顎鬚仙人残日録

日残りて昏るるに未だ遠し…

風薫る5月…やっと収束の兆しが?

2020年05月16日 | 山歩き

青葉若葉の香りを求めて、誰もいないような低山を歩いてきました。

山道はもうすでにいっぱいの緑に覆われていて、BGMはまだ正調を覚えきれないウグイスたちの輪唱です。

木を覆いつくしたマメヅタ(豆蔦)は、樹木や岩に張りついて生育する常緑着生シダです。1㎝くらいの葉が可愛いので盆栽に人気、マメシダ、マメゴケ、イワマメなどともよばれています。

マムシグサ(蝮草)は淡紫色の仏炎苞が一般的ですが、そこが淡緑色のものはアオマムシグサ(青蝮草)とよばれています。

ヤマツツジ(山躑躅)は、この近辺の山では春に欠かせない彩りです。

岩場に出ているこの葉は多分イワタバコ(岩煙草)です。煙草の葉に似ているからの命名、初夏に青紫色の可憐な花を咲かせます。

上流には人家がないので渓流も澄み切っています。
こんな自然の中にいると、なんとか再発を防ぎいつもの生活が続くように気を緩めない気持ちが強くなりました。

あらたうと青葉若葉の日の光  芭蕉
燦々と日裏日表風若葉  原 コウ子
青葉して影よりも濃きものはなし  鷹羽狩行

アカヤシオとシロヤシオ

2020年05月13日 | 季節の花

この時期、奥日光の山々で見られるヤシオツツジ(八汐躑躅)は栃木県の県花でもあり、山行をわざわざその開花時期に合わせるほど、魅力的な花です。
ただ、このツツジは大変気難しい樹木で、平地に持ってきても枯れてしまうと聞いたことがあります。
実際、高温多湿に弱く、夏の直射日光を避け、春と秋は良く日に当たり、風通しがよく斜面のような場所がいい…と書かれています。

そのヤシオツツジといえばこのアカヤシオ(赤八汐)、3月末に水戸城三の丸に残る土塁の上に咲いていました。確かに斜面で上部は背の高い落葉樹に覆われて生育条件は良さそうですし、夏の暑さも乗り切っているようです。

同じ頃、笠間市の唯信寺の境内でも見つけました。一つの枝に1輪だけ淡紅色の花を付けるので、別名ヒトツバナともよばれるそうです。

また、シロヤシオ(白八汐)は昨年4月末に茨城県立歴史館敷地の沢渡川緑地側に咲いていました。今年は新コロナウイルスの影響で一帯がしばらく閉鎖になっていましたが。

一つの枝先に白色の花を1から2輪つけます。5枚の葉が輪生状に付くことから別名ゴヨウツツジ(五葉躑躅)の名の方が一般的で、愛子内親王のお印(皇族が身の回りの品などに用いる徽章)としても知られています。

地球温暖化の影響で年々暑い夏が続いていますので、この先が心配ですが…
なお、アカヤシオより色が濃く、紫がかったムラサキヤシオという品種もあるそうです。

ヤシオの語源は諸説あり、「幾度も染液に浸して濃く染めること」というのが一般的のようです。となるとシオの字は、1回染めることを一入(ひとしお)というので八入(ヤシオ)が正しいという意見もありますが、実際には八潮、八塩、八汐、八染などが使われているようです。

春まぶしく、出口に小さな光が…

2020年05月10日 | 季節の花
ここ数日、新コロナウイルスの感染増加が抑えられてきた兆しがやっと見えてきました。
まだ油断はなりませんが、いつもの散歩道や狭庭の新緑にも少し光が差してきた?ような気もします。

雑木林などどこでも見られるチゴユリ(稚児百合)ですが、近づいてみると稚児さんのようにかわいいという命名通りの花です。

フランスギクはヨーロッパ原産、観賞用に渡来したものが今は全国で野生化し、北海道では特定外来種に指定されています。園芸種のマーガレットとよく混同されますが、葉の形などで区別できます。

キンポウゲ科のウマノアシガタ(馬の足形)、葉の形が馬の蹄に似ているのが命名由来ですが、もっぱら似ていないという評判です。八重咲きのものがキンポウゲというそうです。

オドリコソウ(踊子草)はヒメオドリコソウとともに道端にある雑草ですが、その群落を人のあまり入らない野原で見つけました。シソ科オドリコソウ属、手に扇を持ち笠をかぶって踊る花の様子から命名されました。

