車のライトの猫が、低い生垣をサーッと横切る。車でも猫でもない。「漫画」という高い声が聞こえるが幻聴である。起きたまま夢を見るのである。ま、寝ぼけているというわけであるが、寝ているのと起きているのが逆様という感じである。誤解を生じる言い方である。自意識過剰な日々を思えば、無意識を感じられるそういうことを、非常に楽しく感じる。お化けなんて嘘さ、寝ぼけて人が見間違えたのさっていう歌を子供の頃に聞いて、気に入った。だけどちょっと僕だって怖いよっていう二小節が挿入されている。その前提がなくては、この歌は演説になってしまう。また宇宙の話になるが、宇宙そのものが、その存在を知らないことには、宇宙はない。無。それも気持ちよさそうであるが、何らかの感覚を得た時点で、無ではないのが、惜しい。般若心境を毎日数回は暗唱しているが、それがそこにあることが、非常に惜しい。象徴派の詩など読んでみても、よくわからないが、ぞくぞくすることである。
洋司
洋司