弁護士法人四谷麹町法律事務所のブログ

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年次有給休暇(労基法39条1項)が付与されるために必要な全労働日の8割以上の出勤と遅刻,早退

2011-08-09 | 日記
Q155 労基法39条1項には,年休が付与されるためには全労働日の8割以上出勤しなければならないと定められていますが,遅刻,早退した日であっても,出勤したことになるのでしょうか?

 労基法39条1項の出勤率は,労働日を単位として計算すべきものと考えられますので,遅刻,早退した日であっても,労基法39条1項との関係では,出勤したものとして取り扱われることになります。

弁護士 藤田 進太郎

年休なしの合意の効力

2011-08-09 | 日記
Q154 採用面接の際,「うちの会社は年休がないけど,それでもいいですか?」との質問に対し,「年休なしでも構いません。ぜひ雇って下さい。お願いします。」と回答したこともあって採用した社員が,年休の取得を求めてきました。労基法上,年休取得の要件を満たしている場合は,年休取得に応じざるを得ないのでしょうか?

 労基法に定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は,その部分については無効となり,無効となった部分は,労基法で定める基準によることになります(労基法13条)。
 したがって,労基法39条で定められている年次有給休暇を取得できない旨の合意は無効となり,労基法39条の年休取得の要件を満たしている場合は,貴社は年休取得に応じざるを得ないことになります。
 仮に,年休がない旨,「書面」で合意され,社員の署名押印があったとしても,この結論は変わりません。
 年休取得を理由として,賃金の減額,解雇等の不利益処分をすることもできませんので(労基法136条),入社時の約束に違反したことを理由として,一方的に賃金を減額したり,解雇したりすることもできません。

弁護士 藤田 進太郎

零細企業における年休取得と時季変更権の行使

2011-08-09 | 日記
Q153 当社は社員が2名しかいない零細企業のため,社員に年休を取得されると,常に事業運営に支障を来すことになってしまいます。それでも年休取得を認めなければならないのでしょうか?

 本来,年休は労働者の指定する時季に与えなければならないものであり,時季変更権の行使はその必要性が認められる場合に例外的に認められるものです(労基法39条5項)。
 社員が年休を取得したのでは,常に事業運営に支障が来すという主張が認められたのでは,社員は年休を全く取得できなくなってしまいます。
 したがって,貴社のような実態がある場合であっても,時季変更権の行使が認められやすくなる一要素として考慮されるにとどまり,原則論としては,年休取得を認めなければならないことになります。

弁護士 藤田 進太郎

「事業の正常な運営を妨げる場合」(労基法39条5項)

2011-08-09 | 日記
Q152 「事業の正常な運営を妨げる場合」(労基法39条5項)に該当するかどうかは,どのような要素を考慮して判断すればいいのでしょうか?

 「事業の正常な運営を妨げる場合」(労基法39条5項)に該当するかどうかは,一般に,
当該労働者の所属する事業場を基準として,事業の規模,内容,当該労働者の担当する作業の内容,性質,作業の繁閑,代行者の配置の難易,労働慣行等諸般の事情を考慮して客観的に判断すべきであるとされています。

弁護士 藤田 進太郎