弁護士法人四谷麹町法律事務所のブログ

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高年齢者雇用確保措置を取らないとどうなるか?

2011-08-12 | 日記
Q164 高年齢者雇用確保措置を取らないとどうなりますか?

 高年齢者雇用確保措置について定めている高年齢者雇用安定法9条には,これに違反した場合に定年の定めを無効とするなどの私法的効力はないと考えられています。
 したがって,高年齢者雇用安定法9条に違反して高年齢者雇用確保措置を取らなかった場合,定年退職した高年齢者は,事業主に対し,訴訟で65歳までの雇用確保を請求することはできないことになります。

 ただし,高年齢者雇用確保措置を取らないことは,高年齢者雇用安定法9条に違反しますから,厚生労働大臣から,公共職業安定所を通じて,必要な指導及び助言を受けたり,高年齢者雇用確保措置を講ずべきことを勧告されたりする可能性があります(高年齢者雇用安定法10条)。
 また,合同労組などの労働組合から団体交渉を申し入れられ,高年齢者雇用確保措置を講じるよう要求される可能性もあります。

 さらに言えば,高年齢者雇用確保措置を取らない会社は,コンプライアンスの意識が低い会社であると公言しているようなものですから,どうしても社会一般からの評価が低くなりがちです。
 結果として,優秀な人材が集まりにくくなるかもしれません。

弁護士 藤田 進太郎

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「笛吹けども踊らず」

2011-08-12 | 日記
今朝,日本エス・エイチ・エルの『続 人事部長からの質問』には,マネージャーと他のスタッフの関係が思わしくなく,「笛吹けども踊らず」という状況の場合,どうすればいいのかという質問に対し,「マネージャを替えるべき。」との明確な回答がなされていました。
全くそのとおりだと思います。

が,過去の自分を振り返ってみると,適切なマネージャーを雇用し配置して部下を管理させることが上手にできていたかというと,なかなかそうはいかず,悪戦苦闘していました。
現在は,まとめ役の秘書がよく働いてくれているので,やっと安定しましたが。
特に開業当初は,マネージャーとしての能力が高いスタッフが1人いると,全然違いますね。

弁護士 藤田 進太郎

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高年齢者雇用確保措置の導入割合

2011-08-12 | 日記
Q163 高年齢者雇用安定法9条の高年齢者雇用確保措置として,どれが取られることが多いのでしょうか?

 平成22(2010)年の時点において,雇用確保措置を導入している企業の割合は,全企業の96.6%であり,
① 定年の引上げの措置を講じた企業の割合 → 13.9%
② 継続雇用制度を導入した企業の割合    → 89.9%
③ 定年の定めを廃止した企業の割合      → 2.8%
となっています。
 高年齢者雇用安定法9条の高年齢者雇用確保措置としては,②継続雇用制度を導入している企業の割合が,圧倒的に多くなっています。

弁護士 藤田 進太郎

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65歳までの雇用確保要求の根拠

2011-08-12 | 日記
Q162 60歳の定年退職間近な社員が,65歳までの雇用確保を要求してきました。何を根拠にそんなことを言っているのでしょうか?

 高年齢者雇用安定法9条は,65歳未満の定年の定めをしている事業主は,以下のいずれかの高年齢者雇用確保措置を講じなければならないとしています。
① 定年の引上げ
② 継続雇用制度(現に雇用している高年齢者が希望するときは,当該高年齢者をその定年後も引き続いて雇用する制度)
③ 定年の定めの廃止
 貴社の定年は60歳とのことですので,①②③いずれかの雇用確保措置を取る必要があります。
 仮に,貴社が高年齢者雇用確保措置を取っていないのだとすれば,高年齢者雇用安定法9条を根拠に,65歳までの雇用確保を要求してきたものと思われます。

 なお,平成22年4月1日から平成25年3月31日までは,上記「65歳」を「64歳」と読み替えることになります(附則4条1項)ので,雇用確保措置が義務付けられているのは64歳までですが,65歳までの雇用確保について「努力」義務が課せられています(附則4条2項)。


弁護士 藤田 進太郎

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定年に関する規制

2011-08-12 | 日記
Q161 定年は何歳と定めてもいいのですか?

 定年は原則として60歳以上としなければなりません(高年齢者雇用安定法8条本文)。
 したがって,定年を何歳と定めていいことにはならず,60歳とか,65歳とか,60歳以上で定める必要があります。

弁護士 藤田 進太郎

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年次有給休暇(労基法39条)の買い上げ

2011-08-11 | 日記
Q160 年次有給休暇(労基法39条)を買い上げることはできますか?

 年次有給休暇(労基法39条)は労基法上の権利ですので,使用者が強制的に買い上げることはできませんし,労働者との買い上げ合意があったとしても,労基法39条の趣旨に反するようなものについては無効となり,使用者は労働者の年休取得を拒むことができなくなると考えられます(労基法13条)。
 合意による年休買い上げが認められるかどうかは,労基法39条の趣旨に反しないかを個別に検討して判断するほかありません。
 例えば,労働者が退職するに際し,消化し切れなかった年休を買い上げる場合や,2年の消滅時効にかかった年休を買い上げるような場合は,通常は労働者に不利益が生じませんので,労基法39条の趣旨に反せず,年休の買い上げが認められるものと考えられます。
 しかし,年休制度(労基法39条)は本来,労働者に休暇を与えることが目的の制度であり,上乗せの賃金を支給することが目的の制度ではないのですから,合意による年休買い上げが認められるのは,上記のような特別なケースに限定されると考えるべきでしょう。

 なお,労基法39条により付与された年休ではなく,就業規則等により上乗せで付与された部分の有給休暇については,労基法39条の規制が及びませんから,一般的には合意による買い上げが認められることになります。

弁護士 藤田 進太郎

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年次有給休暇の時効(繰り越し期限)

2011-08-11 | 日記
Q159 労基法上の年次有給休暇(労基法39条)はいつまで繰り越されるのでしょうか?

