谷沢健一のニューアマチュアリズム

新ドメインに移行しました。

2008年の12の? ベイスターズ(その2)

2008-03-06 | プロ野球への独白
 そんな大矢監督が昨年の後半、禁令をひとつ発した。横浜OBが試合前に選手食堂へ出入りするのを禁止したのである。何か具体的に大変な事件があったのか、それほどでなくても大小取り混ぜて何度も困ることがあったのか、私にはよくわからない。
 あえて推察すれば、OBが選手へアドバイスすることが頻繁すぎたのかもしれない。それはプラスもあればマイナスもある。ただ、現役の選手たちは球界の大先輩に逆らうことはできないのが不文律だから、自軍の選手たちに余計な神経を使わせるたくないという配慮もあったのではないだろうか。
 横浜スタジアムの選手食堂は、報道関係者用と隣り合わせであるため、選手やコーチとの接触が容易である。調理場を中心とした構造上の問題もあろう。メジャーリーグではロッカールームでインタビューが公然と行われ、IDカードを持っていれば基本的に自由に出入りできる。日本ではそこまでの寛容さはないし、勝敗によってはロッカールームでの選手や監督の言動を見せたくないこともある。
 宜野湾の食堂も同様な構造である。一応、球団関係者以外立入禁止の看板があるものの、OBも気軽に入っていたのだろう。先日、突然、あるOB選手(かつてのスタープレーヤーである)が大矢監督に食堂から追い出されたという。そのOBは凄い剣幕で怒っていたらしい。
 球界の功労者や球団に貢献した先輩をリスペクトする風潮が希薄であることは、私もよく知っている。それにしても、私が大矢監督の立場であったらどうするであろうか。2度目の監督として招かれたのは、やはり大矢氏の真摯な情熱溢れる選手育成が、球団首脳の心をとらえたのであろう。星野氏や落合氏のように一見してわかるような強烈な個性ではないにしても、自分の信頼するコーチが解任されそうな時は、監督の職を賭して守るような一途な性格である。
 だから、これと思う選手をよくコンバートする。その選手自身がどう思おうと、これと見込んで信じてしまえば、それを貫徹するのが大矢監督である。今季はクルーンをさらわれたが、おそらくヒューズという新ストッパーを育てるであろう。ヒューズを含めて6人の外国人を抱える。牛込氏譲りのスカウティングの目で6人を見極め、シーズンのどの時点でだれをどう使うか、それが今年のベイスターズのカギである。
 キャンプ序盤から実践的なシート打撃に時間を割いているのも、その早く見極めたいという気持ちの表れだろう。そういう柔和な表情の奥にある真剣な頑固さを思うと、「大矢頑張れ」と背を押して上げたくなる。横浜にいすわって、連覇してくれよ!

2008年の12の? ベイスターズ(その1)

2008-03-06 | プロ野球への独白
 沖縄の7球団目は宜野湾の横浜ベイスターズ。昨年は2軍の湘南シーレックスが、私たちに胸を貸してくれた。関東の強豪クラブの選抜チームと対戦してくれたのである。さかのぼれば、私がクラブ野球に関わった初めの時に、やはりシーレックスが相手をしてくれた。そして完敗した。クラブチームの一部の自惚れの強い選手の鼻をへし折るには、かっこうなのだ。
 「2軍でもこれだけの力があるんだ。自分の今の力を知って、努力を怠るな」ということを、いちいち言葉で言いたくないからである。野球は(おそらくどのスポーツも)体験が言葉を凌駕する。「一験」は百語に如かず、である。(ただし、様々な体験を試行錯誤しても求めるものが得られずに苦悩している時には、ほんの一語でも黄金のような言葉が「百験」を越えることがあるが。)ベイスターズ=シーレックス球団は、YBCのようなクラブチームのために、機会も知恵も道具も、いろいろなものごとを提供してくれる。
 さて、本家の1軍は、大矢監督の2年目である。昨年はセ・リーグの台風の目となって、Aクラス入りかと思えるほどだったが、途中で力尽き4位に終わった。じつは今年は期待できるのである。10年前も、1年目は5位だったが、2年目はヤクルトと優勝争いをして、惜しくも2位。5→2の飛躍が再現されれば……4→1、優勝だ!
 球場へ行くと、大矢監督が快く迎えてくれて、ベイスターズの話だけでなく、アマ野球の情報なども話題にのぼった。沖縄出身の選手で、アマ野球で活躍する場を探してる者を紹介しようか、とまで言ってくれた。(残念ながら実現しなかったが)。
 彼と私は同期である。ともに同一球団一筋に生きて、ずっと戦い続けた好敵手だった。たぶん、打者谷沢健一の欠点をもっともよく知っていた捕手だと思う。「プロ野球ニュース」でも、意見が合うことは少なく、けっこう議論になった。どちらも理屈好きで頑固だが、そんなことで恨みを抱くような下卑た人間でないから、気のおけない仲間だった。