Q168 高年齢者を再雇用するかどうかは,どのような基準で決めればいいでしょうか?
再雇用基準(高年齢者雇用安定法9条2項)を設けるのであれば,高年齢者の健康状態を最重要視すべきと考えます。
次に懲戒歴等の客観的な事情を基準とすべきだとは思いますが,「雇用と年金の接続」という高年齢者雇用安定法9条の立法趣旨からすれば,健康に問題がなく,指定された事業場に自分で出勤して通常の業務に従事できるのであれば,普通に定年を迎えた再雇用希望者全員が再雇用されるような基準である必要があると思います。
ただ,私がより重視しているのは,むしろ,賃金額,勤務日数等の労働条件による調整です。
賃金額,勤務日数等については,最低賃金法,労働基準法等の一般的な規制を除き,特別の規制はありませんので,会社の実情に応じた賃金額,勤務日数等を高年齢者に対して提案することができます。
例えば,定年までは月給50万円もらっていた方であっても,定年退職後の再雇用では,時給1000円,1日8時間,週3日勤務ということでも構わないわけです。
結果として,当該定年退職者が,こちらの提示した労働条件での再雇用を拒絶してきた場合は,再雇用しないという結論でもやむを得ません。
私が賃金額等の労働条件による調整を重視しているのは,再雇用基準で希望者の再雇用を拒絶し,再雇用の申し出をしなかった場合,角が立ちトラブルになるリスクが高いからです。
60歳の定年まで長年勤務してきた先輩社員に対し,後輩の人事担当者が,「あなたは能力が低いし,態度も悪いから再雇用しません。」と伝えて再雇用拒否をすることが妥当でしょうか?
私はそうは思いません。
失礼な話しだと思います。
そうではなく,会社の実態,再雇用を希望する定年退職者の能力等に応じた賃金額等の労働条件を提示し,それで折り合いがつくかどうかを交渉するというのが,穏当なのではないでしょうか。
能力が低いから再雇用されなかったのではなく,労働条件の交渉がまとまらなかったため,定年退職者が会社が提示した労働条件での再雇用を拒絶したということです。
もちろん,再雇用基準上問題のない定年退職者が,会社が提示した労働条件での再雇用を定年退職者が希望した場合は,再雇用すべきことになります。
弁護士 藤田 進太郎
再雇用基準(高年齢者雇用安定法9条2項)を設けるのであれば,高年齢者の健康状態を最重要視すべきと考えます。
次に懲戒歴等の客観的な事情を基準とすべきだとは思いますが,「雇用と年金の接続」という高年齢者雇用安定法9条の立法趣旨からすれば,健康に問題がなく,指定された事業場に自分で出勤して通常の業務に従事できるのであれば,普通に定年を迎えた再雇用希望者全員が再雇用されるような基準である必要があると思います。
ただ,私がより重視しているのは,むしろ,賃金額,勤務日数等の労働条件による調整です。
賃金額,勤務日数等については,最低賃金法,労働基準法等の一般的な規制を除き,特別の規制はありませんので,会社の実情に応じた賃金額,勤務日数等を高年齢者に対して提案することができます。
例えば,定年までは月給50万円もらっていた方であっても,定年退職後の再雇用では,時給1000円,1日8時間,週3日勤務ということでも構わないわけです。
結果として,当該定年退職者が,こちらの提示した労働条件での再雇用を拒絶してきた場合は,再雇用しないという結論でもやむを得ません。
私が賃金額等の労働条件による調整を重視しているのは,再雇用基準で希望者の再雇用を拒絶し,再雇用の申し出をしなかった場合,角が立ちトラブルになるリスクが高いからです。
60歳の定年まで長年勤務してきた先輩社員に対し,後輩の人事担当者が,「あなたは能力が低いし,態度も悪いから再雇用しません。」と伝えて再雇用拒否をすることが妥当でしょうか?
私はそうは思いません。
失礼な話しだと思います。
そうではなく,会社の実態,再雇用を希望する定年退職者の能力等に応じた賃金額等の労働条件を提示し,それで折り合いがつくかどうかを交渉するというのが,穏当なのではないでしょうか。
能力が低いから再雇用されなかったのではなく,労働条件の交渉がまとまらなかったため,定年退職者が会社が提示した労働条件での再雇用を拒絶したということです。
もちろん,再雇用基準上問題のない定年退職者が,会社が提示した労働条件での再雇用を定年退職者が希望した場合は,再雇用すべきことになります。
弁護士 藤田 進太郎