新芽の鮮やかな赤色で垣根などに人気のベニカナメモチ(紅要黐)の花、アップで見ると白い端正な五弁花がきれいです。

満開のナニワイバラ(難波茨)、江戸時代に難波商人によって持ち込まれたという原種に近い一重の薔薇は、枝の伸びる勢いがとても強く、年に何度も剪定を強いられます。

チョウジソウ(丁字草)は、横から見ると「丁」の字に見えるから名が付いたといわれます。ほぼ日本全国に自生していましたが、現在絶滅が危惧されているそうなので、これは園芸種かもしれません。

クジャクシダ(孔雀羊歯)は本州以北に自生するホウライシダ属で、孔雀が羽を広げたような形をしていることから名前が付きました。観葉植物のアジアンタムも同属で、感じがよく似ています。


エビネラン(海老根蘭)  何も手を出さないのがいいのか、樹の下で増殖しています。
上がタカネエビネ(高嶺海老根)、下が原種のジエビネ(地海老根)です。

20数年前に鉢植えで購入したシャクナゲ(石楠花)を地植えにしたところ、すでに3m超える大きさになりました。

タンポポの綿毛に生まれたばかりのバッタ、まるで羽根布団の中でくつろいでいるようです。早くこんな平穏な世界に戻れますように…

伽羅蕗…自粛の産物

2020年05月07日 | 食べログ

人混み避けての散歩道に出る蕗は、近くに人家もなく採る人はもちろん誰もいません。
大きな群落ではないので、このような場所を数か所見つけて一回りすると、大きな鍋一杯くらいの収穫になります。

一晩水につけてあくを抜いたのを上げて、鍋に入れ椎茸、醤油、昆布つゆ、酒、だしの素を入れ、最初は強火で量が半分以下くらいになったら弱火でコトコト煮込み、75分くらいで煮汁がなくなったら出来上がりです。嵩は4分の1くらいに減っています。

仙人流は甘くしないこと、独特のアクを少し残すことです。
色は一般に出回っているものより薄くなりましたが、伽羅蕗の伽羅色とは茶色がかった暗い黄褐色でWeb カラーでは#D8A373、まあこんなもんでしょうか。
コロナのおかげでいつもより丁寧に炊き、美味しくできたので(自味自賛)、近所にもおすそ分けできました。

伽羅蕗の滅法辛き御寺かな  川端茅舎
伽羅蕗に箸はづませて茶わん酒  加藤武夫
伽羅蕗の辛きを山の恩として  伊藤通明
病む父に頼られ嫁かず蕗を煮る  菖蒲あや

春爛漫…今が辛抱のしどき!

2020年05月05日 | 季節の花
5月6日までの緊急事態宣言もとうぜん延長になり、近くの散歩と狭庭の草花写真だけの更新になってしまいます。

オルレアはセリ科オルレア属、直径20㎝くらいの総状花序の中央の微細な花の周りを、大きな花弁を持った花が囲み純白のレースのような花姿、ホワイトレースともよばれるそうです。


ウズラバタンポポ(鶉葉蒲公英)は、紫黒色の葉がうずらの卵のまだら模様に似ているので命名されました。原産地のヨーロッパではその模様から「レパード(豹)」とも呼ばれているそうです。

イカリソウ(碇草)の原種、環境が気に入って貰えたようでどんどん増えています。花が碇の形が名の由来、淫羊藿として滋養強壮の漢方などでよく利用されておりドリンクなどにその名前を見ます。


モッコウバラ(木香薔薇)の白と黄色、どちらも八重咲なので芳香があるのは白花だけです。棘がなく病気、害虫に強いため垣根などに人気の薔薇です。

かわいらしいスズラン(鈴蘭)ですが、地下茎と種での繁殖力が強いので注意が必要です。しかも強い毒をもつことでも知られています。

ミヤコワスレ(都忘れ)は、日本国内に自生するミヤマヨメナ(深山嫁菜)を改良して作られたそうです。鎌倉時代の承久の乱に敗れ北条義時によって佐渡島に流された順徳天皇が、この花を見て都恋しさを忘れたというのが一般的な名の由来です。

ヒメウツギ(姫空木)はユキノシタ科ウツギ属、同属で卯の花ともよばれるウツギ(空木)の小型品種で、園芸用には小さい方が人気があります。

碇草生れかはりて星になれ  鷹羽狩行
鈴蘭の葉をぬけて来し花あはれ  高野素十
吾れに足すいろこそ都忘れかな  鈴木節子