前に追い越された、中高生らしき男子が、別の道から、こっちに入ってきそうなところを、遠くに見つけたので、今度は距離もあるし、抜かれないように、と思って、こちら、猛スピードで走ったのである。きっと、少し後ろを追って来ている、と思えば、もう全速力である。無事、抜かされることなく、折り返したが、引き返しても、男子は、まったく見えない。僕って、そんなに速かったかな、などといい気になって走っていると、だいぶ戻ったところで、すれ違った。たぶん男子は、別の道から、この道に入って、まず僕とは反対方向に走り、道が行き止まるところで、折り返して、こっちに走るというコースなのだろう、と思った。見られていると思えば、実力以上のものを、出そうとするようである。渋谷ハチ公前あたりで、詞を書けば良さそうである。
洋司
洋司
