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内装変速自転車、オートバイの未来

2023-11-26 01:34:32 | 日記

  
今日は、朝の冷え込みも厳しくなく、日中は陽射しもたっぷりで、気温も15℃、
引越しをしてから 4ヶ月が経ち、街の買い物先のレパートリーを増やす為に、自転車で街を散策する事にしました。


『 ワシは昔、内装式に乗っていたんや 』

そして、立ち寄った店の前で、停めた自転車に施錠をしていると、通りすがりの年輩の人に「軽そうなバイクに」と、声を掛けられたのです。「やっぱり、外装式(変速機)の方が軽いだろうな」「ワシは、昔、パナソニックの自転車に乗っていて、お金が無かったから、内装式(内装式変速機の自転車)に乗っていたんや」と、いかにも自転車に興味がある事が分かる話しぶりでした。
 


その時、“内装式変速機” と聞いて、うかつにも、僕はママチャリ(通称)を頭に浮かべてしまいました。しかし、それは全く違ったのです。「後が内装式変速機の 6段で、前が 3段、合計18段の自転車で、40年前、46歳の時、長距離を走ったんや」「国道29号の志戸坂峠に登って鳥取県の智頭に行って、そこから国道53号で黒尾峠に登って岡山県に入ってから戻る、距離190㎞、13時間の旅で、しかも雨やったんや」と、僕にも馴染みのある峠や地名に聞き入りつつ、40年も前、後が内装式で 6段(速)の自転車が販売されていた事がとても印象に残ったのです。


『 内装式か?  外装式か? 』

そこで、自宅に戻ってから、40年以上も前の、ロードスポーツ タイプではないのに、前3段、後が内装式変速機で 8段の 自転車の画像や資料を検索したのです。それが、10年後の自転車の姿、或いは オートバイのあるべき姿を考えるきっかけにもなったのです。
 
自転車の変速機と言えば、現在、ロードスポーツタイプの自転車で主流の 変速機(後)は「外装式」です。そして、様々な走行場面での最適な変速比を求めて、その段数は増え続けて、今では 11段(速)が一般的になっています。しかし、装着するフレーム側の寸法は変わらないので、ギアユニット(重なったギア全体)の厚みは変えられず、ギアとチェーンの幅を狭くする為に材質と製作技術の改良が続けられているのです。


僕も、多分に漏れず、そんな 他段数化へ進歩(?)した姿に憧れ、自転車を作った時は、可能な限りギア数の多いユニットを選んだものですし、多くの自転車ライダーにとっても自転車選択の際の注目ポイントでしょう。しかし、内装式(変速機)の凄さを知るにつれて、外装式変速機に未来は無いかも知れないと思うようになったのです。


『 内装式の凄さ 』

そのきっかけになったのが、検索で見つけた、下の内装式変速機のカット図です。


サンギアとピニオンギアなどを組み合わせた「プラネタリーギア」を数セット組み合わせた緻密な構造になっていて、この図の場合、恐らく 4 × 2 で 8段(速)か、もしかすると、14段かと思われますが、とても心が惹かれる構造になっています。
そして、内装式だからこそ、外装式には無い数々の特徴も知ったのです。それは、一つ目は変速が瞬時に出来る事。二つ目は 停車時にも変速が出来る事。三つ目は機械的な伝達ロスが少ない事などです。 外装式の自転車ライダーであれば知っての通り、一般的な外装式の場合には、瞬時の変速は出来ず、停車する前に発車用のギア選択を終えておく必要があり、変速時には音とショックが少なからずあって、大きな段差を通過時にはチェーンが外れる覚悟も必要で、変速した段数によってチェーンは車体内側や外側へと曲げられた状態で使われるなど、外装式変速機には駆動力の伝達損失が多くあるのです。そんな機械的損失の多さに気付かされて、外装式の限界を知り、内装式は決してクラシックでもママチャリ用でもないと知ったのです。


