いーちんたん

北京ときどき歴史随筆

北京内装奮闘記 記事の一覧表

2011年06月10日 08時30分16秒 | 北京内装奮闘記

北京内装奮闘記


 今ではもう人件費が上がってしまい、やり方として成り立ちませんが、まだ5年ほど前までは、内装の悪い物件を安く借り、
 自分で内装しても、割安に住める、ということが可能でした。
 そんなお部屋のビフォーアフターを紹介しまーす。

記事の一覧表:


    北京内装奮闘記1、トイレ
    北京内装奮闘記2、台所、水周り
    北京内装奮闘記3、洗面台
    北京内装奮闘記4、リビング
    北京内装奮闘記5、寝室、バーコーナー

 


北京内装奮闘記5、寝室、バーコーナー

2011年06月05日 19時28分18秒 | 北京内装奮闘記
内装シリーズの最後。

   
寝室ビフォーの図。

  
アフターの図。

汚れた白壁を塗りなおし、窓の上についているへんなカーテン隠しをとりはずし、カーテンレールをとりつけた。ちんちくりんの電灯もすべてとりはずして、自前の灯篭をつける。灯篭も長く持ち歩いているアイテムである。大工さんに作ってもらったただの木枠に半紙をはりつけたごく原始的なもの。引越しのたびに運搬の過程で半紙が破けてしまうのが面倒だが、毎回張り替えている。

壁のタペストリーは、数年前に作った和風パッチワーク。

   
入り口入ったところの踊り場。わびしい横一本の蛍光灯が貧乏くさい哀愁を漂わせる。お決まりの巨大鏡も健在。これはエレベータのない5階から持ち出すことがむずかしかったため、寝室にそのままたてかけてある。

   
アフターの図。

バーコーナーとする。バーカウンターは、2年前のオーダーメイドしたもの。ピンクのじゅうたんは、「チベット風」の甘粛じゅうたんという触れ込み。これも一目ぼれして二年前に購入。照明は、同じく1ヶ所の電源から左右に均等に伸ばし、2ヶ所にしてもらう。私はきんきんに明るい部屋が好みなのだ。

   
写真: チベット風の戸棚。食器入れに活用。

   
写真: 入り口にある食器棚。小さく細々とした食器は日本料理の醍醐味。中国人のお客様には、入り口でこの小さな食器の一群にがつん!!と日本人の部屋に来た、という印象をずっしりと感じてほしい、という渾身のレイアウト。

最後に予算概要である。
こんなしんどい思いをして改造する理由は、あくまでも費用対効果がよいと判断したためであり、採算が取れていないとただの馬鹿である。

支出: トイレの便器    250元
    その他の材料   750元
    程さんの人件費  200元x10日=2000元

家電の買い入れ

     洗濯機      400元
     湯沸し機     500元
     ガスコンロ    100元


合計 4000元

アパートの家賃が1ヶ月2800元なので、一年住めたとしたら、1ヶ月あたりプラス330元、しめて1ヶ月3100元の価値の部屋となる。2年住めたら、さらに安くなることはいうまでもない。

3100元でこの質の部屋には、住めない、と自分が納得できたら、一応目的は果たせたことになる。もちろん私自身の日当を計算に入れていないから、本来はもっとかかっているが、私自身の遊び代、という考えもある。本来、遊ぶにもお金は必要だ。こういう遊びなら、趣味と実益でさらにいい。
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北京内装奮闘記4、リビング

2011年06月04日 19時19分25秒 | 北京内装奮闘記
水周り以外は、たとえ壁がすす黒いとか、

壁の下半分が緑色のペンキに塗られており、
80年代の田舎病院の廊下のようで、気持ちが荒(すさ)む、
と言った問題があっても、
そこはこちらも長年、異文化の中を放浪してきたつわものである。
「くさい物にフタ」するための「タペストリー」アイテム、
布カバーアイテムは、けっこう豊富に持ち歩いていて、
上からカバーをかけてしまえば、それなりに快適になる。

