『今日の出来心』

シンガーソングライター&作詞家“久保田洋司”の365日書き下ろし公開日記です
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2008年6月30日(月)

2008年06月30日 00時00分01秒 | Weblog
「ジャバジャバ・ジビジビ・ジュブジュブ」、「オン・コロコロ・センダリ・マトウギ・ソワカ」。前者は「大雲経」の、後者は薬師如来に呼びかけて守護を願うときの真言である。聞いたことがある方もおられるかも。僕も「オン・コロコロ~」はテレビの、薬師寺のことを扱った番組で、聞いた気がする。歯が痛くなったときなどに、「アブラウンケンソワカ」っていうおまじない、聞いたことがある方もおられるかも。あれは「オン・ア・ビ・ラ・ウン・ケン・ソワカ」っていう「陀羅尼(だらに)」が元になっているそう。そういうの、近所のおばあさんや、親戚のおじさん、なんかが知ってるというのが、面白い気がするのであるが。それらは、元はサンスクリット語であるが、サンスクリット語にしても、意味がはっきりしない言葉だそうで、意味がわかんなくても、もう、とにかく唱えるもののようである。インドの昔の修行者が、経典の暗記のために、短い詩のような形にして、唱えていたのが始まりともいわれる。仏教の始まったころは、不思議な力をもつそれらの呪文は、禁止されたそうであるが、後の大乗仏教では、おおいに取り入れられることになった。お経そのものが、そのようなものでもあるし、膨大な量の経典を一発で暗記できるようにと、空海なんかが、必死で唱えた真言も、それである。言霊信仰にも通じるところもあるが、前に書いた、万葉集の挽歌などの、死の敬避表現なども、言葉そのものの不思議な力のためである。言えば「痛いの痛いの飛んでけ~」とか「ありがとう」「お疲れ様」とか、「頑張る」というのも、「我(が)に張る」の変化というけれど、意味など考えない。頑張ると言えば、頑張るし、頑張ろう、と言えば、頑張ろう、となる。いろんな言葉で、我々、励まされたりしているのである。

洋司