 労基法上の年次有給休暇(労基法39条)の時効は2年(労基法115条)と考えられています。
 したがって,(当該年度及び)翌年度(2年)の経過により消滅時効にかかりますから,翌年度に限り,繰り越されることになります。

弁護士 藤田 進太郎

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産前産後休業期間と労働基準法39条1項の出勤率

2011-08-10 | 日記
Q156 労働基準法39条1項の出勤率の算定に際し,産前産後休業期間については,出勤したものとして取り扱うべきでしょうか?

 労働基準法39条1項の出勤率の算定に際し,産前産後休業期間については,出勤したものとして取り扱われることになります(労基法39条8項)。
 なお,労基法39条8項では,産前産後休業期間のほか,業務上の災害による休業,育児介護休業の期間についても,出勤したものとみなす旨,規定されています。 

弁護士 藤田 進太郎

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年次有給休暇(労基法39条1項)が付与されるために必要な全労働日の8割以上の出勤と遅刻,早退

2011-08-09 | 日記
Q155 労基法39条1項には,年休が付与されるためには全労働日の8割以上出勤しなければならないと定められていますが,遅刻,早退した日であっても,出勤したことになるのでしょうか?

 労基法39条1項の出勤率は,労働日を単位として計算すべきものと考えられますので,遅刻,早退した日であっても,労基法39条1項との関係では,出勤したものとして取り扱われることになります。

弁護士 藤田 進太郎

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労働審判の平均審理日数(平成23年5月末現在)

2011-08-09 | 日記
Q103 労働審判の平均審理日数はどれくらいですか?

 労働審判申立てから終局までの審理日数は,全国平均で73.4日です(平成23年5月末現在)。
 平均して3か月もかかっていないことが分かります。

弁護士 藤田 進太郎

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年休なしの合意の効力

2011-08-09 | 日記
Q154 採用面接の際,「うちの会社は年休がないけど,それでもいいですか?」との質問に対し,「年休なしでも構いません。ぜひ雇って下さい。お願いします。」と回答したこともあって採用した社員が,年休の取得を求めてきました。労基法上,年休取得の要件を満たしている場合は,年休取得に応じざるを得ないのでしょうか?

 労基法に定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は,その部分については無効となり,無効となった部分は,労基法で定める基準によることになります(労基法13条)。
 したがって,労基法39条で定められている年次有給休暇を取得できない旨の合意は無効となり,労基法39条の年休取得の要件を満たしている場合は,貴社は年休取得に応じざるを得ないことになります。
 仮に,年休がない旨,「書面」で合意され,社員の署名押印があったとしても,この結論は変わりません。
 年休取得を理由として,賃金の減額,解雇等の不利益処分をすることもできませんので(労基法136条),入社時の約束に違反したことを理由として,一方的に賃金を減額したり,解雇したりすることもできません。

弁護士 藤田 進太郎

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零細企業における年休取得と時季変更権の行使

2011-08-09 | 日記
Q153 当社は社員が2名しかいない零細企業のため,社員に年休を取得されると,常に事業運営に支障を来すことになってしまいます。それでも年休取得を認めなければならないのでしょうか?

 本来,年休は労働者の指定する時季に与えなければならないものであり,時季変更権の行使はその必要性が認められる場合に例外的に認められるものです(労基法39条5項)。
 社員が年休を取得したのでは,常に事業運営に支障が来すという主張が認められたのでは,社員は年休を全く取得できなくなってしまいます。
 したがって,貴社のような実態がある場合であっても,時季変更権の行使が認められやすくなる一要素として考慮されるにとどまり,原則論としては,年休取得を認めなければならないことになります。

弁護士 藤田 進太郎

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「事業の正常な運営を妨げる場合」(労基法39条5項)

2011-08-09 | 日記
Q152 「事業の正常な運営を妨げる場合」(労基法39条5項)に該当するかどうかは,どのような要素を考慮して判断すればいいのでしょうか?

 「事業の正常な運営を妨げる場合」(労基法39条5項)に該当するかどうかは,一般に,
当該労働者の所属する事業場を基準として,事業の規模,内容,当該労働者の担当する作業の内容,性質,作業の繁閑,代行者の配置の難易,労働慣行等諸般の事情を考慮して客観的に判断すべきであるとされています。

弁護士 藤田 進太郎

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労働相談(使用者側,経営者側のみ)

2011-08-08 | 日記
四谷麹町法律事務所では,経営者向けに労働相談を行っています。
労働問題問題社員労働審判対応でお悩みでしたら,弁護士藤田進太郎にお気軽にご相談下さい。
これからお盆にかけては,比較的予約を入れやすい状況です。

弁護士 藤田 進太郎

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桐蔭横浜大学と大宮法科大学院大学の法科大学院統合

2011-08-08 | 日記
桐蔭横浜大学と大宮法科大学院大学の法科大学院が,来年4月から,統合されるようです。
とうとう来るべきものが来たという印象です。
これからも,法科大学院の統合は加速していくことでしょう。
就職できない新人弁護士の増加と法科大学院の統合の増加は,当初の予測,プランに大きな問題点があったことを示すものといえます。
こうなる前に修正することはできなかったのでしょうか?

弁護士 藤田 進太郎

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