   
写真: ビフォーの図。ダサい船の額は、もちろん取り外して処分した。下のほうに見えるポスターを両面テープで貼った跡もしこしこと地道にこそぎ落とす。

ドアの奥に見えるのが、「80年代の田舎病院の廊下」のごとき緑の壁。

上からすべて白く塗った。
そのほかの白壁も汚れが激しかったので、私が程さんの指導の元、ローラーで白く塗りなおした。なぜ私が塗ったかといえば、程さんの日当は200元(約4000円)と決して安くもない。このアパートの家賃が2800元しかしないことを思うと、だらだらといつまでも時間をかけていると、ぼろぼろのアパートを借りる意義がなくなってしまうのである。技術力、腕力の必要ない作業は、私がなるべく自力でこなし、工事費を浮かせるとともに、いっしょに作業している間は程さんの話し相手になり、機嫌よく、スピーディに仕事をこなしてほしい、という目的もある。会社勤めしていない者の特権ではあるが。

   
写真: アフターの図。自前のじゅうたんを敷く。

「カバー」類は、私の趣味がエスニック調、アジアの少数民族調なので、
大抵は和風の端切れで作ったパッチワークか、大学バックパッカー時代に
インド、バリ、チベットなどからせっせせっせと背負って持ち帰って来た
ファブリックの数々、それに後から布を足して加工したものどもである。
幸い、レンガ造りの家というのは、ドリルでがんがんと壁に穴を開けても
いらなくなれば、釘を引っこ抜いてまた漆喰で埋め込んだら、

ほとんど目立たなくなるため、
壁に釘を打つな、と神経質にいう大家はあまりいない。
いわんや、私が借りようとする、標準アパートよりさらにボロいアパートは、である。

   
ビフォー図


   
アフター図
   

中国永住を決め込んでいる私は、すでに大量の家具を買い込んでいる。
そこで賃貸といえば、基本的に家具つき、家電製品つきが常識の中国では、
ひどく困るのである。

私は中国風のアンティーク家具が好きなのだが
高度成長期真っ盛りの中国は、東京オリンピック前後の日本の庶民と同じく、
どちらかというと西洋風な家具にあこがれる。

最高到達地点は、ロココ調、うにゅりと曲線が優美な猫足の家具、
白い生成りの塗装に金色の縁取り、イタリア直輸入、
(そういう意味では、韓国ドラマの金持ち家庭のセットは、
趣味にぴったり。あれが、目指す最終地点だと思う)
そこまでの経済力がなくても、せいぜいがIkeaどまりである。

どんなに高級なアパートを借りても自分の趣味に合った家具はほとんどなく、
ましてや中途半端に庶民的な値段のアパートについている家具は、
合成板、スチールパイプの文化住宅系のものしかない。
しかも困ったことに、家具は要らないから運びだしてくれ、というと、
ほとんどの場合、交渉決裂となる。
家具の置き場がないし、次の店子のためにまた運び入れないといけないので、
大抵の大家は、ひどく嫌がる。

こうして毎回選ぶアパートは、内装ぼろぼろ、
家具もぼろぼろすぎて大家が処分に同意してくれるか、
家具がほとんどない代わりに、
家電製品もほとんどない物件となってしまうのである。

今回の物件も家電製品が一切なかったのは、ひどく痛かった。
洗濯機、換気扇、ガス湯沸かし器、クーラーにいたるまですべて買いなおした。
(冷蔵庫だけは、最初から持参。前のアパートについていた冷蔵庫が、
80年代ものか、というくらいクラシックな代物、しかもどろどろだったので、
掃除する気にさえならず、お引取り願ったため。テレビはなしですごしている)

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北京内装奮闘記3、洗面台

2011年06月03日 19時13分46秒 | 北京内装奮闘記
水周りの最後は、洗面台と洗濯コーナーである。



古いアパートというのは、トイレバスルームがひどく小さく、3㎡以下のことが多い。今回のアパートは、これまた輪をかけて狭く、とてもではないが、洗面所必須アイテムである「洗面台+バスタブ+便器」(できれば洗濯機も。絶望的ながら)のすべてを収めるのは、物理的に無理だった。