『 電動化の時代へ向けて 』
 
そして、次のカット図に出会って、未来の自転車やオートバイは「内装式」しかありえないのでは、と思っています。


ドイツの Rohloff(ローロフ)社の、電動モーターが組み込まれている様に見える、内装式変速機のカットモデルで、その段数は 14段となっています。段数の多さもさる事ながら、僕は、このモーターを組み合わせた姿に心が強く揺さぶられたのです。 ご存知の通り、モーターは無回転状態から回転を始める時に一番大きなトルク、つまり一番大きな力を出しますが、それを受け留めるギアの幅は広く、外装式の薄いギアと較べるまでもなく、その力を損失少なく後輪に伝えられる事は明らかです。しかも、その駆動力を瞬時の変速で無駄なく路面に伝えられ、しかも堅牢で密閉された構造で耐久性も高く長寿命だとはっきり示しています。


『 電動化の時代、内装式の時代 』
 
現在、モーターを装着した電動アシスト自転車の多くは電動モーターをクランク側に装着しています。そして、後輪に「内装式」(多くは3段)の変速機を備えていますが、チェーンやギア(スプロケット)の高くない耐久性を考えれば、モーターの駆動力を制限せざるを得ない筈です。法律上の “電動アシスト” としての制限に守られてから現在の形式が一般的になっていますが、駆動エネルギーの伝達効率や耐久性の低さ、将来の完全電動化などへの発展を考えれば、チェーンを介して後輪を駆動(アシスト)する形式はエコでもなく、サスティナブルでも、スマートにも思えません。

やはり、上記、Rohloff 社 が示している様に、モーターは後輪ハブに組み込む形式こそ未来の姿としか思えません。そして、このモーター組込み型の内装式変速機が一般的になるにつれて、多段化や低コスト化が進み、ロードスポーツ自転車でも モーター無しの内装式変速機が一般的になるでしょう。これは、オートバイや車の場合も同じで、いわゆる【 インホイールモーター 】形式による駆動こそが電動モーター時代の当然の形だと、今回の「内装式」の勉強で改めて確信しました。

自転車で何気なく出掛けるのは、やっぱり、人との近さや出会いがあって、とても面白いですね。だって、今回の様な出会いから、色々な事を知り、未来を考えるきっかけが生まれたのですから。

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【 参考資料 】
独・Rohloff 社 公式Webサイト URL
https://www.rohloff.de/de/produkte/speedhub

<上記Webサイトより一部転載> (日本語訳)
新しい Rohloff E-14 では、Speedhub が電動自転車に最適なシフト ユニットになります。 ボタンを押すだけで最高レベルのシフトの快適さと同期したシフトを実現します。 電気ドライブの強力なパワーをこれほど効果的に実現できるギアハブはありません。 そして、それらのどれもより速くシフトしません。 わずか 180 ミリ秒で、電子シフト コントロール Rohloff E-14 が Speedhub の新しいギアにシフトします。 ボタンに触れるだけで、1 つまたは複数のギアを一度に簡単にシフトできます。 比類のない長寿命、526% の幅広いギア範囲、およびすべてのギア ハブの中で最高の効率を備えた Speedhub は、すべてのプレミアム e-バイクの基礎を形成します。 」



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2019 EICMA、魅力的なBST電動バイク

2023-10-27 23:25:01 | 日記

Cycle World Magazine 伝、
https://www.cycleworld.com/bst-hypertek-electric-first-look/?fbclid=IwAR08T3P92sMMs9lZ-FqNoBoHNFnsGryrfOv2w4y9lWfcCUM4Evowqpxt28Y

2019年 11月、イタリア・ミラノで開催されるショウ・EICMA用に作られた、優れたスタイリングの電動バイクです。デザイナーの Perre Terblanche が レース用&公道用のフルカーボンホイールを先駆けて発売した BST社( BlackStone )の CEO Gary Turner が協力して製作した車両です。
4年前の作品にも関わらず、一般的な電動バイクの多くが従来からのデザインから抜け出せない中、その特徴を活かした、直ぐに欲しくなる程に魅力的なスタイリングです。
  
  


ただ、記事にも書かれている特徴、急加速時のリアスクワット(沈み込み)を防止する働きとして、スイングアームの上下を走る駆動ベルトをアームと平行にする仕組みが組み込まれています。しかし、これは多くの二輪エンジニアの誤解による産物です。例え、駆動ベルトを並行にしても、通常のスイングアーム形式に於いて、駆動力でアクスルシャフトが路面と平行移動する事で車体が前進する原理が変わらない限り、適切なメカニズムではありません。その上、記事中に「リアサスペンションをフリーズさせる効果」とありますが、それはグリップを著しく失う事に繋がり、全くナンセンスな解説です。



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ハブステア車両の潮流になるか / Will this be a new trend in hub-steering vehicles?

