いーちんたん

北京ときどき歴史随筆

マンジュの森ーーヌルハチの家族の物語56、タイシャン理路整然

2019年03月24日 01時28分09秒 | マンジュの森 --ヌルハチの家族の物語
梯子作りでさえ、細心の注意を払って隠さなければならなかったのに、
数万の兵を動かした今、明が感づかないはずはない。

今さら雨が降ったからといって撤退しても、謀反の意思はもうすでに白日の下にさらされた形となっているではないか。


これまで明側も油断してきたからこそ、
ヌルハチが密かに満洲や朝鮮に対して「ハーン」の称号を僭称していることも発覚せずに済んでいる。

しかし今回のことをきっかけに明側の警戒心が強くなれば、
いずれ発覚し、以後名乗ることはできなくなるだろう。

また一介の建州衛の都督として、遼東巡撫の命令に従い、
これまで三十年かけて併呑してきた血と命の結晶である女真の属部も手放さなければならなくなる。


--まるで今日びのどこかの老大国とどこかの新大国のぼうえき戦争を見ているようだが。。。
鷹揚にかまえていた「世界の警察」を一気に覚醒させてしまった現象と
よおおく似ているような気がするが笑。


閑話休題。

タイシャンは、
雨が降っていても、兵士らにはそれに備えた雨よけの覆い服があり、
弓矢にも雨具があるから支障はない、しかも雨なら敵も油断している、
と強く主張した。

タイシャンの説得には、理路整然とした道理が通っており、力強さがあった。


またもや老いてやや軸がぶれ気味な父を支える力強い息子の役割を果たしている。

タイシャンの主張は受け入れられ、ヌルハチは攻撃続行を決定した。
満洲軍は、撫順だけでなく明側の城を五百ヶ所も陥落させ、
人畜三十万を得て明側との初戦を圧倒的な勝利で終わらせたのである。


**************************************************************
遼寧省の撫順市新賓満族自治県永陵鎮

ホトアラ城



前述のとおり、ホトアラ城は、ヌルハチが先祖代々暮らしてきた土地に建てられた。
ここでは、その跡地にタクシの家を再現している。

つまりはヌルハチの生家である。


ぽちっと、押していただけると、
励みになります!

にほんブログ村 海外生活ブログ 北京情報へ  

最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。