谷沢健一のニューアマチュアリズム

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2008年の12の? ジャイアンツ(その2)

2008-03-11 | プロ野球への独白
 二岡選手がティー打撃をしていた。
 私「どうだい、膝の具合は?」
 二岡君「やっとティー打撃がスムーズにできるようになりました。開幕には間に合わせます」二岡君も小笠原君も左膝を手術したが、二岡君のほうは打撃の際にステップするのが左足なので、回復が早いのかもしれない。
 そこへガッツ小笠原君が柔剣道場内での筋力トレを終えてドーム内に入ってきた。
 私「左膝か?軸足だと辛いなー」
 ガッツ君「ティーをやってもまだ軸足が流れるんですよ」
 私「そんなにひどっかたのか」
 ガッツ君「2年間、ガマンしてプレーしましたから」「去年は人工芝に足を付けると跳び上がるほどの痛みででした」
 私「よく2年続けてMVPを獲れたね」
 ガッツ君「ファンの後押しでやれてただけです」とあくまで彼らしい言葉しかいわない。
 じつは、東京ドームは膝を痛めやすい(と多くの選手たちは思っているはずだ)。人工芝に入っているチップ(木くず)がスパイクに絡んで、必要以上に足首にも膝にもはては腰にも負担がかかるのである。人間工学の専門家のチェックが入っているのかいないのか知らないが、年俸が高い分、選手を大事にする度合いが低いと言われても仕方ないだろう。
 私が授業で使用している早大の軟式野球場は昨年から全面人工芝になったが、チップに土を加えてあるので走りやすいと学生たちには好評である。建設中の柏の葉野球場のように、設計者・施工者・管理者の一存にまかせて、各種の体育関係の専門家のチェックを経ないままに作られると、実際に使用する者にはひどく困ることになる。だが、それは我が国ではどこでも当たり前のことのようだ。(すべきことをしないですませる理由を思いつくことにかけては、天才的な人々が多い……)
 紅白戦では、クルーン投手の足に打球が直撃し、一瞬ヒヤッとさせたが事なきを得た。矢野君の一発が出たし、2年目の若手・坂本勇人内野手の打撃にも光るものがあった。前日、長嶋終身名誉監督が訪れて坂本君を激励したそうだが、今日も早朝から原監督の父君がブルペンや若手の打撃を注視していた。その表情はコーチそのもので、もし東海大学が原貢氏を離してくれれば、アマきっての名指導者がこの球団に関わるかもしれないなどと、とんでもないことを夢想する私であった。
 巨人が日本一になっても、球団側が原監督の手腕をどれだけ正当に評価するかどうか、いささか懸念されるが、今年のジャイアンツの「?}は、「年俸のため以上に監督のために優勝するぞ!年俸のため以上にファンのために優勝するぞ!」という選手がどれだけいるかではないだろうかと、意地悪なことを考えてしまう。

2008年の12の? ジャイアンツ(その1)

2008-03-11 | プロ野球への独白
 2月15日の宮崎は快晴だったが北西風が強く寒かった。サンマリンスタジアムに入っていくと、既に三塁側ベンチ前で張本勲さんが原監督にインタビューを行っていた。おそらくTBSの番組取材だろう。2人の声はかなり大きく、グライシンガー、ラミレス、クルーンといった名前が聞こえてきた。上原先発復帰の話にも笑顔で答えていたが、オフに手術した二岡・小笠原両選手の本隊への合流には時間が掛かりそうなニュアンスの話だった。これで今日の取材目的は決まったようなものだ。
 忙しい原監督とは簡単な会話程度にとどめて、一塁側ベンチの傍らにいる笹本信二球団運営部長や津末英明広報に挨拶した。取材で動き回って練習の邪魔になるかもしれない無礼を述べておいた。
 まず、新加入のラミレス選手に「Gのユニフォームが似合うね」と語りかけると、自ら胸のマークを指差して「ジャイアンツ!僕の夢!夢でした」と片言の日本語で嬉しさを押し殺すように、はにかんだ表情だった。彼らにとってもジャイアンツのブランド力は失われていないと言っているようにも思えるが、A紙のヤクルト担当の口の悪い記者によると「破格な年俸への満足感ですよ」ということになる。
 巨人のキャンプ地は広過ぎて大変である。どこでどんなメニューをこなしているのか、歩き回るだけでもくたびれる。おまけにこの日は寒かった。1時過ぎからの紅白戦で金刃、クルーン両投手の登板予定だったので、「木の花ドーム」で選手たちを待つことにした。以下はやって来た選手たちとの会話である。
 私「君のチェンジアップは指を縫い目に掛けるの?」
 高橋(尚成)君「僕は掛けますね。掛けないと狙ったところにいかない」
 高橋君「沖縄でキャンプを張っているチームの投手は、仕上がりが早いでしょうね」
 私「キャンプ序盤から投げ込んでいるね」
 高橋君「早めに肩を作りたいけど、沖縄から戻っても寒い日があるからなー」と余裕の表情で豊田投手に話を振る。
 ピッチング後で肩とヒジをアイシングしていた豊田君「冷やした後にバッテングしたくねーな…」
 何処からか「豊田!尾花コーチが呼んでるぞ」
 豊田君「谷沢さん!今年は肩の調子もいいですよ」と売り込みも忘れずに飛び出していった。そこへ上原投手がバットを下げてきた。
 私「今シーズンは、先発に戻るんだね」
 上原君「先発でも抑えでも何でもやりますよ」体力も回復してきたのか、五輪を意識したような発言だった。