7月30日は、フジテレビが地上波で全国に放送していた中日対巨人の最後の放送となった。フジテレビによる今シーズンの巨人戦放映は今日の試合をもって、全て打ち切りとなる。
この記念すべき(?)試合の中継担当解説のため、ナゴヤドームに行った。グランドに入っていくとドラゴンズの練習中だった。2位の阪神に5.5差、巨人には8連勝中(18年ぶり)である。ということもあり、当然、練習にも活気が満ち溢れていた。グランドを見渡しているうちに、打撃ゲージの後方に立っている落合監督の姿が目に入った。
試合前のこの時間帯は、解説者が情報を得るのによい機会になる。ところが、12球団中、落合監督にだけは話を聞きに行く解説者がひじょうに少ない。中日OBの私でさえも月に1回足らず、それもたいていは極く短時間、言葉を交わす程度である。
もともと、中日担当の新聞記者でもTVラジオの放送記者やアナウンサーでも、監督のコメントは「無愛想な」ため、メディアには頗る(すこぶる)評判の芳しくない状態が3年も続いている。
そんな評判を全く意に介すことがないように見える落合監督の徹底した態度が、またメディアとの間の冷たい溝を深くすることになっている。せっかくの中日の快進撃について今一つメディアの注目度が低いのは、落合監督の対メディア戦略のなせるわざだというのは、すでに球界では周知である。
そんなことを心に思い浮かべながら見ていると、私はむしょうに落合監督と話を交わしたくなった。で、近づいて「独走だねー」と声を掛けた。いつもと違ってすぐに「いや、まだまだですよ」という返事である。「今日は話したがっているなー」と直感した。さらに「中継は7時半からですね」と、よくご存知である。前カードの阪神戦が17%の視聴率(中部日本放送の中継)であったことも熟知していた。やはり、マスコミを「無関心」でもないし、「無視」しているわけでもない。記者からの質問が嫌いなだけかもしれない。
チーム構成の話になった。以下は落合監督の言葉である。けっして嘘も偽りもない真っ正直な話をする監督なのである。
「うちは投手を13人(他球団は11~12人の登録)入れているので、野手は15人ですからねー。厳しい競争ですよ」
「代打は、立浪、井上、高橋光、それに付随して守備要因も兼ねる代走が3人。ユーティリティの奈良原(日本ハムから移籍)に追いつく若手もいませんよ」
「川相と鎌田を二軍に落としたが、入る余地がないんだなー」。
「立浪は、4回打席に立つよりも、好機で1回使いますよ」
「うちの野手で一番練習をこなしてきたのが森野と福留ですからね」
「昨年の秋季練習は二人とも陸上選手でした」
「陸上選手というと、投手陣もそうでした。くたくたになるまで走りこんで、紅白戦に投げる。当然130km台のスピードしか出なくなる。そこから、這い上がってきたのが、佐藤充であり朝倉ですよ」。
「私は選手に余計なことは言いません。競争に勝つには練習しかない。競争に勝ったものだけが、ここでプレーすることが与えられる」
「ウッズもアレックスも良く練習しますよ。二人ともまじめだ」
「遠征先でも、朝から投手陣はジムなどで汗を流していますからね」。
話をしていて、「果たして巨人の選手たちは中日以上の練習をしているのか。放送打ち切りも君たち選手の責任ではないかな」と思った。
そして、ふと、「落合思考」は、「君主論」を著したあのマキアヴェリの権謀術数に似たところもあり、並の監督では及ばないはずだと、へんに納得した。
この記念すべき(?)試合の中継担当解説のため、ナゴヤドームに行った。グランドに入っていくとドラゴンズの練習中だった。2位の阪神に5.5差、巨人には8連勝中(18年ぶり)である。ということもあり、当然、練習にも活気が満ち溢れていた。グランドを見渡しているうちに、打撃ゲージの後方に立っている落合監督の姿が目に入った。
試合前のこの時間帯は、解説者が情報を得るのによい機会になる。ところが、12球団中、落合監督にだけは話を聞きに行く解説者がひじょうに少ない。中日OBの私でさえも月に1回足らず、それもたいていは極く短時間、言葉を交わす程度である。
もともと、中日担当の新聞記者でもTVラジオの放送記者やアナウンサーでも、監督のコメントは「無愛想な」ため、メディアには頗る(すこぶる)評判の芳しくない状態が3年も続いている。
そんな評判を全く意に介すことがないように見える落合監督の徹底した態度が、またメディアとの間の冷たい溝を深くすることになっている。せっかくの中日の快進撃について今一つメディアの注目度が低いのは、落合監督の対メディア戦略のなせるわざだというのは、すでに球界では周知である。
そんなことを心に思い浮かべながら見ていると、私はむしょうに落合監督と話を交わしたくなった。で、近づいて「独走だねー」と声を掛けた。いつもと違ってすぐに「いや、まだまだですよ」という返事である。「今日は話したがっているなー」と直感した。さらに「中継は7時半からですね」と、よくご存知である。前カードの阪神戦が17%の視聴率(中部日本放送の中継)であったことも熟知していた。やはり、マスコミを「無関心」でもないし、「無視」しているわけでもない。記者からの質問が嫌いなだけかもしれない。
チーム構成の話になった。以下は落合監督の言葉である。けっして嘘も偽りもない真っ正直な話をする監督なのである。
「うちは投手を13人(他球団は11~12人の登録)入れているので、野手は15人ですからねー。厳しい競争ですよ」
「代打は、立浪、井上、高橋光、それに付随して守備要因も兼ねる代走が3人。ユーティリティの奈良原(日本ハムから移籍)に追いつく若手もいませんよ」
「川相と鎌田を二軍に落としたが、入る余地がないんだなー」。
「立浪は、4回打席に立つよりも、好機で1回使いますよ」
「うちの野手で一番練習をこなしてきたのが森野と福留ですからね」
「昨年の秋季練習は二人とも陸上選手でした」
「陸上選手というと、投手陣もそうでした。くたくたになるまで走りこんで、紅白戦に投げる。当然130km台のスピードしか出なくなる。そこから、這い上がってきたのが、佐藤充であり朝倉ですよ」。
「私は選手に余計なことは言いません。競争に勝つには練習しかない。競争に勝ったものだけが、ここでプレーすることが与えられる」
「ウッズもアレックスも良く練習しますよ。二人ともまじめだ」
「遠征先でも、朝から投手陣はジムなどで汗を流していますからね」。
話をしていて、「果たして巨人の選手たちは中日以上の練習をしているのか。放送打ち切りも君たち選手の責任ではないかな」と思った。
そして、ふと、「落合思考」は、「君主論」を著したあのマキアヴェリの権謀術数に似たところもあり、並の監督では及ばないはずだと、へんに納得した。