そこでなんとか密室の外でも譲歩できる洗面台と洗濯機を外に押し出した。
水が飛び散ってもよいように、青のタイルを張り巡らし、壁一枚の向こうになっているバスルームから壁をぶちぬいて上下水道をとおした。

洗面台は前回のアパートのときに買い求めたもの(230元なり)。前のアパートを引き払うときに私物として、引っぺがして持ってきた。このコーナーはタイルの色も含め、まったく同じ空間の再現となっている。前回は洗面台もタイルも自分で建材市場まで足を運び、選んだが、前回から2回目の工事となるので、今回は程さんが似たようなタイルを探してきてくれた。

電灯、棚、鏡はIkea。

ちなみに前のアパートを引き払うときに、洗面台、システムキッチンなどをひっぺがしてきて、大家と揉め事にならないのか、という点についてだが、たまたま引越しの理由が、大家が家を売りたいためであり、見に来た人が壁の取り外しを含めた大工事の可能性を話し合っていたから、どうせ古いものはすべて取っ払って棄てるのだろう、と判断したためである。もし次もそのまま賃貸に出す予定だったなら、元あった洗面台さえもない、では、あまりにもひどいので、残していく覚悟ではあったのだが。。

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北京内装奮闘記2、台所、水周り

2011年06月02日 22時15分53秒 | 北京内装奮闘記
北京の一般アパートの住まいで、最も問題になるのは、大抵水周りである。
水周り以外であれば、そのほかは漆喰で白く塗られた清潔な壁、
すくなくとも裸電球のかかる電気ソケット、
すきま風の入ってこない窓、ドア周りさえクリアーできればいいが、
これはそんなに難しい問題ではない。

さて。水周りである。まずは台所。
写真ではわかりにくいが、流しは90年代によくあった白い陶器のもの、
その排水溝は、タイルの洗い場になっており、
そこでモップが洗える仕組みになっている。
床タイルも見るだにおぞましい汚れ様。
窓枠、網戸もすべて油でべとべとに底光りしていた。


そこに前のアパートからひっぺがしてきたシステム・キッチンを入れた。
前回のアパートの時にオーダーメイドで作ったものだが(しめて2000元なり)、
今回は内装の程さんに切り貼りしてもらい、新しい台所の大きさに作り変えてもらった。


アフターの図。

そもそもこの写真の明るさの差も照明の差である。
元からついていた電球が25wくらいのものだったので、40wか60wくらいのものに
変えたほか、流しの手元にも電源を一つ増やした。
洗い物をしているときに、手元が暗いことが、一番みじめなので、
流し周りの電源は、毎回万を辞して確保する。

今回は原始的に市販のクリップ式の電灯を一つつけるだけで解決した。

窓枠の緑のペンキは、私が自分で塗った。
こういう原始的な鉄の窓枠のいいところは、油汚れでも何でも、
すべて上から塗りこめてしまえばいいことである。
汚れを落とすとか、そういう手順は一切無視。
上から塗り込んで、解決。この瞬間は、ちょっとエクスタシー。

網戸も油ですべての目が埋まって真っ黒な状態だったので、
とりはずし、替えてもらった。これは外注である。
夏場になると、毎日「網戸替えー」の歌を歌いながら、

アパートの間を練り歩くおじさんがいる。
アパートの5階からその姿を捉えるのは、無理なので、
入り口に住みついているごみ拾いのおっちゃんに、見かけたら、
5階まで訪ねてきてもらって、と、お願いしていたら、来てくれた。

「ねじまで油で固まっていて、普段より倍の時間がかかった。
通常なら20元だが、これは30元もらわないと、割に合わない」と、
10元多めに取られたが、なぜが
「おお。おお。さもありなん」と、にこにこ払う私。
そこまで汚いものを美しく取り替えた実感がうれしい。

そのほかの部分は、セメントでかためた狭い30cmほどの棚。
ドアの上の天井近くの棚は、ビニールカーテンが付いていたが、油でべとべと。
茶色く変色していた。棚の中もべとべと。

