水周り以外は、たとえ壁がすす黒いとか、
壁の下半分が緑色のペンキに塗られており、
80年代の田舎病院の廊下のようで、気持ちが荒(すさ)む、
と言った問題があっても、
そこはこちらも長年、異文化の中を放浪してきたつわものである。
「くさい物にフタ」するための「タペストリー」アイテム、
布カバーアイテムは、けっこう豊富に持ち歩いていて、
上からカバーをかけてしまえば、それなりに快適になる。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1c/74/bd718568156b13968b016cfe5c514951.jpg)
写真: ビフォーの図。ダサい船の額は、もちろん取り外して処分した。下のほうに見えるポスターを両面テープで貼った跡もしこしこと地道にこそぎ落とす。
ドアの奥に見えるのが、「80年代の田舎病院の廊下」のごとき緑の壁。
上からすべて白く塗った。
そのほかの白壁も汚れが激しかったので、私が程さんの指導の元、ローラーで白く塗りなおした。なぜ私が塗ったかといえば、程さんの日当は200元(約4000円)と決して安くもない。このアパートの家賃が2800元しかしないことを思うと、だらだらといつまでも時間をかけていると、ぼろぼろのアパートを借りる意義がなくなってしまうのである。技術力、腕力の必要ない作業は、私がなるべく自力でこなし、工事費を浮かせるとともに、いっしょに作業している間は程さんの話し相手になり、機嫌よく、スピーディに仕事をこなしてほしい、という目的もある。会社勤めしていない者の特権ではあるが。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/47/e8/897ff9390d4ba505e182d7f0948e5a1c.jpg)
写真: アフターの図。自前のじゅうたんを敷く。
「カバー」類は、私の趣味がエスニック調、アジアの少数民族調なので、
大抵は和風の端切れで作ったパッチワークか、大学バックパッカー時代に
インド、バリ、チベットなどからせっせせっせと背負って持ち帰って来た
ファブリックの数々、それに後から布を足して加工したものどもである。
幸い、レンガ造りの家というのは、ドリルでがんがんと壁に穴を開けても
いらなくなれば、釘を引っこ抜いてまた漆喰で埋め込んだら、
ほとんど目立たなくなるため、
壁に釘を打つな、と神経質にいう大家はあまりいない。
いわんや、私が借りようとする、標準アパートよりさらにボロいアパートは、である。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5b/01/22afaa52736c648fcf06eb3274ef08dc.jpg)
ビフォー図
アフター図
中国永住を決め込んでいる私は、すでに大量の家具を買い込んでいる。
そこで賃貸といえば、基本的に家具つき、家電製品つきが常識の中国では、
ひどく困るのである。
私は中国風のアンティーク家具が好きなのだが
高度成長期真っ盛りの中国は、東京オリンピック前後の日本の庶民と同じく、
どちらかというと西洋風な家具にあこがれる。
最高到達地点は、ロココ調、うにゅりと曲線が優美な猫足の家具、
白い生成りの塗装に金色の縁取り、イタリア直輸入、
(そういう意味では、韓国ドラマの金持ち家庭のセットは、
趣味にぴったり。あれが、目指す最終地点だと思う)
そこまでの経済力がなくても、せいぜいがIkeaどまりである。
どんなに高級なアパートを借りても自分の趣味に合った家具はほとんどなく、
ましてや中途半端に庶民的な値段のアパートについている家具は、
合成板、スチールパイプの文化住宅系のものしかない。
しかも困ったことに、家具は要らないから運びだしてくれ、というと、
ほとんどの場合、交渉決裂となる。
家具の置き場がないし、次の店子のためにまた運び入れないといけないので、
大抵の大家は、ひどく嫌がる。
こうして毎回選ぶアパートは、内装ぼろぼろ、
家具もぼろぼろすぎて大家が処分に同意してくれるか、
家具がほとんどない代わりに、
家電製品もほとんどない物件となってしまうのである。
今回の物件も家電製品が一切なかったのは、ひどく痛かった。
洗濯機、換気扇、ガス湯沸かし器、クーラーにいたるまですべて買いなおした。
(冷蔵庫だけは、最初から持参。前のアパートについていた冷蔵庫が、
80年代ものか、というくらいクラシックな代物、しかもどろどろだったので、
掃除する気にさえならず、お引取り願ったため。テレビはなしですごしている)
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