアのタンクに入れられているRO濃縮水は、セシウム除去装置を通しているためセシウムはかなり除去されています。そのため、検出しやすいγ核種は少なくなっているのですが、β核種であるSr(ストロンチウム)やH-3(トリチウム)はほとんど全く除去されていません。今回の漏えいしたタンクでも、8/26に発表された、当該タンクNo.5の核種のデータによると、Cs(セシウム)-137が92,000Bq/L、全β(線)が2.0E+08Bq/L=200,000,000Bq/L(2億ベクレル/L)でした。これまでの経験からSr-90(ストロンチウム)はこの50-60%という事が言えますから、Sr-90は約1億ベクレル/L」の高濃度の汚染水が流出したということです。残念ながら、(汚染水だけを見ても)コントロールできている状況からは程遠い現状だと思うのです・・・

by「プルサーマル計画を憂慮する有志の会」 (平成25年9月8日)