       
程さん作業中。天井もペンキがはげはげで貧乏くさいので、


ビニール・ボードの天井を張りなおしてもらった。トイレバスの天井も同じく。


アフターの図。ドアの緑のペンキは私が塗りなおしたもの。


ええー。こちらは調味料棚のアップ。
ささやかな道楽である。瓶はすべてIkea。
家には、日中の人間が入り乱れて出入りするので、
すべて二ヶ国語表示。



スパイスラグ。
瓶は、Ikeaのように見えて、実は自由市場で買ったもの。
こういうおしゃれなデザインは、すぐ真似されちゃいますねー。

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北京内装奮闘記1、トイレ

2011年06月01日 11時21分17秒 | 北京内装奮闘記
胡同のお話、少し休憩して、話題を替えますー。

・・・というのは、ただ単に引越し以来、昔の写真ファイルなどを
山積みにしたまま、整理しておらず、見つからないだけです。。
本の山の中から埃だらけのファイルの束を引っ張り出すだけで
腰がへろへろに痛いです。。
スキャンで取り入れ、ゆっくりアップしていきまっす。。

**************

社会人になりすぐに北京に来たためもあり、
私は日本で賃貸暮らしをしたことがない。

北京に来てからは、文化的な概念、習慣、趣味の違いからか、
これは、と思うアパートは目が飛び出るような価格か、
(正確には、駐在員をやめて自前でアパートを借りなければならなくなったとき)
手が出るアパートは、一つとして気に入らない、といった具合で、
需要と供給の完全アンバランスに陥った。

かかるやむにやまれない事情のため、
いつの間にか「プチ内装」が趣味兼得意技となってしまった。
お財布の許す範囲内で、快適な住居空間を手に入れようとすれば、
それしか方法がない。

北京生活14年の中で引っ越すこと6回。
自分が常駐しない場所も含めると、内装した洗面所は7ヶ所。
そのうち2003年当たりからシステム・キッチンが登場し、
2005年当たりまでは、値段が下がり続けたため、
システム・キッチンも必ずオーダーメイドし、取り付けた。
(オリンピック後は値上がり中)

新しいアパートを見に行ってまず、最初に思うのは、
「この耐えられない便器を換えよう」、
「どろどろの洗面台、棄ててやる」と、早くも職人魂がめらめらと燃え始める。

最近2回の引越しでは、よき協力者にめぐり合えた。

友人のなんべんさん から紹介いただいた大工の程さんという青年だ。

青年といっても、もう30過ぎのいい年だが、工事のおっちゃんというよりは、
不動産業者で黒スーツをピシッと着こなし、
営業でバンバン物件を売りまくっている、といわれても納得しそうな
清潔感のあるさわやかな人物であり、同じ空間におられても
女性特有の「生理的にいや」という気分にならない。
これは極めて大事なことである!

前回のアパートの内装で初めてお願いし、
今回の引越しでも再びお世話になった。


ビフォーの図。あまりに写真が醜いので、小さくした。便器どろどろ、洗面台どろどろ。見ただけでぞっとする洗面所である。なによりも嫌いなのは、シャワーを浴びたら、床全体がびしょびしょになり、手を洗うにも、トイレに入るにも足元がどろどろになる構造。


便器を替え、バスタブを押し込んだ。バスタブは前のアパートから引っぺがして持ってきた。同じような構造で、バスタブを自前(800元、約12000円)で買い入れていたため、賃貸を引き払う時に、バスタブもいっしょに引っ越した。

今回の洗面所は、前の場所よりさらに面積が小さく、
便器にバスタブがくっついてしまったが、
湯船に浸かれる上、水がどこもかしこにも飛び散らないのは、
雲泥の差である。
便器の値段は250元(約4000円)。外食2回分くらいで使ってしまう程度の値段なので、引っ越すたびに新調している。

しかし何分、一番安い便器。毎回水弁が半年くらいでガタがきて、スプリングが戻らなくなるが、こつをつかめば大して支障は出ない。

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