谷沢健一のニューアマチュアリズム

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2008年の12の? タイガース(その2)

2008-03-05 | プロ野球への独白
 ブルペンに行ったら、ドラゴンズ臨時コーチの杉下茂さんが藤川君にフォークを指導していた。タイガースのあるスタッフは「あれでいいんですか? うちにはありがたいけど……」と言うので、私は「セリーグの覇権争いなんて念頭にないんじゃないか。北京五輪のために今のうちにきっちり教えておこう、というのかもしれないね」と応えておいたが、真意はよくわからない。「じゃあ、谷沢さんもうちの打者に少し教えてくださいよ」と急にこちらへ話が向かってきたが、「なに言ってるんだい。広澤君(打撃コーチ)たちがいるじゃないか」と降りかかりそうな火の粉を振り払った。
 杉下氏の一件でもわかるように、岡田監督は基本的に大様なリーダーである。実戦でもある程度以上に選手の判断に任せているようだ。ここぞと言う時に大きく動くタイプである。タイガースの今年のカギは、この点にあるだろう。つまり、選手がどこまで大人の野球をできるかである。
 監督の顔色をいちいち窺わなくても、監督の言葉の裏を勘ぐらなくても、かなりの部分で自分の野球ができるのである。多くの打者が最も配球を読みにくいという2人のうちの1人である矢野捕手をはじめ、安心して任せられる選手が何人もいる。だが、くだらない些細なことをあれこれ言うタニマチ気取りの雑音が邪魔なチームである。この子供じみた外部のノイズを右の耳から左の耳へスルーさせられるかどうか、大人度の高低が優勝か3位かの分かれ道である。
 私たちに何かと配慮をしてくれる岡田監督が振る舞ってくれた昼食を口に運びながら、この監督にもっともっと横綱相撲ならぬ横綱野球をやらせてやりたいものだ、そういう環境ができればなと、内心で思っていた。

2008年の12の? タイガース(その1)

2008-03-05 | プロ野球への独白
 沖縄本島の「臍」にあたる宜野座村は那覇から車で1時間。インターを降りて10分で阪神タイガースのキャンプ地に到着する。訪問した2月7日は絶好の日和であった。タクシーの運転手さんも2月の経済効果にほくそ笑む。
 運転手「天候が悪いと気になってね」
 私「どうしてだい?」
 運転手「沖縄は雨が多いと言って、他へ離れて行っては困るんですよ」
 私「雨が多いと言ってもどこも室内は完備しているし、気温も10度以下にはならないからね。練習にはもってこいだよ」
 運転手「そう言って頂けると有難いですね」
 私「那覇空港の近くの奥武山(おおのやま)球場も新しくなるんだね」
 運転手「地元では2年後には巨人が来ると言ってます。伝統の一戦が見れるのは楽しみですね」「お客さんはマスコミの方ですか」
 私「まー、そんなとこだよ」
 球場入り口でタクシーを降りた時に気がついたのか、「あー谷沢さんだ」運転手さんは帽子を取って何ともいえない笑みを浮かべた。
 打撃練習が始まったのでグランドレベルに降りていった。FA移籍の新井君と挨拶。私が「ユニフォームが違うぞ!」とからかうと、
 新井選手「似合いませんか」
 私「似合うも似合わないも、兄貴(金本選手)が居ないから君が目立つよ」
そして岡田監督と話をする段になった。
 私「シーツを出したんだね」
 岡田「シーツは眼が悪くなりましてね。変なミスが多かったですよ」「浜中も肩が完治しなくて。パならDHがありますからね、オリックスに送り出しました。」
 そんなやり取りに、黒田編成部長が加わった。パウエル問題、お互いの母校(黒田氏は法大)のこと、沖縄の各市町村とのキャンプ地折衝の苦労話など、キャンプに関わる方々の人物評などを聞くと野球界の縮図も垣間見える。