『今日の出来心』

シンガーソングライター&作詞家“久保田洋司”の365日書き下ろし公開日記です
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逢える前兆。今日の出来心2014年2月28日(金)

2014年02月28日 09時14分39秒 | Weblog

万葉集、巻十一 問答 2808~2809

眉根掻き 鼻ひ紐解け 待てりやも いつかも見むと 恋ひ来し我を

今日なれば 鼻の鼻ひし 眉かゆみ 思ひしことは 君にしありけり

訳)

眉を掻き くしゃみをし 紐も解けて 待ってくれていたのかい 早く逢いたいと 恋しく思い続けて来た私を

今日だからこそ くしゃみが出て来 眉がかゆいと思ったのは あなたに逢える前兆だったのですね

万葉の頃は、

眉がかゆくなる、

くしゃみが出る、

下着の紐がほどける、

ということがあると、恋しい人に逢える前兆とされてたんです。

そこで、さっきの問答歌。

男が女に、

眉をかいて、くしゃみをして、下着の紐も解けて、恋しい私を待っていてくれたかい? と詠えば、

女は、

くしゃみが出て、眉がかゆいと思ったのは、あなたに逢える前兆だったのね、と。

男の熱い感じに比べたら、女のほうは、ちょっと、ふわっとしてて、チクッと皮肉をこめてるような感じがあるんです。

くしゃみも、眉がかゆいのも、あなたのせいだったのね、と調子を合わせるものの、

誰かと思えば、とか、しばらく会いに来もしなかったくせに、みたいなニュアンスもある。

問答歌は、安定した関係の二人だから成り立ち、互いに、そういうやりとりを楽しんでいるわけです。

ここでの、男の歌は、柿本人麻呂歌集にあり、すでに巻十一に出てきていたもの。

そのときには、問答ではなくて、眉をかいてくしゃみをして紐も解けて、私を待っていてくれるだろうか、という現在推量の形で、出てきます。

人麻呂の純粋な歌が、のちに問答仕立てに改変されて、ちょっと面白く再登場したということかもしれませんね。

男の妄想、女の現実、ということがあるにしても、どちらにも想像力がないと、楽しめないことでしょう。

電話やメールはもちろん、手紙さえほぼなくて、あっても木簡で歌のやり取りのみ、という万葉時代の人たちの想像力を思うと、我々の潜在能力は、まだまだ、と思えたりします。

まさか、退化はしてないでしょうね。

さ、「えとうた」用の新曲、まだ未完成、潜在能力探って、想像力駆使してがんばろう。

明日は、YoNaGa、六本木リアルディーヴァスにてライブ。

先の、大雪の日の清水への旅の記憶も鮮明です。

さらにさらに盛り上がって、はじけていきたいと思いますよ。

皆さん、明日は是非、六本木に。

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■2014年3月1日(土)
『YoNaGa』Live!! Vol.23 at "REAL DIVA'S"
【会場】REAL DIVA'S
都営大江戸線「六本木」駅 から徒歩5分
東京都港区六本木3-15-24 ウイン六本木ビル3F
Open 18:30 1st Stage 19:00~20:00  2nd Stage 20:30~21:30
料金:前売・当日共3,000円(1ドリンク別)
ご予約はこちらから→  http://yonaga.jp.net/ticket.html
◆お問い合わせ:REAL DIVA'S http://www.realdivas.jp/ (03-6438-9360)

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今日も素敵な一日になりますように。

美しい明日へ心をこめて歌っています。

洋司