ミュンヘンなんて、どこ吹く風

ミュンヘン工科大留学、ロンドンの設計事務所HCLA勤務を経て
群馬で建築設計に携わりつつ、京都で研究に励む日々の記録

The Curious Incident of the Dog in the Night-Timeのあらすじと感想

2012-10-04 20:19:24 | ロンドン・hcla
朝、少し遅めに起きて近所のGPへ。イギリスでは家の近所にかかりつけ医(GP)を登録することになっている。引っ越したので家の近所に新しいかかりつけ医を登録し直した。保険料を払っていれば医療費は基本的に無料。僕のかかりつけ医の場合は、予約はしていなくても飛び込み(walk in)で診てもらえる時間帯が午前中に設定されている。「暖かくして、水をいっぱい飲んで…」とアドバイスをもらう。「あなたは○○です」って病名をもらえることを期待していると拍子抜けだけど、前に一時湿疹が出たときも「特に病名はありません。そのうち治ります」と言われ薬局で買える市販薬を勧められたので、まあこれはこれで正直な対応なのかもしれない。

昼前に出社。昼休み、近所で働くあらやさんあみさんらと会社の近くで食事。わいわいと話す。午後は小さなプロジェクトの作業。同僚と、外構と基礎のsetting out図面を描く。夕方、図面をエンジニアに発行。そのあと明日が締め切りの中くらいのプロジェクトのヘルプ。9時くらいまで会社で作業したあと、近くのpretで原稿を書いてから家に帰る。

ところで月曜日の夜にNational Theatreで演劇『The Curious Incident of the Dog in the Night-Time』を観た。数学や宇宙のシステムなど答えがひとつに定まるものには抜群の理解力を示すが、比喩や他人の表情•感情が理解できず人とうまく付き合うことができない少年。隣の家の飼い犬が殺された事件の真相を知ろうと近所のひとたちに聞き込みの探索を始めたことをきっかけに、それまで家族やカウンセラーによって守られていたわかりやすく偽られた閉じた世界から逸脱していくことになる。より混沌として複雑な世界に飛び出して、そこで出会った真実に傷つきながらも、自分の可能性に自信を持てるように成長していく、という物語。最後の場面で自信たっぷりに自分の将来を語り、「Does that mean I can do anything!?(僕にはこれからなんだってできるよね!)」と、自分を見守り続けてくれたカウンセラーに宣言するように問いかける彼に対し、彼の成長を喜びつつも、これから何度も現実に傷ついていくであろう彼の前途を心配もしているだろう故に、無言で肯定も否定もしないカウンセラーの表情を残して場面は暗転する。主人公が劇中で組み立てる鉄道模型のレールが、彼の心の動きに応じてループしたり方向を見失ったりしたあと、彼が母を追ってロンドンへ発とうと決意するシーンでひとつにつながって電車が走り出したり、素数が大好きという主人公にちなんで素数の番号の座席にはちょっとした仕掛けがあったり、終幕後に、劇中に登場した数学の問題(ピタゴラスの定理の証明)の解答を主人公が実演してみせるシーンがあったり、小さな劇場に張り巡らされた演出が楽しい。原作を読んだときに抱いた印象と登場人物の造形は少し違っていたけど、よくできていて楽しい劇だった。sold outだった公演を粘り強くreturn ticketを探して席を確保してくれたたけさんに感謝。

Youtubeで舞台版のTrailerが観れる。雰囲気はこんな感じ。 
http://www.youtube.com/watch?v=Y7snS_QRHGM


追記130429:『The Curious Incident of the Dog in the Night-Time(ザ・キュリオス・インシデント・オブ・ザ・ドッグ・イン・ザ・ナイトタイム)』はオリヴィエ賞で史上最多タイの7部門を受賞。実際面白かったし、紹介してくれた@taketakefcの選球眼の確かさを改めて確認した次第である。彼に推薦された演劇はほとんどが今年オリヴィエ賞にノミネートしていた。@taketakefcは演劇をその演劇的クオリティと英語(台詞)の難易度でそれぞれ星を付けるレビューサイトを立ち上げようとしている。要注目である。
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