いーちんたん

北京ときどき歴史随筆

暖泉3、「鬼が来た」の日本妓楼

2012年04月08日 00時08分31秒 | 河北・蔚県と暖泉
西古堡に入り、南北を通るメインストリート。

   

この石畳も舗装されたのは、最近。
数年前に来た時は、まだどろどろと土むき出しの道のままだった。


   
 




   


   

民家のたたずまいに風情あり。
道との段差のないエントランス。馬車でそのまま乗り入れることができるようになっている。

大家族の住む豪邸か、旅の客を泊める宿か、荷物の出入りの激しい商家か。


   

あほみたいにひたすら門構えばかり撮ってしまうが。。。






西古堡のメインストリートをさらに一路、進んでいく。





   


   



   



   

典型的な華北の建築スタイルである四合院様式が続き、ほとんどが平屋の建物の中、
ぼっこりと一つだけ、二階建てが現れた。

民国風の西洋風のスタイルである。


   

この建物、実は映画「鬼が来た」(鬼子来了)のために、ロケ隊が改造したものなのだという。
よく見ると、二階の部分だけ、色が違うのがわかるだろう。

日中戦争における日本兵と現地の農民との交流を描いたこの映画は、初めて日本兵を人間らしく描いたとして、当時話題となった。
日本人では、俳優・香川照之氏、日本人京劇俳優・石山雄太氏などが出演する。

この建物は、映画の最後、日本が戦争に負け、大陸に取り残された日本人が生活のために何でもする場面に出てくる。
女たちはすべて妓楼に身を売り、日本女性たちがこの二階のバルコニーから黄色い声を上げ、
つたない中国語で客の呼び込みをして、ハンカチを振る場面に使われたのである。

化石のように古(いにしえ)の姿をそのまま残す暖泉は、時代劇のロケにはひっぱりだこ。
今では、常に数組のロケ班が常駐するほどの盛況ぶりだという。


といっても、今のところ、上下水道のインフラがまだ完成していない暖泉では、
大人数を受け入れることのできるホテルを建てることはできない。
宿泊は皆、蔚県まで行っているのだろう。


今、暖泉では急ピッチでインフラを整備しているというが、それが完成した暁には、
すさまじい「観光地化」という通俗の波に飲み込まれ、
ディズニーランドのようなテーマパークになってしまうのではないか、と本気で心配である。

どうかセンスのいい変貌を遂げてほしい、と願わずにはいられない。



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1 コメント

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Unknown (浜井幸子)
2016-05-31 13:31:37
「中国魅録、鬼が来た撮影日記」という香川照之さんが書いた本、ご存じですか? この本に河北省で撮影している時、映画に使用した野菜などを、ロケ地の農民が勝手に持っていく(盗んで行く)ので困った話が書いてありました。その農民って、暖泉の人たちだったのかなあ(笑)。
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