自 遊 想

ジャンルを特定しないで、その日その日に思ったことを徒然なるままに記しています。

アマゾンで植林活動を続ける開拓移民1世

2010年10月16日 | Weblog
(この自遊想の今年の総合テーマは「森の時代」。新聞記事より。)

   長坂 優さん(70)
 高さ30㍍の大木が倒れる時の地響き。乾燥させた木を燃やすと立ちのぼる真っ黒な煙。ブラジル・アマゾンの原生林を切り開きながら、それらに征服感を覚えていた。いま思うと、断末魔の悲鳴だったのか。
 「自然の恩恵を受けてきた百姓が、破壊者になっていたんです」。
 名刺の肩書きは「アマゾンの百姓」。移住して45年になる。開拓した農地は東京ドーム約900個分に当たる約4300㌶。一時は週に3万ドルから5万ドルも稼いでいた。
 愛知県生まれ。東京農大時代、戦後初の学生研究生として1年間、アマゾンの農場で過ごした。1965年、大農場主への夢を抱いて、河口の町から360㌔離れた原生林に一人で降り立った。「開拓しただけ自分の土地になる」と移住を仲介した日本の外郭団体は言った。斧で大木を一日1本切り倒す。数年後にチェーンソーやトラクターを手に入れ、一気に切り開いた。
 農場経営は軌道に乗った。だが、88年、日本から訪れた母親(94)と兄(72)に大農場を見渡す丘で言われた。「なぜ、こんなに暑いの」「優、木を切り過ぎたのでは」。
 その一言で目が覚めた。
 開拓仲間の日系人らに呼びかけ、90年に現地で植林に取り組む団体を設立した。20年間で112㌶に5万6680本を植えた。
 「我々は豊かになったが、まだアマゾンに恩返しをしていない」。植林をともに進める仲間の言葉が活動を支える。

(自然からもらった恵みを自然に返す時代が今世紀である。)

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