2023-03-09 10:59:49 | 日記

Cycle World 発、Ben Purvis 氏寄稿

三輪トライク車の製造販売で知られる Can-Am社が、提出した特許出願書類から、新たなハブステア機構の二輪車を計画している事が報告されています。

ハブステア機構の前輪サスペンションの特徴は、一般的なテレスコピック形式とは異なり、ブレーキ(制動)の力と路面追従の為の力とを分けて担当する機構とトレール量(方向安定性成分)の変化を押さえる設計によって、ブレーキング中でも路面追従性が高められる特徴がある事で知られています。 テレスコピック形式は構造の簡易さにトレール量変化設計のノウハウを得る事で広く普及していますが、一方で、剛性と安定性確保の面から来る限界が見えています。その為、ABS機構の普及と進歩が進んだ四輪車と同様に、二輪車も緊急制動時の操縦性が強く求められる時代には、今後注目される機構です。

同社の資料を見ると、恐らく、従来作られてきたハブステア機構とは異なり、ハンドルバー操作を前輪ハブに伝える機構に特徴がある様です。ただ、サスペンションと車体フレームの構成とエンジン搭載方法から、積極的にモータースポーツ用途に向いた剛性設計にはしてない様です。恐らく、現行販売の三輪トライク車と同様に、安全に二輪車を楽しみたい人々を意識した同社の設計思想の作品になるのでしょう。



Can-Am’s Hub-steered Motorcycle

https://www.cycleworld.com/motorcycle-news/can-am-hub-steered-motorcycle-patents/?fbclid=IwAR2Jac92RSSwpFffUYaKRI2jKPgFDZSqaeQwvQTG7FYpMjZb2vYE62CfWOs

 

The front wheel suspension of the hub-steer mechanism differs from the general telescopic type in that the braking and road-following mechanisms are separated, and the design suppresses changes in the amount of trail (directional stability component), resulting in excellent road-following performance even during braking. Known for its enhancing properties. And just like four-wheeled vehicles, where the advanced ABS mechanism is widespread, it is one of the mechanisms that are currently attracting attention in an era where maneuverability during emergency braking is strongly required.

However, due to the structure of the suspension and body frame and the method of installing the engine, it seems that they did not actively design the rigidity suitable for motor sports use. Like the three-wheeled trikes that are currently on sale, it will probably be a product of the company's design concept that is conscious of people who want to enjoy two-wheeled vehicles safely.

 


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極限走行ではなく、既に惨事です / It's not extreme driving, it's already a disaster

2023-03-08 13:57:10 | 日記

Dream Racer 伝
   
恐らく、1960年代頃の車両で現代仕様のサーキット走行中の場面でしょう。コメントでは「極限走行」の様に紹介されいますが、実際には既にコントロールを失った状態で、路面に叩きつけられる パッセンジャーが心配されます。 本車(オートバイ)だけを見れば大丈夫そうに見えますが、既に車体の向きと進行方向が大きく異なり、何よりも、リアタイヤがリムから外れていてはコントロールは無理です。そして、側車のパッセンジャーは脚の支えは無く、次の瞬間に起きる車体の急な挙動には、両腕だけでは支えられません。


https://www.facebook.com/dreamracer.tv/photos/a.1572208056349882/3481159955454673/


In the introduction, it is introduced like "Extreme driving", but in fact it is already in a state of losing control. If you just look at the motorcycle, it looks okay, but it is impossible to control because the direction and direction of the car are already different and the rear tire is off the rim. And there is no leg support for the passenger in the sidecar, and I am worried about the next disaster.



