古いブルースは、アドリブで韻を楽しみながら、歌われる。歌っているうちにどんどん、気持ちも高まり、ある種のトランス状態の中で、思いがけない韻も飛び出し、それらがふいに真実に聞こえたりして、また、聞いている人の思いと、思いがけずつながったりして、呼応は続くのである。書きとめられる前に、歌はでき、誰も書きとめず、継承された。落ち着いて、ノートに書きとめようとすると、そこで冷静に韻を解釈したりなどして、これでいいのかという疑問も生じたりして、突然、つまらないものになっていたかもしれない。歌は机やノートでは、生まれないというのは、わかりきったことであるが、生まれないというネガティブより、生まれる現場のポジティブを感じていればいいことである。
洋司
洋司