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新作 PC、迷走&珍解明 日記 / 「 メモリー & CPUソケットピン 」編

2021-06-04 22:01:51 | 日記

今から 3年少し前、従来から使用していた 自作 PC に見切りをつけ、より高性能な PC を自作して効率良く仕事する計画を立てた。PC 作成は数度の経験はあったので、部品を購入後に直ぐに組み立てて動作確認した。けれども、全く作動せず(モニター表示が一切出ない)を確認したものの、丁度、退職と転職を行なった時期と重なった事もあって、結局、3年以上放置していた。

それを、パンデミックの影響による自宅引き籠りストレスを発散させるために、改めて、自作PC 作成に再挑戦した。

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 『 友人の助けを受けて 』

PC 関連のサービス事業を行なっている友人がいて、長年に亘って、困った事があれば、リモートで色々とアドバイスを受けていたので、今回も彼の助けを請いながら進めた。彼曰く、「 メモリー(ボード)の作動確認 」、「 メモリースロットの動作確認 」、「 CPU のソケットピン関連の確認 」、「 モニターの接続モードの確認 」、「 複数の電源箇所での作動確認 」などの レクチャーアドバイスを受けたが、これのどれもが有効、助かる内容だった。
  
オートバイの整備知識はあっても、日頃は殆ど整備をしないのが僕だとすれば、彼は日頃から整備関連に携わっている人だから、やはり、基本を知り作業を行なっている人の言葉は貴重だ。

 


『 迷走の後で 』

アドバイスに従って、一度、CPUを取り外してから取付け直しして、メモリーの確認、メモリースロットの確認を行なうと、とりあえずは 作動する様になった。作成直後に確認をすべき「 BIOS 設定画面 」が表示されるようになった。

 

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しかし、釈然としない思いは残っている。 そのモニター画面でも表示されているが、四つある メモリースロット の内、二つの メモリースロット が認識されていないのだ。 それでも、32GB のメモリーは使える事を表示しているから、簡単な作業なら問題は無いが、デュアルチャンネルという効率の高い使用が出来ないし、将来にメモリーを向上させる道が制限される事を示している。これでは、満足できない。 解決の為に、新しい マザーボード( CPU や メモリー などを装着する基盤 / この仕様によっても性能が左右される )を購入して交換する事も考え、フツフツと数日以上を過ごした。

そして、結論は「 もう少し、粘ってみよう! 」だった。

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『 粘った結果が 』

粘って考えた対策の一つが、メモリースロットの清掃だ。
4つある メモリースロットの内、認識できない スロットは No.1 と No.2 の二つのスロット。 もしかすると、スロット内部に異物が入り込み、異物が原因で接触不良を起こしていると考えての清掃だ。しかし、接点復活剤や綿棒、柔らかい素材の隙間用ガイドを駆使し、数日間放置の後、改めて確認しても全く変化無し。 メモリースロット異物混入説は一旦消滅に。
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次に挑戦したのが、友人のアドバイスにあった「 CPU ソケットピン関連の確認 」だった。 この箇所が、一番シビアで気分が重くなる所だから、「 喰わず嫌い 」な僕としては、最後の最期まで見ないフリをしたかった。
でも、重い気分を打ち払い( 大げさ!)、CPU 用のクーリングユニットを取り外し、CPU を取り外して、見えてくる マザーボード側の CPU ソケットピン を カメラで撮影して、その画像を拡大して驚いた !!

 

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そう、整然と数多く並んでいる ソケットピン の内、1本の ソケットピン が あらぬ方向に曲がっているのだ。 直接目視では 判別できるレベルではない。これが、メモリースロット が認識しない原因と断定できないが、このままでは CPU が 本来の性能を全て発揮できる状態ではない事は確実だ。さあ、どうする? やはり、マザーボードの買い替えか?
    
いや! 修理の道を選ぼう。例え失敗しても、今と変わらないだけ。 修理した後で、確認して、もう一度考える事にしよう。

 

 

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